SSDとHDDどちらを選択するか【後編】
なぜ“SSD全盛”時代でも「HDD」どころか「テープ」まで消えないのか
SSDは性能や耐久性の高さから企業の重要業務に活用されているが、HDDも依然として広く使われている。ストレージとしては第3の選択肢も存在する。それぞれの使い分けを考える。
SSDはHDDと比較した場合のパフォーマンスや耐久性の良さから、企業の基幹業務にも広く採用されるようになった。一方で、HDDも依然として使われ続けている。SSDとHDDの基本構造や性能、耐久性、コスト面での違いに触れた前編「『性能では“SSDが勝ち”』でもなぜHDDが使われ続けるのか」に続き、後編で用途別のSSDとHDDの使い分けの実態と、両者を補完する“第3の選択肢”「テープ」にも目を向ける。
SSDとHDDのどちらを選択するか? 第3の選択肢テープも健在
性能、耐久性、エネルギー効率の観点から、組織は高速なデータアクセスが求められるミッションクリティカル(業務継続に不可欠)なアプリケーションにSSDを採用している。具体的には、ネットバンキングや株式取引、航空予約、リアルタイム分析といった分野で活用されている。
一方、データセンターや一般企業のIT環境では、コストの低さを理由にHDDが広く使われ続けている。監視カメラの映像やメディアライブラリなど、頻繁なアクセスを必要としない「ウォームデータ」や「コールドデータ」、あるいはバックアップやアーカイブといった用途に適している。特に大容量データの保存では、SSDの価格がネックとなるケースが多く、HDDが選ばれる傾向にある。
人工知能(AI)の分野でも、SSDとHDDは異なる役割を担っている。例えば、HDDは大規模な生データセットの保存やデータレイクに使われる。一方、SSDは、データの迅速な処理や大規模言語モデル(LLM)の構築、AIトレーニングの実行に用いられることが多い。
その他のストレージの選択肢
企業におけるデータストレージといえば、一般にSSDやHDDが主流だが、「テープストレージ」(以下、テープ)も依然として重要な選択肢として存在している。データセンターでは数十年にわたりテープストレージが活用されてきた。その終焉(しゅうえん)がたびたび語られる一方で、現在もバックアップやアーカイブ用途を中心に広く使われている。
テープは、コールドデータ(長期間アクセスされないデータ)や非アクティブなデータを大量に保存するのに適しており、サイバー攻撃からのデータ保護手段としても有効だ。ネットワークから切り離した“オフライン保管”が可能であるため、ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)などの脅威から守りやすいという利点がある。
テープの規格として一般的に採用されているのがLTO(Linear Tape-Open)だ。最新世代である「LTO-9」のテープカートリッジは、1本で非圧縮時18TB、または圧縮時45TBの容量を提供する。
企業がコールドストレージ用途でテープを選ぶ主な理由は、HDDと比べてコストが低く、管理に必要なリソースも少ないためだ。テープは高い耐久性を備え、長期間にわたりデータを保持できる特性がある。暗号化機能やWORM(Write Once Read Many:1回書き込み/複数回読み取り)機能にも対応しており、セキュリティ要件にも応えられる。
ただし、テープストレージには課題もある。特に、導入時の初期コストが高くなりがちなことや、リニアアクセス(順次アクセス)の特性により、必要なデータの読み出しに時間がかかる点だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[サイボウズ株式会社] DXに必要な「Dスキル」「Xスキル」を持った人材を育成するには? -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] データで見る、DXが「順調に進む企業」と「つまずく企業」の違い -
製品資料
[サイボウズ株式会社] 賛否が割れがちな「Notesからの移行」 新環境への移行を納得してもらうには? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 農林中金に学ぶ内製開発 処理効率を約2倍に高めAI活用も加速させた方法とは? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] NTTグループのデジタル変革術、17万人が利用する決裁プロセス刷新の全貌
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
2
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
3
サーバ約70台をAWSへ ヤナセが移行前にやった「通信要件の可視化」
-
4
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
5
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
6
多品種小ロットの「手書き・配合ミス」を克服 キャニオンスパイスの食品工場DX
-
7
AIインフラの理想形? 「5層のケーキ」を垂直統合するための近道とは
-
8
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
9
「AI活用」を掲げた年金刷新が炎上 英政府が大手ITアウトソースを切り捨て「内製回帰」した理由
-
10
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
7
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
8
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
9
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー