メール処理を効率化し“インボックスゼロ”を実現
Googleの「Inbox」に対抗? Microsoftが「Outlook」にメールの自動分類機能を追加
「Microsoft Office 365」の「Outlook」で提供が開始されたエンドユーザー向けの新機能「クラッター」。大量の電子メールを効率良くさばいて受信箱を空にするのに役立つという。
「Office 365」のビジネスユーザーが“インボックスゼロ”(受信箱を空にする)の考え方を実践したい場合、米Microsoftの新しい電子メール機能「クラッター(Clutter)」を使うのが効果的かもしれない。
この新機能は、エンドユーザーの受信トレイから優先度の低いメールを「クラッター」フォルダに自動的に移動し、エンドユーザーの生産性向上を支援する。Microsoftの「Office Graph」の機械学習エンジンによって、メールを読んだり、処理を後回しにしたり、削除したりといったエンドユーザーの行動を理解し、受信メールが重要かどうかを判別する仕組みだ。
Microsoftは2014年春に開催した「Microsoft Exchange Conference」でクラッターを発表した。その際、一部のIT専門家は、「この機能が実用化されても、結局、ユーザーにとって受信トレイ管理はそれなりに手間が掛かるだろう」と懐疑的な見方を示した。重要なメールが誤って「クラッター」フォルダに入ったままにならないように、エンドユーザーが受信トレイと「クラッター」フォルダの両方でメールをチェックしなければならないからだ。
しかし、それから数カ月が経過し、彼らの評価は変わったようだ。その背景には、メールの受信数がますます増える中、エンドユーザーがインボックスゼロを究極の目標として、メールの効率的な処理に取り組んで苦労している事情がある。
「クラッターは、切実に必要とされている機能だ。人々は押し寄せる大量のメールと格闘しているからだ」と、米大手製薬会社でモバイルイノベーションディレクターを務めるブライアン・カッツ氏は指摘する。
カッツ氏は、ユーザーがクラッターに学習を積ませることでMicrosoftがどれだけの情報を取得し、管理することになるのかは気になるといい、クラッターに頼り過ぎて重要なメールを見過ごす恐れがあると警告してもいる。
それでも、未読メールが何百通もたまった厄介な受信箱を管理するのに有効なら、クラッターはOffice 365の競争力に貢献する可能性がある。
売上高約870億ドル(2014年6月期)を誇るMicrosoftのCEOに就任して以来、サティア・ナデラ氏は「クラウドファースト」「モバイルファースト」の戦略を進めながら、ユーザーの生産性向上を実現させるという同社の原点に立ち返ることを使命としてきた。
クラッターは、エンドユーザーが有意義な情報を最初に目にし、重要でないアイテムは素通りできるように設計されているという。米Directions of Microsoftのリサーチ担当副社長を務めるウェス・ミラー氏は「この機能の狙いは、コンテキストに基づいて重要と判断された情報をユーザーに優先的に提示することにある」と語る。
「SaneBox」や「Mailbox」など、クラッターと同様の機能を提供するサードパーティー製電子メール製品もたくさんある。米Googleも最近、「Gmail」の新インタフェース「Inbox」のβテストを開始した。Inboxは、受信メールを自動的に分類し、メールをすぐに処理するか、後で処理するかの優先順位を付けやすくすることで、エンドユーザーのメール処理を支援するように設計されている。
Office 365に特化したITコンサルティング会社である米New Signature社長兼CEOのクリス・ハーツ氏はクラッターについて、「Delve」「Lync」「SharePoint」「OneDrive for Business」「Yammer」など、ビジネスパーソンのコミュニケーションや情報入手の在り方を根本から変えつつある他のMicrosoft製品の展開を広く踏まえて理解し、評価すべきだと指摘する。
Microsoftは2014年11月11日(米国時間)にクラッターの提供開始を発表した。英語のロケールを使用し、更新プログラムの展開方法として「先行リリース」を選択しているOffice 365のビジネスユーザーは、同日から利用できるようになっている。「標準リリース」を選択している英語ロケールのユーザー向けには11月後半から提供される見通しで、他の言語を使っているユーザーには、ローカライズが済み次第提供されるという。
クラッターはデフォルトでは無効になっているが、Office 365の「Outlook Web App(OWA)」でオプションメニューから有効にすることができる。エンドユーザーはメールを「クラッター」フォルダ内に入れたり、「クラッター」フォルダの外に移動したりすることで、クラッターに学習させることができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 取引先のセキュリティをどう管理する? 「SCS評価制度」対応の勘所を解説 -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] SCS評価制度「★4」取得のカギ 最大の壁を突破する方法とは? -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 2026年度末から運用開始 「SCS評価制度」に備えて製造業がやるべきことは? -
事例
[ネットワンパートナーズ株式会社, アイビーシー株式会社] ハイブリッド環境の一元管理と快適な無線LAN環境、三井ホームはどう実現した? -
市場調査・トレンド
[TD SYNNEX株式会社] 調査で学ぶセキュリティ運用の実態 人を増やさず品質を維持する方法とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
4
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
5
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
6
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
7
OpenAIがコスト半減のGPT-6新モデル投入 Claude猛追とOSS包囲網で激化する価格戦
-
8
【基本情報技術者試験】そもそもOSは何をしている? 「ジョブ管理」の仕組みを解説
-
9
2027年電子帳簿保存法のさらなる改正 安易なシステム導入の落とし穴
-
10
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
9
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー