脆弱性管理の成否を分ける「処理」の効率化
ASM導入後に発覚した“運用の落とし穴” 三菱自動車が選び直しで重視した基準
サプライチェーンの複雑化に伴って、IT部門が把握し切れない「外部公開資産」のリスクが顕在化している。これらを狙うサイバー攻撃に対抗するため、三菱自動車工業はなぜASMツールの「選び直し」を決断したのか。
企業のITインフラがグローバル規模で拡大し、サプライチェーンが複雑化する昨今、自社で把握し切れない「外部公開資産」がサイバー攻撃の標的として顕在化している。これらを狙うサイバー攻撃の勢いも増しており、関連会社を含む資産を可視化してリスクを管理するASM(アタックサーフェスマネジメント)ツールがますます重要になっている。
三菱自動車工業は、グローバル拠点や関連会社を含む広範なITインフラにおいて、インシデント調査や脆弱(ぜいじゃく)性のモニタリングを担ってきた。同社は2023年にASMツールの利用を開始したものの、運用を進める中で「資産とリスクの情報をより効率よく活用して、外部公開資産を包括的に把握できるシステム構成」の必要性に直面し、新たなASMツールの検討を始めた。
新たなASMツールの検討で三菱自動車工業が重視したのは、外部公開資産の網羅的な把握に加えて、「見つけ出したリスクをいかに効率よく処理できるか」という点だ。以前の運用では、どの資産にどのリスクが結び付いているかが整理されておらず、膨大なデータを自力で突き合わせて特定するまでに時間がかかっていたためだ。
なぜ「選び直し」が必要だったのか 運用の成否を分ける選定基準
三菱自動車工業は、マクニカが自社開発した外部公開資産の脆弱性管理ツール「ANTERAS ASM」を2025年9月に導入し、グローバル拠点と関連会社を含む、サプライチェーン全体の外部公開資産を可視化した。リスクの特定から修正の依頼までにかかっていた工数が、1件当たり10時間以上減った。2026年10月16日、マクニカが発表した。
三菱自動車工業は、グローバル拠点と関連会社を含む広い範囲のITインフラで、インシデントの調査や脆弱性のモニタリングを担ってきた。ITインフラの拡大とサプライチェーンの複雑化に伴い、自社で把握して管理し切れない外部公開資産が増えたと同時に、それを狙うサイバー攻撃も増加傾向にあった。2023年にASMツールを使い始めたが、運用を進める中で、資産とリスクの情報を、より効率よく活用し、外部公開資産を包括的に把握できる体制が必要になり、新たなASMツールの検討を始めた。
重視したのは、外部公開資産を網羅的に把握できることだけではなく、見つけたリスクを、いかに効率よく処理できるかだ。選定の理由は2つある。1つ目は、未知の外部公開資産を高い精度で検出できる点だ。マクニカの高度な調査技術と、セキュリティ研究センターの知見を生かした分析で、未知の資産や関連会社の資産まで、正確かつ網羅的に可視化できる。2つ目は、資産とリスクを関連づけたポータル画面で、優先順位付けと修正の判断を効率化できる点だ。以前は、どの資産にどのリスクが結び付いているかが整理されておらず、膨大なデータを自力で突き合わせる必要があって、特定までに長い時間がかかっていた。ANTERAS ASMは、優先順位付けから修正状況の管理までを一元的に実施できる。
使い始めてからは、これまで把握できていなかった外部公開資産と、クリティカルなリスクを可視化できた。ポータル画面で、リスクの緊急性と重要度から、対策の優先順位を付け、該当する拠点の担当者に、ピンポイントで修正を依頼できる。リスクの特定から、修正の依頼までの工数は、1件当たり10時間以上減った。
2026年10月時点は、見つかったリスクを各拠点の担当者に通知して、修正を依頼するフローで運用している。今後は、担当者の負担を軽くするため、重要なリスクの修正完了までを支援する「ANTERAS ASM Assist」の導入も検討する。マクニカの専門家に運用の一部を委ねて、セキュリティチームが、高度な戦略の立案や全社的なガバナンスの強化に注力できる体制を目指す。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「三菱自動車工業、リスク特定から対応依頼までの工数を1件10時間以上削減」(2026年10月19日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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