ハイブリッドクラウドが向かう先【後編】
Microsoft、AWS、Google、VMware、IBMがハイブリッドクラウドで狙うもの
Microsoftはハイブリッドクラウド環境を構築する製品として2017年に「Azure Stack」を投入した。そして2019年、「Azure Arc」を発表した。同社の動きが意味するものとは。
前編「Microsoftの『Azure Arc』は『Anthos』や『AWS Outposts』と何が違うのか?」ではMicrosoftが新たに発表した「Azure Arc」とともに、Azure Arcに類似するクラウドベンダーのハイブリッドクラウド向け製品を説明した。Azure Arcはクラウドサービス群「Microsoft Azure」(以下、Azure)のサービスを、Azure以外の環境からでもデプロイ(利用可能な状態にすること)、管理できるようにするサービスだ。
MirosoftはAzure Arcを競合ベンダーのパブリッククラウドで使うことについて、過度に強調してはいない。ただし「どのようなインフラでも利用できる」と同社は説明しており、それは競合ベンダーのパブリッククラウドでも利用できることを示唆している。
Azure Arcが成功すれば、Amazon Web Services(以下、AWS)がその後を追い、マルチクラウド環境でAWSのサービスを運用管理できる製品/サービスの提供に乗り出す可能性もある。Googleは既に「Anthos」でマルチクラウドをターゲットにした機能を提供している。
GoogleやVMware、IBMの狙いは
調査会社Moor Insights & Strategyの上級アナリストを務めるレット・ディリンガム氏は、VMwareのハイブリッドクラウド、マルチクラウドを構築するための製品の存在についても触れる。「VMwareはクラウドを構築する製品群である『VMware Cloud Foundation』を利用できる環境を増やす戦略を着々と進めている」(ディリンガム氏)
Googleが、ユーザー企業のデータセンターに触手を伸ばすことまでを視野に入れ、Anthosの提供に乗り出した狙いも、ハイブリッドクラウド、マルチクラウドをターゲットにするということだ。IBMがコンテナ管理製品群「Red Hat OpenShift」を取り込むためにRed Hatを買収したのも、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドを視野に入れているためだと考えられる。
「クラウドアプライアンスの『Azure Stack』によってユーザー企業のデータセンターにまでAzureの管理を広げるだけでなく、ユーザー企業の既存アプリケーションの運用やエッジコンピューティングまで管理の一貫性を広げる狙いがある」。MicrosoftがAzure Arcを提供する狙いについて、ディリンガム氏はこう指摘する。
Microsoftは、リレーショナルデータベース管理サービス「Azure Database for PostgreSQL」をスケールアウトさせるための機能「Hyperscale(Citus)」を発表している。Azure Arcによって、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」のどのようなクラスタでもHyperscale(Citus)を運用できるようにするオプション機能の提供も発表済みだ。
一連の新たな製品/サービスで「Microsoftはハイブリッドクラウド、マルチクラウドを巡るベンダー間の競争で優位に立てる」とディリンガム氏は指摘する。「特にVMwareやAWSなどの製品/サービスを組み合わせて使っている企業向けの競争では有利になる」(同氏)
ただし調査会社IDCのスティーブン・エリオット氏は「Azure Arcは既存の開発フローに沿い、ユーザー企業が採用しやすいものでなければならない」と指摘する。「プロジェクト管理ツール『GitLab』は間違いなく検討課題の一部になる。Azure Arcは、従来型のアプリケーションをAzureに乗せる際に発生する問題を低減できる可能性がある」とエリオット氏は話す。
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