小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド【第7回】
PCやタブレット選定で終わってはいけない、教育現場の「学習用ツール」の選び方
教育機関での普及が進む「学習者/指導者用コンピュータ」で使うソフトウェア「学習用ツール」には、どのような種類があるのか。タイプ別の概要と、選び方のポイントを説明する。
第5回「教育IT推進に不可欠な『デジタル教科書』『デジタル教材』『学習用ツール』とは」では、教育分野のデジタルコンテンツやソフトウェアである「デジタル教科書」「デジタル教材」「学習用ツール」の概要を紹介した。第6回「『デジタル教科書』で優先すべきなのは指導者用? 学習者用? その答えと理由」で取り上げたデジタル教科書とデジタル教材に続き、第7回では学習用ツールのタイプ別メリットとデメリット、選び方のポイントを解説する。
併せて読みたいお薦め記事
小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド
さまざまなコンテンツを使った教育活動
学習用ツールのタイプ別解説
主要なタイプ
学習用ツールは「汎用(はんよう)学習支援型」と「学校専用学習支援型」に分類できる(図)。
汎用学習支援型学習用ツールは、企業で一般的に利用するオフィスツール(ワープロ、表計算、プレゼンテーションソフトウェア)のような、学校だけで利用するのではなく幅広いニーズに応えるソフトウェアだ。昨今は、クラウドを利用した協働作業のための機能も充実しており、学校における活用の幅も広がっている。
学校専用学習支援型学習用ツールは、学校での使用を前提とし、学校のニーズに寄り添って開発されたソフトウェアだ。こちらも昨今のIT環境整備に沿ってさまざまな機能が登場している。
各タイプのメリット、デメリット
学習用ツールの各タイプのメリット、デメリットは以下の通りだ。
| タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 汎用学習支援型 | ・社会人になってもそのまま使える ・一通りの汎用的な機能がそろっている ・教員にとっては、慣れ親しんだ操作で利用できる |
・学習専用ツールと比べるとユーザーインタフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)が大人向けに設計されているため、特に小学校低学年では使いこなしにくい |
| 学校専用学習支援型 | ・学習専用の支援ツールであり、児童生徒にとって直感的に利用しやすい ・汎用学習支援ツールなど他の教材と併用しやすい |
・教員が各ツールに応じた指導法を学ぶ必要がある ・卒業や退職などで学校と関わりがなくなると、使うことは少なくなる |
学習用ツールの選び方のポイント
学習用ツールは、利用するコンピュータが搭載するOSによって相性の良いツールが異なる。特に学校専用学習支援ツールは、コンピュータ間の連携設定が重要であり、初期設定が必要なケースも少なくない。従って、ハードウェア選定と同時に初期設定を実施し、最初の障壁をなるべく低くした方がよい。
デジタルコンテンツは、整備したハードウェアを効果的に活用するためには不可欠だ。限られた予算の中でも環境に合った整備を進めていただきたい。
執筆者紹介
高橋 純(たかはし・じゅん) 東京学芸大学教育学部准教授 博士(工学)
1972年神奈川県生まれ。修士(教育学)、博士(工学)。園田学園女子大学情報教育センター助手、富山大学人間発達科学部准教授を経て、現在、東京学芸大学教育学部准教授。教育工学、教育方法の改善、教育の情報化に関する研究に従事。第17回日本教育工学会研究奨励賞受賞。中央教育審議会専門委員(初等中等教育分科会)、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議委員、日本教育工学協会副会長など。
粟田 輝(あわた・あきら) チエル社長室長
1982年広島県生まれ。2008年、慶應義塾大学大学院理工学研究科・開放環境科学専攻修了。2008年、日本総合研究所入社。2018年から現職。これまで教育関連企業向けのコンサルティングを多数実施し、企業の目線から教育現場へのIT導入などを推進。最近は各種執筆や勉強会での講演など、精力的に活動している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
「0.3秒のスピード顔認証」の入退室管理が社員に好評 事例に学ぶオフィス改革
-
4
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
5
エンジニアの生産性はどう測る? マネジメントに不可欠な可視化の実現方法とは
-
6
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
7
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
8
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
9
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー