業務整理のポイントと求められるスキル
情シスもフルリモートで働ける 転職エージェントが教える必須スキル
情シス担当者はリモート勤務と相性が悪いといわれることがある。一方、情シスとしてフルリモートで働きたいという声も多い。希望をかなえるにはどのようなスキルが必要なのか。情シス転職エージェントに聞いた。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を契機に、多くの企業でテレワークが導入されました。情報システム(情シス)部門の担当者から、「情シスでもフルリモートで働くことはできるのか?」という問いが投げ掛けられることがあります。今回は、フルリモートで活躍できる情シスに必要なスキル、マインドを紹介します。
“フルリモート情シス”をかなえるために必要な要素は
情シスというポジションは、フルリモートとは相性がよくない職種ではないかという声があります。その理由としては、例えば以下が挙げられます。
- 物理的に社内へ行かなければ解決できない業務がある
- インフラ環境を現場で触る
- 実機を触ってキッティングや交換を実施する
- PCやシステムの不調を訴える従業員に対応する
- 入退社や異動に伴う端末業務がある
- PCやスマートフォンの受け渡し、回収、初期設定、棚卸し、廃棄など物理的な作業が発生する
- セキュリティ上、社外からできない作業が存在する
- 重要システムへのアクセスや特権IDを使った管理作業を、社内ネットワークや指定端末からしか認めていない企業がある
それでもフルリモート化できる業務も
一方、クラウド化が進み物理インフラが減少した企業や、ゼロタッチキッティングを導入している企業もあります。技術の発展によって、情シスがフルリモートで働くための課題は減りつつあるといえます。
ここで、「フルリモートで働く情シス」に一歩近づくために、現状の業務を「比較的リモート化しやすい業務」「仕組みを変えればリモート化できる」「物理的な現地対応が必要になる業務の例」の3つに切り分けてみます。どの業務が出社の前提になっているのかを整理することで、フルリモート化に向けて見直すべきポイントが見えてきます。
- 比較的リモート化しやすい業務の例
- SaaSのアカウント管理、権限設定
- クラウドサービスや業務システムの設定変更、運用監視
- チャットやWeb会議、リモート操作ツールを使ったヘルプデスク対応
- EDRやSIEMなどを利用したセキュリティ監視、ログ調査
- IT資産やライセンスの台帳管理、各種申請の承認
- 仕組みを変えればリモート化できる業務の例
- PCのキッティング
- ゼロタッチキッティングに切り替える
- PCの配布や回収
- メーカーや物流事業者から従業員宅への直接配送、宅配便による返却などの仕組みを整える
- PC故障時の対応
- 予備端末の配送やメーカー保守、リモート操作を組み合わせることで、情シス担当者の現地対応を減らす
- 重要システムの管理作業
- VPNやZTNA、MFA、特権ID管理などを整備し、安全なリモートアクセス環境を構築することで社外から実施できる場合がある
- サーバやネットワーク機器の運用
- クラウドへの移行や監視・保守の外部委託によって、現地作業を減らす
- PCのキッティング
- 物理的な現地対応が必要になる業務の例
- ネットワーク機器やサーバ、UPSなど物理機器の故障、交換作業
- オフィス内の配線や無線LANなど、現地での確認が必要なネットワーク障害対応
- 端末や記録媒体の棚卸し、廃棄など、物理的な確認や受け渡しが必要な作業
重要なのは、「出社しなければできない業務」を洗い出し、その作業自体をなくせないか、クラウドや自動化によってリモート化できないか、外部事業者や現地担当者へ任せられないかを検討することです。フルリモート情シスを実現するには、個人のスキルだけでなく、情シス業務そのものを「担当者がその場にいなくても回る形」に再設計する必要があります。
フルリモート情シスに必要なスキル、マインド
情シスに限らず、「自分で考え、判断し、責任を持って行動できる」というのは絶対条件になります。さらに情シス人材の場合、スキルやマインドで重視するポイントがあります。
スキル
日々さまざまな領域の技術が発展し続けています。新たな技術やサービスに対して常にアンテナを張り、組織の課題にいつも最善の回答を提示できることが大切です。
リモート環境におけるセキュリティ構築の経験があること。その環境を常にセキュアな状態に保持できることも重要です。
マインド
フルリモートでは、対面での会話に加えて、チャットなどテキストを使ったコミュニケーションの比重が高まります。ハイコンテクストな環境でも、相手の発言内容と合わせて、その場の雰囲気や間合いから相談の背景や思いをくみ取れることは重要なポイントです。
テキストが主流の職場環境では、チャットの対応をしながら、自身の業務を進める必要があります。チャットの通知が届いたら、手元の業務を止めてでも内容を確認し、柔軟に対応できるようにします。
相談されやすい存在になれているかどうかも重要な要素です。特に、転職後すぐフルリモート勤務となった場合、自分がどのような人物か社内に周知する機会を作るところから始める必要があります。従業員の困りごとを相談される立場として、人となりが分からないと気軽に相談する対象になることは困難です。
出社していれば、オフィスでアンテナを張り、困っている人を見つけやすいです。一方フルリモートであれば、オフラインでも情シスが課題を吸い上げ、解決を主導できる体制作りを進める必要があります。
企業側の理解
一方、リモートワークからハイブリッドワークへ移行する企業や、出社中心に移行する企業も目立ち始めました。「情シスでフルリモート可能」を掲げる企業の数はそれほど多くありません。しかし、出社するか否かに限らず、どのような職場環境であっても同等あるいはそれ以上に価値を発揮できる人材であることは重要な点です。
今までフルリモート可能だったが、出社を求められることになった場合はどうすればいいでしょうか。「本来は出社してほしいが、あなたはフルリモートでも価値を発揮できる人材なので特例でフルリモートを認める」と上長が認めるほどのスキルとマインドを持っているかどうか振り返るいい機会になると思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法 -
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
2
生成AIで開発工数を圧縮 「工数150分の1」を叩き出した実例
-
3
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
4
高額GPUが遊んでいるのはなぜ? AIインフラを襲う根深い「データ待ち」問題
-
5
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
6
無課金から要課金まで AIの基本や応用がマスターできる“学習コース”9選
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
1日200件の電話対応から解放 ベルクが電話代行ではなくIVRを選んだ3つの理由
-
9
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
10
OpenAIが叫ぶ法規制の裏で 情シスが今すぐ固めるべきAI防衛策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー