「FI」「CO」「PP」「MM」とは何か?
「SAP ERP Central Component」(SAP ECC)の10大コンポーネントをおさらい
「SAP ERP」の中核となるソフトウェア「SAP ECC」は、多数のコンポーネントで構成されている。ユーザー企業がよく導入している10個のコンポーネントについて、機能と用途を解説する。
SAPの「SAP ERP Central Component」(SAP ECC)は、オンプレミスのERP(統合業務)ソフトウェア群「SAP ERP」の中核となるソフトウェアだ。SAP ECCは、社内のビジネスプロセスを統一し、あらゆる部門の相互のやりとりが簡単になるよう設計されている。
SAP ECCは、特定の分野に関するコンポーネントや、ビジネスのデータをリアルタイムに収集するコンポーネントなど、複数のコンポーネントで構成される。SAP ECCコンポーネントで収集したデータは、販売や製造のような関連分野で使用することができる。SAP ECCコンポーネント同士を連携させることで、データに基づくビジネス上の意思決定の最適化が可能になる。SAP ECCの前身となるSAPの「SAP R/3」は、コンポーネントに相当する要素をモジュールと呼んでいた。
本稿は、SAP ECCコンポーネントのうち、最もよく導入されているコンポーネントのトップ10を一覧にして紹介する。SAPは新たなERP製品の最新版「SAP S/4HANA」を販売しており、SAP ERPの保守サポートは2025年で終了する。それでも現在、SAP ERPを使っている企業は少なくない。SAP ERPを最大限に活用できるよう、この一覧をガイドや早見表として使用してほしい。
SAP ECCのコンポーネント10個
財務会計(FI)
「財務会計」(FI)は企業の財務取引を処理するコンポーネントだ。「売掛金」「買掛金」「銀行関連会計」「資金管理」「旅費管理」などのサブコンポーネントのデータを可視化したり、統合したりするために使われる。FIは「SAP FICO」を構成するコンポーネントの1つだ。SAP FICOは、FIと後述の「管理会計」(CO)を組み合わせ、SAP ECCの中核コンポーネントとして表すために使われる用語で、2つのコンポーネントが密接に結び付いていることを示している。
管理会計(CO)
COは「原価センタ会計」「製品原価計画」「収益性分析」「内部指図」などのサブコンポーネントから構成される。FIは財務諸表への入出力を重視する一方で、COは企業運営のコスト監視と、収益性の向上に重点を置く。例えば企業は、COの製品原価計画機能を使用することで、試算した原価と実際の原価を比較できる。
販売管理(SD)
「販売管理」(SD)は顧客データや価格、品目などのマスターデータを保存し、データを用いて受注、輸送、請求管理、請求書などを管理できるようにする。SDは、顧客の発注を自社で受注し、入金を確認するまでのサイクルの中で、他のSAP ECCコンポーネントと連携して機能する。顧客が製品を受け取ったら、SDで管理する請求書に売掛金が加えられ、顧客の支払いが確定する。
在庫/購買管理(MM)
「在庫/購買管理」(MM)はSAP ECCのロジスティクス(物流)機能における重要なコンポーネント。製造業者が持つ原材料や、社内で利用するオフィス用品などの在庫を管理する。MMは品目や作業区、作業手順、部品表/配合表などのマスターデータを取り込んで展開する。こうしたマスターデータは、SAP ECCで取引データを作成するために使用できる。MMは物流を追跡し、物品の不足が生じることを防ぐ助けになる。コスト効率の高い方法で製品を購入する方法を検討する際にも役立つ。
生産計画(PP)
「生産計画」(PP)は製品の製造、販売、流通の計画管理に役立つ。「資材所要量計画」「部品表/配合表」「作業手順」「能力所要量計画」などのサブコンポーネントを利用できる。PPはSAP ECCで一元管理するマスターデータを利用しており、MMやSDなどの他のコンポーネントと連携させることが可能だ。例えばPPのサブコンポーネントである「製造指図」に、製造に必要な作業や製造予定日などの必要項目を登録すると、PPはMMのデータを使用して製品の製造に必要な原材料の種類と量を特定し、SDは原材料に関するデータを受注に使用する。
品質管理(QM)
「品質管理」(QM)は不良品の防止や製造プロセスの継続的な改善、品質管理プログラムの保守を目的としている。QMは、FIやCO、MMなど他のSAP ECCコンポーネントと連携しながら、調達、製造、設備管理、販売などのプロセスに組み込まれる。これは通常、製品ライフサイクル(製品の導入から衰退までのプロセス)の途上にある製品を検査するビジネスプロセスで使われる。QMは、相互に連携し合う多数のサブコンポーネントで構成される。QMを構成するサブコンポーネントには「品質計画」や「品質管理」(QM-QC-AQC)などがある。前者は品質検査計画の管理に役立つ。後者は検査結果を基に、品質データの管理や更新などを可能にする。
プラント保全(PM)
「プラント保全」(PM)は主に、製造機械の保守担当者や製造ライン作業員、購買部門に関係のあるコンポーネントだ。製造機械に組み込まれたシステムの検査や修復、定期保全のために利用する。
製造機械に問題が生じた場合、PMは警告を出すことで機械の故障や製造の中断を防ごうとする。システムの自動修復機能もある。
得意先サービス(CS)
「得意先サービス」(CS)は顧客に提供するサービスの管理と処理を支援する。CSを使用すると、サービスの受注状況の把握、顧客へのサービス料の請求ができる。設備の場所や顧客番号などの関連データを管理することも可能だ。CSはPMやSDなど、他のSAP ECCコンポーネントと連携する。PMと連携することで、顧客に提供するプラント保守サービスへ利用でき、SDとの連携で請求処理が可能になる。
プロジェクトシステム(PS)
「プロジェクトシステム」(PS)は複数要素で構成される、大規模なプロジェクトの管理を支援する。プロジェクトを作業単位に整理して、個別の作業ごとにタスクを管理する。PSは「日付」「資源、」「品目」「原価」「収益と利益」という5つの主要なサブコンポーネントで構成される。プロジェクト管理者はプロジェクトの各段階で、これらの項目を調整できる。例えばコストを調整し、予算内の範囲で必要に応じて資金を投入することもできる。PSはプロジェクトに関する部門別データへのアクセスを可能にするために、他のSAP ECCコンポーネントと密接に連携する。
人事管理(HCM)
「人事管理」(HCM)はコンプライアンス(法令順守)や給与支払い、勤怠管理、福利管理、キャリア開発など、人事において重要なプロセスで利用できる。HCMのもう一つの重要な役割は、採用から契約解除まで従業員の個人情報を管理することにある。
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