競争はますます激化
マルチユーザーWindows 10が使える「Windows Virtual Desktop」と他のDaaSの違い
MicrosoftがDaaS「Windows Virtual Desktop」で「Windows 10」のデスクトップをマルチユーザーで利用可能にすることは、DaaS市場に大きな変化をもたらす。競争はますます激化し、他のDaaSベンダーも革新を迫られる。
DaaS(Desktop as a Service)市場にはこれまで、Amazon Web ServicesやVMwareなどのベンダーが参入していた。新参のMicrosoftが投入する「Windows Virtual Desktop」の登場で、DaaS市場の勢力図は大きく変わりそうだ。
多くのDaaSベンダーが最初に提供を開始したのは、サーバOS「Windows Server」のマルチユーザー機能を利用したサーバベースのDaaSだった。次にエンドユーザー1人につき、クライアント版の「Windows」が稼働する仮想マシン(VM)1台を割り当てるクライアントベースDaaSの提供も始まった。そして今、第3のモデルとして登場しようとしているのが、MicrosoftのWindows Virtual Desktopが実現するマルチユーザー版の「Windows 10」だ。提供方式はサーバベースDaaSと似ているが、純粋なクライアント版Windowsを使用できる点が異なる。これはサーバベースモデルより制約が少なく、クライアントベースモデルほどオーバーヘッドがかからない。
マルチユーザー版Windows 10のような技術が登場すれば、DaaS市場は多大な影響を受ける。他のDaaSベンダーも同様のサービスの提供を迫られるだろう。市場の流れに従い、AWSとVMwareのDaaSも既に変化を見せ始めている。
DaaSの採用を検討している企業は、今こそAWS、VMware、MicrosoftのDaaSを確認しておこう。
併せて読みたいお薦め記事
Windows Virtual DesktopがDaaSを変える
- Windows Virtual Desktopで実現できる「マルチユーザー版Windows 10」とは?
- 「Windows Virtual Desktop」の衝撃 Windowsをクラウド提供の意味は?
- 「Windows Virtual Desktop」の影響は? VDI/DaaS市場の変化を予測する
DaaS選択のポイント
Amazon WorkSpaces
AWSが提供するDaaSの「Amazon WorkSpaces」は、WindowsまたはLinuxの仮想デスクトップを、Windows搭載PCやMac、Chromebook、各種タブレットなど、さまざまなデバイスに提供する。多様なハードウェア構成とソフトウェア構成、AWSリージョン(拠点)を利用可能だ。
WorkSpacesの仮想デスクトップの大半はサーバベースモデルで提供する。バンドルごとに、利用できる仮想CPU(vCPU)やメモリ、ストレージ、ソフトウェアのリソースとゲストOSが決められている。例えばWindowsの「スタンダード」バンドルでは2つのvCPU、メモリ4GB、SSD50GBと、Windows Serverのデスクトップを利用できる。
WorkSpacesのWindowsバンドルには、クライアントベースの提供方式を採用するライセンス持ち込み型(BYOL)のオプションもあり、既存のライセンスとアプリケーションをWorkSpaces環境で使用できる。そのためには、AWSに「Windows 7」やWindows 10のVMイメージをインポートする。このVMイメージからカスタムイメージとカスタムバンドルを作成し、物理的な専用ハードウェアで実行する。このオプションは「Windows 7 Service Pack 1」とWindows 10の特定のアップデートに限定されており、WorkSpacesを毎月200個以上実行することが条件となっている。
Horizon Cloud
VMwareも、DaaSの「Horizon Cloud」でサーバベースモデルとクライアントベースモデルの両方を提供している。VMwareが提供する「Horizon Cloud管理コンソール」で、仮想デスクトップや仮想アプリケーションを一元管理できる。
「Horizon Cloud with Hosted Infrastructure」はVMwareのクラウド環境でホストするフルマネージドのDaaSであり、以下3種類のデスクトップタイプを用意する。
- セッション
- サーバベースモデルのデスクトップ。複数のユーザーが1つのリモートデスクトップセッションホスト(RDSH)サーバを共有する。RDSHサーバはWindows Serverでマルチユーザーのリモートデスクトップ接続環境を提供するサーバ。
- 専用
- クライアントベースモデルのデスクトップ。ユーザーはそれぞれ専用のデスクトップVMに接続する。同じユーザーなら何度ログインしてもホスト名は変わらない。
- フローティング
- これもクライアントベースモデルのデスクトップだが、ユーザーはログインするたびに異なるデスクトップに接続する。デスクトップは非永続的だが、「VMware User Environment Manager」などのHorizon Cloud機能を使用してユーザーのデータや設定を保持できる。
VMwareは「Horizon Cloud with On-Premises Infrastructure」というDaaSも提供している。Horizon Cloud管理コンソールでオンプレミスの仮想デスクトップインフラ(VDI)製品「Horizon」を管理でき、セッションベースとクライアントベースの両方の仮想デスクトップを用意する。
「Horizon Cloud on Microsoft Azure」もサーバベースとクライアントベースの両方の仮想デスクトップをそろえたDaaSだ。この場合はデスクトップVMをホストするインフラストラクチャとしてクラウドサービスの「Microsoft Azure」を使用する。ただしHorizon Cloud管理コンソールなどの管理・実装コンポーネントや、Horizonベースのプロトコル、コネクションブローカーなどの機能はVMwareが提供する。
サーバベースのデスクトップの場合はRDSHサーバでマルチユーザーセッションを可能にし、クライアントベースのデスクトップの場合は個別のWindows 10搭載VMで専用デスクトップとフローティングデスクトップの両方を利用可能にする。
Windows Virtual Desktop
MicrosoftのWindows Virtual DesktopはAzureを使用して、VMのホスティングとコンピューティング/ストレージリソース、コネクションブローカー、ゲートウェイなどの機能を提供する。Windowsやオフィススイート「Office 365」をパッケージ化した「Microsoft 365 Enterprise」のユーザーと、Windows 10の最上位エディションである「Windows 10 Enterprise」のユーザーには、Windows Virtual Desktopを無料で提供し、他のDaaSベンダーとの差異化を図る。
Windows Virtual Desktopも標準的なDaaSとして、サーバベースとクライアントベースの両方のデスクトップ配布モデルを提供する。クライアントベースのデスクトップではWindows 7とWindows 10を選択できる。Windows 7デスクトップには延長セキュリティ更新プログラムが付属するため、もうしばらくレガシーアプリケーションを使用できる。
これらに加え、Windows Virtual Desktopは新しいタイプの仮想デスクトップであるマルチユーザー版Windows 10を提供する。これはサーバベースモデルと似ているが、Windows ServerではなくWindows 10 Enterpriseをベースとしている。そのためサーバベースモデルの利点の多くと、Windows 10 Enterpriseの機能やユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザー経験価値)、アプリケーション互換性を兼ね備えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] クラウドネイティブ戦略ガイド:8つの主要課題と解決策を解説 -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] プラットフォーム技術者のための「クラウドネイティブ」プレイブック -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] ハイブリッドクラウドでハードウェア価格高騰のリスクを回避する方法 -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI時代に必要なインフラモダナイゼーションの考え方とは? -
製品レビュー
[Dropbox Japan株式会社] ランサムウェア対策で見直したい「復旧できるファイル基盤」とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
「野良Excelマクロ」に悩むSMBC日興証券が導き出した内製化の“現実解”
-
9
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
10
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
8
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー