プライバシーも悪意も見えない時代
悪意のある通信も暗号化される、常時SSL時代のセキュリティ対策
SSLなどの暗号化プロトコルの使用が増加すると、悪意のあるデータまでが暗号化されて検知が難しくなるという課題が顕在化してきた。
サイバーセキュリティでは、ネットワークの暗号化はもろ刃の剣と見なされることが多い。暗号化すれば、顧客はインターネットでの取引のプライバシーとセキュリティを確保できる。同時に、サイバー犯罪者も暗号化によって悪意のあるアクティビティーを隠すことができる。
調査会社Gartnerによると、暗号化されたトラフィックは対前年比90%以上増加しているという。同社は、2019年末までに全Webトラフィックの80%が暗号化されると予想する。
広く利用されているSSL(Secure Sockets Layer)やTLS(Transport Layer Security)などの暗号化プロトコルに隠されたサイバー攻撃を防ぐには、自社のネットワークの可視性を高めることが重要になる。
ネットワークをチェックしない状況を続けると、暗号化されたトラフィック(特に従業員の端末からのトラフィック)増がマルウェアの感染やデータの持ち出しにつながり、重要な情報やIT資産の制御権がコマンド&コントロール(C2)サーバに流出する恐れがある。
トレンドマイクロで「TippingPoint」担当のバイスプレジデント兼統括マネジャーを務めるブレーク・サザーランド氏は次のように指摘する。
暗号化は端末のどちら側でも実行できる。暗号化がデータの持ち出しやC2コミュニケーションの有効化を目的として行われたかどうかを判断するためには、データパケットの暗号化されていない部分のルールを当てはめることになる。
同氏は英Computer Weeklyのインタビューに答えて次のように語った。「多くの企業は、F5 Networksの『BIG-IP』を導入してデータセンターでSSLを終端処理している。このシステムの背後に当社の製品を設置して、トラフィックを監視することになる」
アジア太平洋地域の企業は、TippingPointのような侵入防止システム(IPS)の導入が進んでいる。TippingPointは暗号化されたトラフィックを調べ、アクティビティーに悪意の兆候がないかどうかを確認する。サザーランド氏によると、IPSの導入は一般に医療サービスプロバイダーよりも金融機関の方が進んでいるという。
「こうしたシステムの導入が進んでいる要因の一つは、世界的なサイバーセキュリティ人材の不足にある。この地域では特にその傾向が強いと考えている」(サザーランド氏)
IPSはネットワークやアプリケーションのパフォーマンスに影響するのではないかという懸念に対して、同氏は次のように話す。「TippingPointのIPSエンジンは、特に長いレイテンシによって速度が落ちる恐れのあるモノのインターネット(IoT)アプリケーション向けに、正当なトラフィックを素早くプッシュするように設計している」
暗号化トラフィックのピーク時に対応する場合は、複数のアプライアンスを組み合わせることができる。ただしクラウドでは、仮想プライベートクラウドが依然高いスループットに対処できないため、「まだ問題は解決されていない」と同氏は話す。
世界的にサイバーセキュリティの人材が不足する中、トレンドマイクロでも他のセキュリティサプライヤーと同様、機械学習技術を用いて暗号化トラフィックにサイバー攻撃が潜んでいる可能性についての警告を生成している。
その後、既知の脅威が自動的に判断されてブロックされ、正当なトラフィックは通過する。さらに調査が必要な、疑わしいトラフィックについては警告が発せられる。
多くの企業が個人データ保護制度の対象となる中、ポリシーを使って暗号化された正当な送信トラフィックを許可する企業が増えている。例えば従業員のブラウザからインターネットバンキングのWebサイトに送られるトラフィックなどを許可する。TippingPointでもこうした機能を2019年秋にリリースする予定だ。
「この機能をポリシーベースにするのは、顧客がプライバシー法に違反しないようにするためだ。顧客が暗号化を解除する場合としない場合を調整するための制御を提供する必要がある」とサザーランド氏は話す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[富士ソフト株式会社] 受注業務は既に変革のステージ 出遅れて競争力を失わないためのDX戦略 -
市場調査・トレンド
[富士ソフト株式会社] 受注業務でありがち 「今は困っていない」と見直しを先送りにすることの弊害 -
製品資料
[富士ソフト株式会社] 「B2B EC」選定を製品比較から始めると迷走する理由 -
技術文書・技術解説
[SB C&S株式会社] 「Everpure FlashArray」技術詳細解説資料:概要から認証、サイジングまで解説 -
市場調査・トレンド
[セコムトラストシステムズ株式会社] EDR導入を成功に導くロードマップ:選定/稟議/運用のつまずきを防ぐコツ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
ネクスウェイとドリーム・アーツ、多店舗運営を支援する「店舗matic」をSaaSで提供
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
-
8
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
9
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
10
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
7
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
8
サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
生成AIの活用を阻む「5つの壁」とは? AIネイティブ組織へ変革を遂げる方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー