クラウドコストの賢い削減術【後編】
クラウドサービスの料金を1円でも節約するための具体的な方法
クラウドサービスの料金を節約するための万能の方法はない。自社の状況に応じてクラウドサービスの機能や料金プランを組み合わせることが大切だ。クラウドコスト管理の勘所を紹介する。
前編「クラウドの利用料金がなかなか安くならない4つの原因」と中編「クラウド料金が安くならない“リソース使い過ぎ問題”を解消する方法」の2回にわたり、クラウドサービスのコストを抑える方法を解説してきた本連載。後編は、クラウドコストの管理に関して取るべき具体的な6つの行動のうち、中編で紹介した2つに続く4つを紹介する。
3.自動スケーリングを使う
中編で取り上げたリソース適正化には、自動スケーリング機能を利用できることがある。自動スケーリング機能は、ユーザー企業が運用するシステムで一時的に多くのリソースが必要となったとき、リソースを自動で追加する。追加で割り当てたリソースが不要になると、リソースを自動で既定値に戻す。
ユーザー企業は自動スケーリング機能を使用すると、デフォルトのリソース使用量を抑えながら、リソース需要の高い期間にも対処できる。主要なクラウドベンダーは、ニーズに合わせて利用可能な自動スケーリング機能やサービスを用意している。
4.データの転送を慎重に計画する
クラウドサービスのデータ転送には、コストがかかることがある。転送や受信など、コストを伴うデータ移動の種類はクラウドサービスごとに異なる。そのためクラウドサービスの課金体系を細部まで理解することが重要だ。これを理解したら、コストを伴うデータ転送の回数を最小限に抑える。
例えばデータの転送に課金するクラウドサービスの場合、クラウドインフラに保管しているデータへのアクセスが必要なアプリケーションは、同じクラウドサービスで運用するとよいだろう。このような調整をすると、例えばクラウドストレージからオンプレミスのアプリケーションに絶えずデータを転送する場合に、都度料金が発生する事態を回避できる。
5.データの種類に応じて低料金のストレージサービスを活用する
クラウドベンダーはさまざまな料金のストレージサービスを用意している。アクセス頻度の低いデータを格納する場合、低料金のストレージサービスを選ぶのがよい。バックアップなどのセカンダリーデータがこれに該当する。
低料金のストレージサービスを選ぶ際は、そのストレージサービスから必要なデータをエクスポートするのにかかる時間を把握しておくことが重要だ。低料金のストレージサービスは、データ処理に時間がかかる場合がある。エクスポートにかかる時間を把握することで、災害復旧など、緊急でデータのダウンロードが必要な状況に適宜備えることができる。
6.割引料金のインスタンスを使用する
主要なクラウドベンダーは、特定の条件下でユーザー企業がインスタンス(仮想マシン)を割引料金で利用できるようにしている。
Amazon Web Services(AWS)の「スポットインスタンス」は、同社のクラウドの余剰インフラを利用して運用するインスタンスだ。一般的なインスタンスである「オンデマンドインスタンス」と比べて、料金は最大90%オフになる。
スポットインスタンスの問題は、可用性を保証しないことだ。そのためWebアプリケーションのホスティングなど、常時運用が必要な用途には向いていない。一方でデータ分析など、定期的かつ一時的にリソースを使用する用途であれば、スポットインスタンスを使用すると大幅なコスト削減につながる可能性がある。
インスタンスを事前予約して料金を前払いすることで、料金を割り引くサービスを提供しているクラウドベンダーも少なくない。
どのような状況でも絶対にコストを削減できるような、唯一の方法はない。コストを抑制するには、無駄なコストを生み出す可能性のある要素に目を向け、自社のインフラの利用状況に合わせて、無駄なコストの発生を回避するツールとプロセスを導入することが必要だ。
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クラウドコストの賢い削減術
クラウドのコストを削減するためには何が必要で、どのような落とし穴があるのか。戦略とベストプラクティス、思わぬコストがかかる原因を、具体的に説明する。
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