「ベテランしか分からない」から脱却
コスモ石油、法令申請業務をどうシステム化した? ベテラン頼みの法令判断を解消
コスモ石油千葉製油所は、法令申請業務をMicrosoft製品でシステム化したと発表した。16法令の判断ロジックを組み込み、年間数百件に上る申請の要否判断から承認、進捗管理までを一元化する。
設備工事のたびに、約500ページの解説書や大量の行政資料を確認し、担当者の経験を頼りに申請の要否を判断する――。コスモ石油千葉製油所では、年間数百件規模で発生する法令申請業務が属人化していた。
コスモ石油は千葉製油所の法令申請業務を対象に、Microsoftのローコード開発基盤「Microsoft Power Platform」を活用した法令申請アプリケーションを構築、同業務をシステム化した。システム構築を支援したエクサが2026年9月11日に発表した。
設備の改修や補修、定期整備などに伴って発生する年間数百件規模の法令申請について、申請要否の判断から申請書作成、承認、進捗(しんちょく)管理までを一元化した。狙いは、法令判断の属人化解消と申請漏れなどのリスク低減だ。
約500ページの解説書、消防法は約7冊の資料を確認
千葉製油所では設備工事を始める際、工事内容や対象設備に応じて適用される法令を確認し、必要な申請を実施している。
この業務において課題だったのが、申請が必要かどうか、どの区分で申請するのかを判断する作業だ。従来は法令や解説書、行政資料、過去の申請事例などを担当者が確認して判断していた。
例えば労働安全衛生法については約500ページの解説書、消防法については事務ファイル約7冊分の資料を参照する必要があったという。そのため、法令に精通したベテラン担当者の経験や知識に依存した業務体制となっていた。
一方、若手社員やキャリア採用社員が法令申請を担当する機会が増える中、ベテラン担当者が持つ判断ノウハウをどのように組織内で継承するかも課題となった。
申請後の管理にも問題があった。従来は申請状況を「Microsoft Excel」(以下、Excel)で管理していたため、手作業による更新漏れや入力ミス、申請そのものの漏れが発生するリスクがあった。
「16法令」の判断ロジックをアプリケーションに組み込む
そこでコスモ石油は、法令判断から申請管理までをシステム化することにした。エクサとともに既存の法令判断のロジックを整理し、消防法、労働安全衛生法、高圧ガス保安法など、工事時の判断で利用頻度が高い代表的な16法令について、申請の要否や申請区分を判定できる仕組みを構築した。
基盤にはMicrosoft Power Platformを採用した。構築したアプリケーションでは、法令判断だけでなく、申請書の作成、回覧・承認、進捗管理までを一連のワークフローとして処理できる。
申請時に必要となる完成図書などの関連資料については、製油所で利用する既存のデータ統合基盤などと連携し、アプリケーションから添付できるようにした。
これによって担当者が法令を判断した後、別のシステムやExcelに処理を引き継ぐのではなく、判断から申請管理までを同じ仕組みの中で進められるようにした。
「ベテランがいないと判断できない」をどう解消したか
導入後は、経験の浅い担当者でも、システムに組み込まれた判断ロジックや参考情報を利用して申請要否を確認できるようになった。
コスモ石油 千葉製油所 安全環境課の山村果蓮氏によると、従来は判断に迷った場合、過去の事例を調べたり周囲の担当者に確認したりする必要があった。システム化後は、ベテラン担当者が不在でも、判断に必要な参考情報をシステム上で確認できるようになったという。
申請管理もExcelによる手動管理から変更した。申請状況に応じてステータスを自動的に変更する仕組みとし、手作業による更新ミスや更新漏れを抑えられるようになった。
法令申請に関する過去の判断内容や参考情報をシステム上で利用できるようにすることで、個人が保有していた知識を組織として蓄積、活用する狙いもある。
法令申請以外の「属人業務」にも広げる
今回の取り組みでポイントになるのは、単にExcelをアプリケーションへ置き換えたのではなく、担当者の頭の中にあった「どの条件なら、どの法令に基づく申請が必要なのか」という判断ロジックそのものを整理し、システムに組み込んだ点だ。
属人化した業務をデジタル化する場合、申請画面やワークフローを作るだけでは、判断部分の属人性が残る可能性がある。千葉製油所の事例は、ベテランの判断基準を明文化してロジックに変換し、申請管理まで一つの業務フローとして設計する方法を示している。
コスモ石油は今後、実際の運用で見つかった課題や改善要望をアプリケーションに反映する方針だ。さらに、防火管理者や衛生管理者など、複数のシステムに情報が分散している「法定主任者」の管理業務についてもデジタル化を検討するという。
本稿は、エクサが2026年9月11日に公開したエクサ、コスモ石油千葉製油所の法令申請業務のシステム化に成功し、属人化の解消とコンプライアンス強化を実現と、年間数百件規模の法令申請業務をシステム化 属人化解消とコンプライアンス強化を実現 コスモ石油株式会社【導入事例】を基に作成しました。
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