「ビッグスリー」以外のクラウドサービス4種類を比較【中編】
AWS、Azure、GCPではなく「IBM Cloud」「Oracle Cloud」を選ぶべき理由と課題
クラウドサービスを選定するときは、ビッグスリー以外のクラウドベンダーにも目を向ける価値はある。本稿は老舗ITベンダーのクラウドサービスである「IBM Cloud」と「Oracle Cloud」について詳しく説明する。
クラウドサービスを導入するときに、一般的に「ビッグスリー」と呼ばれる大手3社のサービスを思い浮かべるユーザー企業は少なくない。Amazon Web Services(AWS)の同名サービスやMicrosoftの「Microsoft Azure」、Googleの「Google Cloud Platform」(GCP)のことだ。ビッグスリー以外のベンダーも、さまざまな方法でクラウドサービスに取り組んでいる。こうしたベンダー各社の特徴は全く異なるため、同じ条件で比較するのは難しい。
前編「『AWS』『Azure』『GCP』だけからクラウドサービスを選ぶべきではない理由」に続く本稿では、ビッグスリー以外のクラウドサービスの中から、IBMの「IBM Cloud」とOracleの「Oracle Cloud」の長所と短所、最新の動向を詳しく説明する。
IBM Cloud(IBM)
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「IBM Cloud」「Oracle Cloud」についてもっと詳しく
ITコンサルティング会社のInformation Services Groupでリサーチアナリストを務めるペドロ・L・ビクドマスキオ氏によると、IBMのクラウドサービス「IBM Cloud」はVMware製品関連のクラウドサービスが充実しているため、顧客がパブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせて利用するハイブリッドクラウドや、複数のクラウドサービスを利用するマルチクラウドを導入しやすくなっているという。ユーザー企業はIBMの人工知能(AI)エンジン「IBM Watson」やIoT(モノのインターネット)データ処理基盤「IBM Edge Application Manager」などの同社製製品・サービスを、他社のクラウドサービスと接続して利用することも可能だ。「IBMの強みは、人材とグローバルな存在感、包括的なポートフォリオ、そしてWatsonだ」とビクドマスキオ氏は述べる。
IBMは世界中でリージョン(地域ごとのデータセンター群)を追加し続けており、コンテナやマイクロサービスの開発機能も継続的に拡大している。「Encryption Everywhere」(あらゆる場所での暗号化)という特徴を備える同社のメインフレーム「IBM z15」と連携させたハイブリッドクラウドを構築できるため、クラウドに否定的なユーザー企業を説得して、重要なワークロード(アプリケーション)をクラウドに移行できる可能性がある。金融や製造など複数の業界の大手企業と、長年にわたって関係を築いてきた強みもある。
若い開発者を引き付ける必要があることが、IBMにとっての課題だ。より競争力のある価格を提供することも求められる。「IBMはAI技術やIoTなどの分野に取り組んでいても、若い開発者には『古い』と思われる傾向がある。一方で若い開発者は、比較的歴史の浅いAWSやGCPを『新しい』と感じている」とビクドマスキオ氏は話す。
IBMは2019年に、Linuxディストリビューションを提供するRed Hatを買収した。ビクドマスキオ氏は「Red HatはIBMに新規性をもたらし、IBM Cloudを勢いづける可能性がある」と話す。
Oracle Cloud(Oracle)
クラウドサービス「Oracle Cloud」を提供するOracleの強みはデータベース技術だ。競合のデータベース管理システム(DBMS)ベンダーは、コスト面で優位性のあるオープンソースの技術を用いたDBMS製品を売り込むことで、Oracleから移行するよう誘導している。ただしOracleのシステムは「簡単に置き換えられるものではない」とビクドマスキオ氏は語る。
小売や流通など、各業種に特化した独自ソフトウェアをOracleは提供している。これらのソフトウェアは同社製DBMSを使って実行できるようになっている。「Oracle製のソフトウェアは、ユーザー企業にとって替えが利かないものになっていることが少なくない。そのためIaaSを導入するときにOracle Cloudしか選択の余地がない場合もある」とビクドマスキオ氏は話す。
Oracleはクラウドの改善を進めている。セキュリティを強化したIaaSやAI技術を用いてデータベース管理を自動化するツールの提供、SaaS群の拡張がその一例だ。ただしビクドマスキオ氏によると、Oracleにはパートナー企業や競合企業の製品との連携機能を改善する必要性が残っている。
後編は、比較的新しいクラウドサービスであるDigitalOceanの同名サービスと、Alibaba Cloudの同名サービスについて詳しく説明する。
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