アラート過多と属人化でまひする現場実態
「セキュリティ疲れ白書 2026」 4社に3社が疲弊し9割が属人化
相次ぐアラートやツール管理に現場が限界を迎えるなか、国内企業の約75%が「セキュリティ疲れ」に直面している実態が判明した。対策強化のはずが現場をまひさせる属人化と運用崩壊の4大要因に迫る。
守りを固めるために導入したはずのツールが、日々の業務を圧迫している。鳴り止まないアラートの対応に追われ、管理コンソールを行き来するうちに気付けば対応手順は「特定の担当者しか分からない」状態へ陥る。
現場のリソースが限界を迎えるなか、セキュリティ対策の強化がなぜか組織のまひを招く悪循環から抜け出すにはどうすればよいのか。本稿では、調査で判明した「セキュリティ疲れ」の実態から、現場を疲弊させる構造要因と運用の破綻を防ぐための改善点を整理する。
「セキュリティ疲れ白書」 4社に3社が「疲れ」実感
ITディストリビューターのTD SYNNEXは2026年9月7日、企業のセキュリティ運用についての調査結果をまとめた「セキュリティ疲れ白書 2026」を発表した。従業員300人以上で複数のセキュリティ製品を導入している国内企業のIT部門責任者、セキュリティ担当者、経営層410人を対象に実施した。
調査によると、複数のセキュリティツールの運用やアラート対応によって疲弊感や限界感を「強く感じる」(23.2%)または「やや感じる」(52.2%)と回答した割合は合計で75.4%に達した。対策を強化するために重ねて導入したツールが管理の複雑化を招き、4社に3社で運用の負担になっている実態が浮き彫りとなった。
9割弱で運用が属人化、人材不足が重くのしかかる
現場の疲弊を深めている背景には、組織構造上の課題もある。セキュリティ運用の特定担当者への依存(属人化)について尋ねたところ、「強く感じる」または「やや感じる」と答えた割合は87.3%に上った。
さらに、人材不足が運用に与える影響については、78.8%が「深刻な影響がある」または「ある程度影響がある」と回答した。限られた担当者に運用判断や実務対応が集中しているため、平時の運用だけでなく、インシデント発生時の初動対応や事業継続計画(BCP)の実効性にも影響が及ぶリスクを抱えている。
現場が求めるのはツールの追加ではなく「自動化と優先順位付け」
セキュリティ運用の改善に向けて今後最も求めるものを聞いた設問では、「アラート対応の自動化・優先順位付け」が36.3%で最多となった。次いで「脅威の可視化・ダッシュボード強化」(26.1%)、「ツールの統合・一元管理プラットフォーム」(17.8%)が続いた。単に新しい防御ツールを導入するのではなく、大量の通知から対応すべき脅威を選別し、迅速に状況を把握できる仕組みが求められている。
運用崩壊を招く4つの構造要因
同白書では、現場に疲弊感をもたらす要因として4つの構造を挙げている。
- ツール過多:管理画面の分散と運用負担の増加
- アラート疲れ:大量の通知やノイズによる確認作業の増大
- 可視性ギャップ:状況を把握できているという認識と、脅威を見逃しているかもしれない不安の併存
- 人材不足と属人化:限られた担当者への判断と作業の集中
持続可能なセキュリティ運用を維持するためには、ツールの数を増やすことではなく、分散した情報の集約やアラートの優先順位付けを進め、脅威の全体像を速やかに把握できる体制づくりが鍵になるとしている。
調査概要:複数のセキュリティツールを使用する組織の運用負荷についての調査。従業員300人以上かつ複数のセキュリティ製品を導入している国内企業のIT部門責任者、セキュリティ担当者、経営層410人を対象に実施。
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