誇大広告も少なくないAIブームの功罪
“なんちゃってAI”にだまされない 「真のAIOpsツール」を見極める5つの特徴
運用管理市場では、AI技術を活用した「AIOps」が盛り上がりを見せている。ただし中には、採用している技術が本当にAI技術かどうか疑わしい製品もある。真のAIOps製品かどうかを見極める、5つの特徴を紹介する。
人工知能(AI)技術を利用しないITシステムでも、あたかもAI技術を利用するかのように宣伝しているものは少なくない。機械学習などのAI技術やビッグデータを使用し、IT運用の業務効率を上げる「AIOps」製品にも、これは当てはまる。真のAIOps製品と模倣製品を判別する基準はどこにあるのだろうか。
この違いを示す例を1つ紹介しよう。
子どもはよく、火の扱いについて忠告を受ける。「触るとやけどをするから触らないように」と。この忠告に耳を傾ける子どもは、ルールに従う能力がある。忠告には耳を傾けるが、火を触るとどうなるかを自分で確かめるために、あえて火に触る子どももいる。やけどを負った後、二度と触らないと心に誓うだろう。このような子どもには学習する能力がある。
火の扱いについて一度も忠告を受けたことのない子どもが、火を触ってやけどを負ったらどうだろうか。子どもによっては、もう一度同じことを繰り返して、炎に近づくほど熱くなることにようやく気付く。炎から遠ざかると熱さが和らぐことに気付く可能性もある。
このような子どもは知識を身に付けて、知性を発揮する。これが、真のAIOps製品が取るべき行動だ。
AIOps製品が満たすべき5つの要件
AIOpsだとうたっている製品の中核にAI技術が据えられているかどうかを判断するには、次の5つの要素を確認してほしい。
1.ルールへの順応性
ルールベースのシステムの基本的な機能は、アプリケーションを実行して多くのITの問題に対処する効率的な方法を実現することだ。ただし対象となる問題が簡単に定義して特定でき、不変であることが条件となる。
AIOps製品は、特定の環境内でルールに合致しない事象が発生すると、その理由を学習し、その事象に対応すべく順応する。例えば新しいネットワーク機器であれば、ファームウェアのアップグレードを問題なく受け取れるだろう。だが古いネットワーク機器はアップグレードに必要な量のメモリを搭載していない可能性がある。AIOps製品は、古いネットワーク機器について例外のインシデントを発生させるだけでなく、最新で使用率が低い別のネットワーク機器にトラフィックを再ルーティングできる。古いネットワーク機器には機密度の低いトラフィックや、限定した一部のトラフィックをルーティングする。
2.真の学習
AIOps製品は何もないところから構築することが可能だ。ツールはインストール時に、全ての利用可能なネットワークコンポーネントを完全に関連付けなければならない。これには全てのサーバ資産とストレージ資産に加えて、エンドユーザーが所有するデバイスも含まれる。このプロセスは動的でなければならない。AIOps製品は、こうしたシステム環境を継続して監視し、環境に関する知識全般を実際のデータフローに合わせて調整する。このプロセスは機械学習によって進む。機械学習はAIOps製品に欠かせない存在だ。
3.パターンマッチング
マルウェアをはじめとする悪意のある攻撃からの保護を目的とするのが、パターンマッチングによる既知の問題への対処だ。従来のルールベースの製品も採用しているが、AIOps製品では特に重要な要素となる。
4.ヒューリスティック
AIOps製品は、個々のIT環境で悩みの種となり得る問題を予測して管理できる「ヒューリスティック」機能を備える。効率的なヒューリスティックエンジンは、上述のパターンマッチングの機能と予測分析を併用して、検出したイベントのリスクプロファイル(リスクの特徴)を抽出する。このリスクプロファイルは、AIOps製品がリスクのあるイベントを検出するためのトリガーになる。
5.AIイベントエンジン
ルール、機械学習、ヒューリスティックの基盤によって、AIOps製品はシステム環境の各種要素がどのように相互作用し、どのような関係にあるかについての洞察を運用管理者に提供する。AIOps製品は問題を特定すると、エンドユーザーに影響が及ばないように対策を講じる。その際、人手を介すことはない。対象の問題には現在進行形のものと将来発生するものを含む。
AIOps製品が果たす目的が何であれ、人間の介入の必要性は可能な限り排除しなければならない。同時に、プラットフォームの最適な運用を維持して、できる限り高い可用性を提供する必要もある。
ITベンダーは、上述のリストの上から3つまたは4つの特徴のみを備えたAIOps製品を強引に薦めてくる可能性がある。それで必要十分だと感じる企業もあるだろう。だが、IT環境の複雑さが増すにつれて、AIOps製品の機能は後付けではなくシステムの中核に組み込まれていることが重要になる。
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