小売業や飲食業は苦戦か
地方への移住が加速、「STEM」が成長――McKinseyが示す“コロナ後の世界”
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック収束後、雇用市場はどう変化するのか。McKinsey & Companyの調査結果を基に考察する。
経営コンサルティング企業McKinsey & Company(以下、McKinsey)の調査部門であるMcKinsey Global Instituteの新しい調査によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)収束後の職場は、従業員がこれまで慣れ親しんできた職場から大きく変わる。さまざまな仕事がなくなり、何百万人もの従業員を再訓練する必要が生じる。さらに学位の有無ではなく従業員のスキルと能力に焦点を当てて、役職の概念が再考されることになるだろう。
新型コロナ収束後の世界、雇用市場はどう変わる?
McKinseyのパートナーであり調査レポート「The future of work after COVID-19」の著者であるスーザン・ルンド氏によると、レジャーや旅行の需要は再び伸びるものの、企業の出張はパンデミック発生以前より減少する。パンデミックを通して企業はWeb会議を「実際に開催することができ、非常に効果的な手段だと学んだ」とルンド氏は語る。McKinseyは、Web会議がより快適に使えるようになると期待している。
ルンド氏によると、最も減る可能性が高いのは社内会議のための出張だ。幹部が「たった1時間の会議のためだけに飛行機に乗ることは二度とない」と話すのを、同氏は何度も耳にしているという。McKinsey Global Instituteのパートナーであるアヌー・マドガカー氏は「企業が通常の業務形態に戻ることがないのは明らかだ」と述べる。
調査レポートによると、パンデミックが本格化する前には雇用の伸び率は米国やヨーロッパの大都市が高く、小さな都市や地方都市は後れを取っていた。2020年には主要都市でオフィスの空室率が大幅に上昇し、一部の企業は小都市へサテライトオフィスの開設を検討しているという。調査レポートはビジネスSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「LinkedIn」のデータを利用した分析結果を含んでおり、2020年には2019年よりも多くのLinkedInユーザーが大都市から小都市に移動したことを示す結果も紹介している。
米国の大都市では住宅賃料が下がっている。人々が都心から離れて、米国ウィスコンシン州マディソンや同フロリダ州ジャクソンビル、パンデミック時に大きな成長を遂げた同ユタ州ソルトレイクシティーなどに移住したことでこの傾向が現れた。
パンデミック収束後の職場の変化は、個人の仕事に影響を及ぼす。ヘルスケアなどSTEM(科学、技術、工学、数学)スキルを必要とする業種や運送業の仕事が増加する見込みだ。観光旅行業を含むホスピタリティ業や小売業、飲食業、事務補助業などの業種の仕事は大きく減少するとみられる。
雇用市場において、もともと不利な面を持つ女性や少数民族グループのメンバー、学位を取得していない労働者など少数派グループの人々は「これから転職の矢面に立つ可能性が高い」とマドガカー氏は述べる。「多くの女性がカスタマーサービス分野で働いているので、特に大きな影響を受けるだろう」(同氏)
マドガカー氏は、数百万人の離職者が新しい職種に従事するために訓練を受ける必要があると指摘する。企業は、労働者が学位を取得しているかなどの条件だけではなく、新しい職種で労働者が効率的に力を発揮するために必要なスキルに焦点を合わせる必要があると同氏は説明する。
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