今こそ使い方を見直す好機
「Windows Virtual Desktop」の影響は? VDI/DaaS市場の変化を予測する
新年を迎えた今こそ、VDIの使い方を見直し、台頭するDaaS(Desktop as a Service)や、VDIエンドポイントとして使い勝手が向上しているモバイルデバイスに目を向ける好機だ。
時間は全ての人に平等に過ぎていく。このことはVDI(仮想デスクトップインフラ)の動向にも当てはまる。技術とそれを取り巻く状況は常に変わり続けているからだ。
VDIは、DaaS(Desktop as a Service)のような他のデスクトップホスティングオプションに押されて存在感が低下するかもしれない。DaaSは、仮想デスクトップがもたらす管理の簡素化や柔軟性を求める一方、バックエンドインフラを管理する手間は避けたいと考える小規模な組織に大きくアピールする。実際、独立調査機関VDI like a Pro(注)が2018年5月に発表した調査レポート「End User Computing State of the Union -- 2018」によると、VDIを使用する小規模な組織(ユーザー数が1000人未満)はこれまでより減っている。小規模組織は代わりにクラウドベースの選択肢を選ぶようになっているという。最近のVDIの動向では、こうしたVDIからDaaSへのシフトとともに、モビリティの向上や、ユーザーがリソースに1カ所でアクセスできるようにする必要性への対応が、大きな流れとなっている。
注:VDI like a Proは、Login VSIとFrameの各経営幹部が運営している。Login VSIは仮想デスクトップ負荷試験ツールを、Frameは、Windows ISVや開発者がアプリケーションをサービスとしてグローバルに提供するためのクラウドプラットフォームを、それぞれ手掛けている。
「Windows Virtual Desktop」で変わるDaaS市場
2018年には、DaaS市場に大きな影響を与える動きがあった。MicrosoftによるDaaS「Windows Virtual Desktop」の発表だ。同社は2018年9月に開催したカンファレンス「Microsoft Ignite 2018」で、Windows 10およびWindows 7仮想デスクトップを「Microsoft Azure」でホストするWindows Virtual Desktopを提供する計画を明らかにした。Windows Virtual Desktopは、Amazon Web Servicesの「Amazon WorkSpaces」や、Workspotの「Workspot」のような既存DaaSと真っ向から競合する。2018年中にパブリックプレビューがリリースされる予定だったが、現時点でまだリリースされていない。
Windows Virtual Desktopの主な魅力は2つ挙げられるだろう。1つはユーザーが、サーバOSを使って再現されたデスクトップ環境ではなく、Azure上の本物のWindows 10またはWindows 7デスクトップにアクセスできることだ。そのためにユーザーは、アプリケーションや他のサービスのさまざまな互換性問題に直面しないで済む。もう1つの大きな魅力は、Azureが世界各地の施設から提供されているため、ユーザーと仮想デスクトップの距離が離れすぎることがなく、接続のレイテンシが低いことだ。
MicrosoftはWindows Virtual Desktopの魅力を高めるために、2018年11月にFSLogixの買収を発表した。FSLogixは、アプリケーションのプロビジョニングとパフォーマンス管理を手掛けるベンダーだ。FSLogixの技術は、ユーザープロファイルを読み込む時間の短縮などにより、仮想デスクトップ上の「Office 365」のパフォーマンス向上に役立ちそうだ。さらに、IT担当者はユーザープロファイルを個別に切り出してOffice 365コンテナを含むコンテナに保存し、これらのコンテナをオンプレミスまたはクラウドに配置して管理できる。
モバイルデバイスでもVDIが使いやすく
VDIの動向では、エンドポイントとしてのモバイルデバイスの実用性を向上させるという流れも続いている。これまで、VDIを利用する企業では、タブレットやスマートフォンをVDIクライアントとして使うのを避けてきた。これらのデバイスは画面が小さく、デスクトップを実行できるだけの解像度がなかったからだ。しかも、インターネットに接続できる環境がなければ、ユーザーは仮想デスクトップにアクセスできず、信号が弱ければ、パフォーマンスも低下した。
だが、2018年にはモバイルデバイス技術が進化を続けた。4Gと利用可能な無線ネットワークの大幅な拡大により、接続問題の解消が大きく進んだ。
さらに、デバイスも強化されている。ユーザーは、例えばAppleの「iPhone X」(解像度2436×1125の5.8インチ画面を搭載)から仮想デスクトップにアクセスし、実務をこなせる。また、Samsungの「DeX」ドックのような製品もある。DeXに「Samsung Galaxy」シリーズの「S8」「S8+」「Note 8」「Note 9」を挿し込み、外部ディスプレイを接続すると、「Google Android」のデスクトップ版が画面に表示される。
ソフトウェア面でも、ベンダーはこうしたVDI動向をにらみ、モバイルアクセスのサポートに力を入れている。例えば、Citrix Systemsは「HDX Mobile」でアプリケーションのリファクタリングを行い、ユーザーがスマートフォンやタブレットを使っている場合は、モバイル機能を利用できるようにしている。
ブラウザベースのクライアント(ほとんどのVDI製品でサポートされている、HTML5対応WebブラウザをVDIクライアントとして利用できるオプション)も、VDIエンドポイントとしてのモバイルデバイスの実用性を高めている。このオプションでは、使用するデバイスやOSにかかわらず、HTML5対応ブラウザさえあれば、ユーザーは仮想デスクトップにアクセスできるからだ。
VMwareの「VMware Workspace One」やCitrixの「Citrix Cloud」のようなワークスペースポータルも提供されている。これらは、ユーザーが全てのデスクトップおよびモバイルリソースに1カ所からアクセスできるようにするとともに、IT部門にエンタープライズモビリティ管理(EMM)機能を提供する。
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