クラウドコストの賢い削減術【前編】
クラウドの利用料金がなかなか安くならない4つの原因
パブリッククラウドの利用料を節約するには、まず無駄な出費の原因を把握しておくことが必要だ。クラウド仮想マシン(VM)の運用コストの落とし穴について、事例を基に説明する。
クラウドサービスの活用によって、オンプレミス環境でシステムを運用するより総保有コスト(TCO)を削減できることがある。クラウドの利用料を最適化すれば、さらにコストを削減する可能性がある。クラウドのコストを見直すときは、以下に紹介する手順で始めるのがよい。
- 不要になった仮想サーバのシャットダウン
- 必要なジョブをコスト効率良く運用できるストレージの選定
- データ転送の方法とタイミングの計画
これらに加え、全3回にわたるこの連載で紹介する手法をクラウドの運用に取り入れれば、クラウドのコストを抑制するための習慣を身に付けることができるだろう。
クラウドにおける無駄なコストの元凶
コスト効率良くクラウドを利用するには、回避すべき落とし穴を把握するのが賢明だ。ユーザー企業がクラウドを利用する際、無駄なコストが生じやすい原因を整理する。
1.使用していないクラウドリソースの放置
クラウドの仮想サーバやデータベースなどの使用頻度が下がっても、クラウドそのものの利用をやめずに継続する企業は少なくない。クラウドを利用し始めたころに稼働させたテスト用仮想サーバを、そのままシャットダウンし忘れてしまうと、それが無駄なコストになることは言うまでもない。
仮想サーバの処理量ではなく、仮想サーバの稼働時間に基づいた課金体系のクラウドの場合、頻繁に使用していなくても、稼働中の仮想サーバには利用料を支払うことになる。例えばクラウドに数年前、特定のアプリケーションが使用する複数のデータベースを作成していたとしよう。現時点ではアプリケーションに接続していないにもかかわらず、こうしたデータベースを運用し続けた場合、そのデータベースが役に立っていなくてもコストは発生する。
2.サーバの過剰プロビジョニング
リソースを過剰に割り当てている仮想サーバも、無駄な出費の原因になる。目的となるタスクの実行に必要な処理性能を上回るメモリとCPUを割り当ててしまうのが、その一例だ。
3.効率の悪いストレージ
多くのクラウドベンダーは、クラウドストレージに関する幅広いオプションを用意している。機能や価格はストレージ性能によって異なる。安価なクラウドストレージは、そのストレージからデータをエクスポートするのにかかる時間が長くなるのが一般的だ。そのためバックアップやドキュメントのアーカイブなど、アクセス頻度が少ないデータを収容する場所として設計されている。
クラウドストレージの利用料が高価になるほど、性能が高く、多機能になる傾向がある。利用しているクラウドストレージに未使用の機能がある場合は、無駄なコストを払っていることになる。
4.不要なデータ転送
一般的なクラウドの場合、データをクラウド内のサーバから別の場所へ送信する(下り、エグレス)ときに費用が発生する。一方でデータをクラウドに取り込む(上り、イングレス)際に課金するクラウドベンダーもある。同じリージョン(データセンターの設置地域)内でデータを転送するときにコストが発生しないクラウドサービスでも、別のリージョンに転送する場合はこの限りではない。料金体系を確認しておく必要がある。
データをクラウドに保管していれば、どこかの時点でデータにアクセスする必要が生じる。クラウドから不必要にデータをダウンロードすると、クラウドの請求額は膨れ上がる。
中編では、これらの無駄な出費に対処し、コストを削減するための具体的な方法について説明する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
クラウドコストの賢い削減術
クラウドのコストを削減するためには何が必要で、どのような落とし穴があるのか。戦略とベストプラクティス、思わぬコストがかかる原因を、具体的に説明する。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは? -
製品資料
[株式会社みらい翻訳] 音声翻訳活用の課題を解決、“本当に使える”ツールの特徴とは? -
製品レビュー
[Wrike Japan 株式会社] 400店舗を支えるWalmart Canada、散在する情報やアナログな管理をどう変えた? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 年間100件超のDXプロジェクトを統合管理、JERAはどのように実現した? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] グローバルなクリエイティブ業務を合理化、エスティーローダーに学ぶ実践のコツ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
3
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
4
APIキー奪取から3時間でクラウド掌握 Anthropicが暴いた「バイブハッキング」の現実的な防御策
-
5
「複数AIの野放し」に歯止め Salesforceが6製品統合で挑むAI統制の覇権
-
6
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
7
“AIコーディング”でどのツールを選ぶ? 「ChatGPT」「Claude」の真価
-
8
「制御用組み込みPC」に関するアンケート
-
9
「身代金を支払う」以外のランサムウェア対策は本当にあるのか?
-
10
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー