AWSの「リージョン」と「アベイラビリティゾーン」(AZ)の基礎知識【後編】
AWS「マルチリージョン」「マルチAZ」を比較 どちらがお得? どちらが簡単?
AWSはワークロードのインフラに複数のデータセンターを利用する「マルチリージョン」「マルチAZ」を構成可能だ。そもそもマルチリージョンとマルチAZの違いとは何か。どちらを選ぶべきなのか。
Amazon Web Services(AWS)の「リージョン」「アベイラビリティゾーン」(AZ)を利用することで、ユーザー企業はワークロード(アプリケーション)のインフラを地理的に分散させることができる。ワークロードを実行する際に、複数のリージョンを利用することを「マルチリージョン」、複数のアベイラビリティゾーンを利用することを「マルチAZ」と呼ぶ。AWSの利用料金とワークロードの運用方法に与える影響は、マルチリージョンとマルチAZで異なる。本稿は2つの違いを説明する。
コストの面から「マルチリージョン」「マルチAZ」を検討する
併せて読みたいお薦め記事
連載:AWSの「リージョン」と「アベイラビリティゾーン」(AZ)の基礎知識
リージョンという概念を理解する
リージョンは地域ごとのデータセンターの集合体であり、リージョンを構成する1つまたは複数の小規模なデータセンターをアベイラビリティゾーンと呼ぶ。複数のリージョンまたはアベイラビリティゾーン間でミラーリングをすることで、ワークロードの冗長性と可用性を高められる。例えばあるアベイラビリティゾーンに障害が発生しても、別のアベイラビリティゾーンでワークロードの稼働を継続できるようになる。複数のリージョンでのワークロードの運用にも同じことが言える。
マルチリージョンにせよ、マルチAZにせよ、複数のデータセンターを利用する構成を採用すれば、AWSの利用料金は高くなる。冗長なワークロードをホストするコストに加え、データをリージョン間で移動する際のエグレス(出力)料金が掛かる。
全てのワークロードを同じリージョンに保持すると、利用料金の計算と予測が容易になる。AWSはほとんどのサービスの利用料金をリージョン別に設定している。特定のリージョンでワークロードを稼働させる限り、そのリージョン内のどのアベイラビリティゾーンを使用しても、サービスの利用料金は同一だ。
複数のリージョンを使用すると、利用料金の予測が難しくなる。仮想マシンサービス「Amazon Elastic Compute Cloud」(EC2)の仮想サーバ(インスタンス)の利用料金は、同じ種類のインスタンスを利用しても、リージョンが違えば増減する可能性がある。例えば2022年7月時点の一般的なインスタンスタイプ「c6g.large」の利用料金は、通常の従量課金体系である「オンデマンドインスタンス」で利用した場合、以下の通りだ。
- 米国東部(バージニア北部)では0.068ドル
- 米国西部(北カリフォルニア)では0.0848ドル
マルチAZはワークロードの構築が容易
マルチAZでワークロードを実行するのは、マルチリージョンで実行するよりも簡単だ。大半のAWSサービスは、AWSの管理コンソール「AWS Console」でアベイラビリティゾーンを追加したり、削除したりできる。必要な作業はアベイラビリティゾーンの設定をコンソールで変更することだけだ。リージョンの場合は、使用する各リージョンに、個別にワークロードを構築しなければならない。
マルチリージョンとマルチAZのどちらを選択すべきか
マルチリージョンとマルチAZは、同じ水準の冗長性を確保できる。ワークロードの冗長性を高めたいだけなら、コストとワークロード管理の点で、より扱いやすいマルチAZが適している。
マルチリージョンは、災害復旧(DR)インフラの構築や、地理的に離れた場所にいるエンドユーザーへワークロードを提供する際に適している。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
4
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
5
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
6
ANAが専用回線から移行した「NaaS」の全貌 ネットワーク準備が数カ月から数週間に
-
7
「プログラマー不要論」にThe Linux Foundationが示した答え
-
8
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
9
「高すぎるGPU」を捨てAI推論をCPUへ Armが示す電力とコストの現実解
-
10
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー