フラッシュストレージ選定の前にチェック
「NOR型」と「NAND型」の違いとは? フラッシュメモリの2大選択肢を比較(1/2 ページ)
NOR型とNAND型のフラッシュメモリは、それぞれ適する用途が異なる。フラッシュストレージの導入を検討している企業は、選定前に両者の違いを知っておく必要がある。
フラッシュメモリの基本的な選択肢は、主にプログラム格納用途で利用されるNOR型と、主にドキュメントや画像といったデータ格納用途に利用されるNAND型の2つに絞られる。適切なフラッシュメモリを選択するには、入出力のパフォーマンス、ピン数、データの完全性(欠損がないこと)、耐久性などの各要件を的確に理解しておく必要がある。
「適切な手段は、最終的には応用方法の要件によって決まる」。こう語るのは、半導体大手Micron TechnologyでNOR型フラッシュメモリ製品ラインのディレクターを務めるリチャード・デカロ氏だ。フラッシュメモリを積載するストレージの接続インタフェースや容量の要件についても検討する必要があると、Micron Technologyの主任技術者スコット・シャドリー氏は説明する。「こうした要件が、この2種類のフラッシュメモリの大まかな違いを表している」(シャドリー氏)
NOR型の適性
NOR型フラッシュメモリはNAND型と比べて読み取りが高速だ(表1)。アドレス指定による各メモリセル(1ビットを記録するメモリ素子)へのアクセスを可能にするランダムアクセス機能も提供する。
| NOR型フラッシュメモリ | NAND型フラッシュメモリ | SRAM | DRAM | |
|---|---|---|---|---|
| 不揮発性(電源を切ってもデータを保持すること) | ○ | ○ | × | × |
| 読み取り速度 | 高速 | 低速 | 非常に高速 | 高速 |
| 書き込み速度 | 低速 | 低速(NOR型よりも高速) | 非常に高速 | 高速 |
HPC(高性能科学技術計算)ベンダーのPSSC Labsでエグゼクティブバイスプレジデントを務めるアレックス・レッサー氏によれば、NOR型フラッシュメモリは、スマートフォンなどのデバイスで実行するプログラムを格納する「コードストレージ」の用途に適している。一方でデータの書き込みや消去が低速なため「HPCには適していない」とレッサー氏は指摘する。
NOR型フラッシュメモリは、主にメモリインタフェースの設計によって2つに大きく分類できる。データを1bitずつ転送(シリアル転送)するシリアルと、複数ビットを同時に転送(パラレル転送)するパラレルの2つだ。
デカロ氏によると、シリアルNOR型フラッシュメモリは読み取りが高速で、消去ブロック(ブロック:複数のメモリセルを束ねた「ページ」をさらに複数まとめた処理単位)のサイズが小さい。プログラムを展開して実行する「シャドーイング」や、粒度の細かいデータを格納する用途に適している。
シリアルNOR型フラッシュメモリは信号ピン数が少なく、小さなパッケージに収まっているため、デスクトップPC、サーバ、ノートPC、無線LANルーター、プリンタなどに適しているとデカロ氏は言う。Blu-ray Discプレイヤー、ウェアラブルデバイス、スマートメーター、自動車の高度運転アシストシステムなどに利用されることもある。
パラレルNORフラッシュメモリは、システムのブート時間を短くする。デジタルカメラ、ネットワークルーター、ネットワークスイッチ、医療システム、セットトップボックスなど、高いパフォーマンスを求められるデバイスや用途に適しているとデカロ氏は話す。
併せて読みたいお薦め記事
フラッシュメモリ/フラッシュストレージの基礎解説
NAND型フラッシュメモリは3次元、4次元へ?
NAND型の適性
Samsung Electronicsでメモリおよびストレージのマーケティング担当ディレクターを務めるリチャード・レオナルツ氏によると、NAND型フラッシュメモリのメリットには以下のようなものがある。
- メモリセルの集積度を高めやすいこと
- シーケンシャル(順次)書き込みが可能なこと
- データ消去にかかる時間が短いこと
NOR型フラッシュメモリと比べた場合のNAND型のデメリットは、ランダムアクセスが低速なことだ。バイト単位でのメモリアクセスができないため、不要なデータのみを消去するのが難しい場合もある。そのため不要なメモリ領域を自動的に収集して解放する「ガベージコレクション」が必要になるとレオナルツ氏は説明する。
NAND型フラッシュメモリは、コンシューマー向けPCや企業向けPC、サーバなどで、SSD(ソリッドステートドライブ)の形式で利用されることが一般的だ。リムーバブルメディアにも利用されている。「さまざまなモバイルデバイスでNAND型が活用されている」とシャドリー氏は話す。
レッサー氏によると、NAND型フラッシュメモリはDBMS(データベース管理システム)など、データを集中的に使用する用途に適している。最近のデータセンターの中には、SSDを通じてNAND型のパフォーマンスを生かしているところが少なくないと同氏は説明する。
低集積度のNAND型フラッシュメモリは、セットトップボックスやデジタルテレビなどに採用されることが多いとデカロ氏は話す。高集積度のNAND型は、SSDやタブレット、USBメモリなど、頻繁なデータ処理が発生する用途でよく利用されているという。
NAND型フラッシュメモリは128MBから2TB以上の密度で提供され、主にデータの格納に用いられる。NAND型では「GB当たりの価格を下げる取り組みが続いている」とシャドリー氏は指摘する。微細な回路パターンを印刷する「リソグラフィー」の継続的な進化で、集積度を高めやすくなっていることから「NAND型のライフサイクルはNOR型と比べて短くなる傾向がある」(同氏)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー