AIでコンテナを管理する【後編】
コンテナ管理を「AI」で楽にするために必要な手段とは?
コンテナ監視を省力化するために、AI技術を応用することは効果的だ。その際に必要な手段を紹介する。
コンテナの監視やデプロイ(配備)などのコンテナ管理業務に、機械学習をはじめとする人工知能(AI)技術を応用すれば、作業の省力化が期待できる。前編「『本物のAIツール』と『偽物のAIツール』の違いとは?」に続く本稿は、コンテナ管理へのAI技術の活用方法を紹介する。
コンテナ管理にAI技術を応用するハードル
標準化されたコンテナのデプロイ手法を用いることで、デプロイや再デプロイに必要なプロセスの自動化が可能になる。コンテナを実用的なものにできるかどうかは、コンテナをホスティングするリソースの管理をいかに自動化できるかに左右される。
単一のコンテナ管理ツールを用いたコンテナ運用の中でAI技術を応用することは、少なくとも現段階では難しい。コンテナ間の通信を制御する「サービスメッシュ」ツールにコンテナのスケーリングを任せるのが一般的である点も、その原因となる。サービスメッシュツールはコンテナの管理プロセスから切り離され、コンテナ管理ツールの範囲外にあるためだ。
現状ではコンテナ管理とAI技術について検索すると、主な検索結果として、AIエンジンを搭載したシステムをコンテナにホストする方法が出てくる。これはコンテナ管理にAI技術を応用することとは直接的には関係ない。
コンテナ管理にAIを生かす方法
コンテナに配備したアプリケーションを管理できる、AIエンジン搭載のコンテナ管理ツールがない場合、その機能を実現するために必要な要素を特定しなければならない。大規模な環境でも動作し、コンテナ管理を自動化する「コンテナオーケストレーション」の仕組みを利用でき、状況に基づいて必要な処理を生成できる総合的なコンテナ管理ツールの導入から始めるとよい。
クラウド技術を扱う非営利団体OpenStack Foundationが提供する「Ceilosca」は、リソースの利用量を計測する「メータリング」ツールの「Ceilometer」と、プロセス監視ツール「Monasca」を組み合わせたコンテナ管理ツールだ。Ceiloscaを利用することで、オンプレミスまたはクラウドにあるコンテナと、コンテナが稼働するホストを監視できる。この組み合わせは、コンテナの管理に特化したAI技術を利用せず、汎用(はんよう)的なAI技術をコンテナ管理に適用する例だ。
Ceiloscaの利用には、管理対象のベアメタル(物理)サーバや仮想マシン(VM)、コンテナにエージェントソフトウェアを導入する必要がある。ネットワーク管理ツールにもエージェントを導入できるが、それにはある程度のカスタマイズをしなければならない。Ceiloscaは、エージェントを導入したシステムで発生したイベントの情報を、イベントを収集する「イベントバス」に送信する。この情報はイベント処理ツールを介してタイムスタンプ付きのデータベースに登録する。例えばシステム同士のメッセージのやりとりや一時的なメッセージの保持を担う「メッセージキュー」ツールの「Apache Kafka」では、このイベントバスにイベント情報が供給されるプロセスを「Kafka Stream」と呼ぶ。
AI技術を組み込んだコンテナ管理ツールは、イベント情報を登録したデータベースにアクセスしてデータに基づいて分析する。この結果に基づいて、コンテナの再デプロイやスケーリングなどの処理を自動実行する流れだ。イベント情報が同じデータベースに保存され、かつ互換性を持つ形式である場合は、イベント情報の収集やイベント同士の相関付けにもAI技術を応用できる。
Monascaにはコンテナオーケストレーション機能がない。コンテナ管理にAI技術を導入するには「Sensu」「Telegraf」「Prometheus」などのリソース監視・管理ツールが選択肢となる。これらはApache Kafkaと連携させることでKafka Streamを生成する。
監視プロセスで発生するイベントのKafka StreamにAI技術を適用させるには、「Deeplearning4j」「H2O」「TensorFlow」といった機械学習エンジンが役立つ。こうした機械学習エンジンとKafka Streamの組み合わせは、大手のソーシャルメディアや動画配信サービスといったWebサービスでも既に活用されている。
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