「5G」通信に潜む脅威【前編】
「5G」導入前に知っておきたい、通信事業者が恐れるセキュリティリスクとは?
新たな通信規格として注目を集める「5G」。導入を検討する企業は、5Gに対する通信事業者の懸念事項を把握しておく必要がある。調査レポートを基に5G通信のセキュリティリスクを解説する。
移動体通信の次世代ネットワーク規格「5G」(第5世代移動体通信システム)は、無線通信の速度と応答性を向上させるだろう。だが通信事業者は、特に5Gのセキュリティについて課題を抱えている。
5G通信は実用化の初期段階にあり、今後も成長が続く見込みだ。市場調査会社Business Performance Innovation Network(BPI Network)は、セキュリティベンダーA10 Networksの協力を得て2019年5月にレポート「Opportunities and Challenges in a 5G Connected Economy」(5Gでつながる経済の機会と課題)を公開した。同レポートは、5G技術がモバイル業界にもたらすセキュリティへの懸念を示し、「5G通信を提供する事業者にとって、通信容量やスループットの増加も大切だが、セキュリティも同じぐらい重大な懸念事項だ」と述べる。調査に回答した企業は通信事業者、クラウドベンダー、ITベンダーなどで、うち半数以上を通信事業者が占める。対象企業の94%は「5G技術の成長によって、5G通信を提供する通信事業者のセキュリティと信頼性に関する懸念が増加する」と予想している。
5G通信に十分なセキュリティ対策は道半ば
テクノロジーが変わると、予期しない問題が持ち上がることがしばしばある。A10 Networksで製品マーケティング部門のシニアディレクターを務めるポール・ニコルソン氏によると、5G通信における懸念には2つの視点があるという。1つ目は「通信量とデバイスの増加」だ。
懸念が高まっているにもかかわらず、通信事業者は5G通信を実現するのに必要なセキュリティ基盤の構築に取り組んでいる最中だ。依然としてまだ複数の作業が残っていることが調査で明らかになった。
5Gの「非常に重要」なセキュリティ懸念
調査で回答した企業の79%が、自社の現在のセキュリティ投資に5G通信の要件を考慮に入れていると答え、17%が5G通信に目を向けているという。セキュリティに関する主な懸念には、以下のようなものが挙がった(カッコ内はその項目を「非常に重要」と評価した回答企業の割合を示す)。
- コアネットワークのセキュリティ(72%)
- エンドポイントセキュリティ(60%)
- セキュリティの管理と人員(38%)
5G通信によって通信量とスケーラビリティが向上するという前提の下、さまざまな種類のファイアウォールをアップグレードしなければならないことが、コアネットワークのセキュリティに対する懸念となっている。半数以上の回答企業が「ファイアウォールのアップグレードを計画している」と答えたが、既にアップグレードした回答企業は11%のみだった。
レポートによれば、5G通信のセキュリティを向上させるためには、現行の移動体通信規格であるLTE(Long Term Evolution)のコアネットワーク「Evolved Packet Core」(EPC)を保護するファイアウォールのアップグレードが必要だという認識が広がっているという。このアップグレードは、既存のLTE通信網にも大きなメリットをもたらす。
後編では、DDoS(分散型サービス拒否)攻撃がもたらす5G通信への影響について詳しく説明する。
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「5G」通信に潜む脅威
「5G」(第5世代移動体通信システム)の実用化が進み、インターネットに接続するデバイスはますます増えている。そうした現状の中、通信事業者が懸念するセキュリティリスクを理解し、通信の安全性を確保することが大切だ。
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