既存システム延命の限界
“機能不足”のクラウドが招く運用破綻 JCOMが「kintone」集約を決断した理由
クラウドサービスを導入しても、機能不足による手作業でのデータ更新が頻発するケースは少なくない。データ不整合や運用負荷の増大といったリスクをどう解消すべきか。JCOMの端末管理システムの移行事例を紹介する。
業務効率化を目的にクラウドサービスを導入したものの、システム間の連携が取れず、結果的に「人間が手作業でデータを転記・更新している」というケースは少なくない。JCOMの法人向けモバイル端末レンタルサービス部門も、かつては同様の課題を抱えていた。
同部門は端末管理システムとして外部のクラウドサービスを利用していたが、必要な機能が不足しており、複雑な関数や計算式を用いた管理を強いられていた。データを更新するたびにシステム間のキー情報を手作業で再登録するなど運用負荷が増大し、データ管理の正確性や一貫性の維持が危ぶまれる状況だったという。顧客管理システムとしてサイボウズの「kintone」をすでに導入しており、同一の顧客情報を二重管理する非効率も生じていた。
既存システムの更新期限が迫る中、JCOMはシステムの延命ではなく、kintoneへの全面移行を決定した。既存の業務フローが密接にひも付いたシステムを移行するには、期限内での確実な移行や、運用開始直後の仕様調整といったハードルが存在する。同社はいかにしてこの課題を乗り越え、手作業の省略による運用効率化と、ライセンス費用圧縮を達成したのか。
なぜ既存システムの更新ではなく「kintone」への集約を選んだのか
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kintone活用事例
JCOMは、法人向けモバイル端末レンタルサービスにおける端末管理システムをサイボウズのkintoneに移行した。2026年9月9日、システム移行を支援したテクバンが発表した。手作業による更新作業を省略して運用効率化を図るとともに、ドメインの集約によってライセンスの費用削減につなげた。
JCOMは、地域密着型の放送・通信事業を展開する他、法人・自治体向けビジネスとして法人向けモバイルやネットワーク整備、教育ICTなどの地域DX(デジタルトランスフォーメーション)支援を手掛けている。同社の法人向けモバイル端末レンタルサービスでは、これまで端末管理システムとして外部のクラウドサービスを利用していた。
しかし、従来のクラウドサービスはレンタル管理に必要な機能が不足しており、関数や計算式も複雑だったため、手作業の更新や確認が多数発生していた。データを更新するたびにシステム間のデータをひも付けるキー情報も再登録する必要があり、運用負荷の増大とともにデータ管理の正確性や一貫性の維持が課題となっていた。顧客管理システムとしてすでにkintoneを導入しており、同一の顧客情報を扱っていたことから、運用の一元化とシステム基盤の集約が求められていた。
そこでJCOMは、端末管理システムのkintoneへの移行を決定した。支援パートナーには、すでに同部門のkintone導入・運用サポートを担当し、業務やシステムへの深い理解と信頼関係があったテクバンを選定した。テクバンの技術者が開発業務を担う「kintoneテクニカルアウトソーシングサービス」を活用した。
移行プロジェクトでは既存システムの更新期限内に移行を完了させ、システム延命に伴う余分な費用の発生を防いだ。kintoneのドメインを1つに集約したことで、ライセンス費用の圧縮にも成功した。
運用面では、kintoneのルックアップ機能を活用してデータ同士を自由度高く連携できるようにしたことで、従来発生していた手作業による更新作業を省略し、運用の効率化を達成した。運用開始当初に必要となった仕様調整や改修にもテクバンが迅速に対処し、現在は安定した運用を維持している。
今後は、テクバンの伴走支援を受けながら業務効率化や最適化に向けた改善を進めるとともに、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの導入連携などkintoneを中心としたデータ活用領域の検討や、AI技術の業務適用に向けた情報収集を進めていく。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「JCOM、法人端末管理基盤をkintoneに移行 手作業削減とライセンス費用圧縮」(2026年9月11日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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