「Power Fx」についてMicrosoftに聞く【後編】
「ノーコード/ローコード開発」がプログラミングの民主化を実現する?
「ノーコード/ローコード開発」は、プログラミングをより身近な存在にすることができるのか。Microsoftのノーコード/ローコード開発用プログラミング言語「Microsoft Power Fx」の担当者に聞いた。
「ノーコード/ローコード開発」は、最小限のソースコード記述によるアプリケーション開発手法だ。Microsoftが発表したノーコード/ローコード開発用プログラミング言語「Microsoft Power Fx」(以下、Power Fx)の特徴や開発のいきさつなどを、同社のローコードアプリケーションプラットフォーム担当コーポレートバイスプレジデントを務めるチャールズ・ラマナ氏が語る。
ノーコード/ローコード開発で「プログラミングの民主化」実現か
併せて読みたいお薦め記事
さまざまなプログラミング言語
ノーコード/ローコード開発がもたらす影響
―― Microsoftの開発者向け戦略においてPower Fxは、アプリケーション開発を専門とするプロフェッショナル開発者と、それ以外の開発者の橋渡しに関して、どのような役割を果たしますか。
ラマナ氏 当社は両者が徐々に歩み寄り、協力し合うと予想する。「開発はチームスポーツだ」というのは社内共通の理念であり、それが未来の姿だと考えている。事業部門に所属するエンドユーザー(ビジネスユーザー)やIT担当者、プロフェッショナル開発者が協力し、連携して1つの活動に取り組む。将来の社内アプリケーション開発はそうした形になるだろう。
ラマナ氏 社内アプリケーション開発にさまざまな立場の人が関わることで、さまざまなメリットが生まれる。業務プロセスを一番理解しているビジネスユーザーがノーコード/ローコード開発をできるようになれば、必要に応じて業務に利用するアプリケーションを自ら調整したりカスタマイズしたりできる。システムに精通しているプロフェッショナル開発者は、ビジネスユーザーが取り組みやすくなるように、適切なノーコード/ローコード開発用のシステムを構築、運用する役割を担う。異なるタイプのユーザーが同じシステムを利用することで、力を結集できる。
ノーコード/ローコード開発によって全てのビジネスユーザーが開発に参加できるようになるのは素晴らしい。だが、それは第1段階だ。プロフェッショナル開発者もノーコード/ローコード開発に協力し、成果を挙げる第2段階に踏み出さなければならない。私は2021年3月初めにMicrosoftが開催したカンファレンス「Ignite 2021」で、このビジョンを紹介した。
当社はプロフェッショナル開発者に「任意のプログラミング言語を使用して構わない」と伝えている。例えば「JavaScript」「TypeScript」「C#」「Python」など、どんなプログラミング言語を使っても問題ない。ただしビジネスユーザーにとって、これらのプログラミング言語はとっつきにくい可能性がある。そこでPower Fxの出番となる。
―― Power Fxをきっかけに、ビジネスユーザーが専門的なアプリケーション開発への関心を高める可能性はありますか。
ラマナ氏 誰もがそうした方向にスキルを伸ばそうとするとは限らないが、Power Fxが入り口となり得ることは確かだ。Power Fxで開発を始めて、Power Fxのエキスパートになったら、TypeScriptやJavaScriptをいじり出すかもしれない。さらに少し進めば、複数のコンテナを管理するコンテナオーケストレーター「Kubernetes」をかじるようになるかもしれない。
「多様な専門性やスキルを磨く」という考え方が、ノーコード/ローコード開発の取り組みの核心にある。ノーコード/ローコード開発はアプリケーション開発のハードルを下げ、裾野を広げる。ビジネスユーザー、IT担当者、プロフェッショナル開発者など、誰もがノーコード/ローコード開発に取り組むことができる。
Power Fxはノーコード/ローコード開発への参加を容易にし、さまざまな立場の人同士の橋渡しという大きな役割を果たす。
当社はプログラミング言語および開発・実行環境の「Visual Basic」を生んだ1991年から2021年までの30年で、プログラミング言語に関する有益な教訓を学んできた。例えばオープンソースであることや移植しやすいことが、いかに重要であるかということだ。ノーコード/ローコード開発にもこうした教訓を生かそうと考えている。
―― そうしたことが全体として大きな成果を生むのは、いつ頃ですか。例えば2026年でしょうか。
ラマナ氏 今まさにこうした取り組みを進めている新進気鋭の企業がある。私はチームにこう話している。「当社の目標は、2024~2026年までに、アプリケーション開発の圧倒的多数をノーコード/ローコード開発が占めるようにすることだ」
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
3
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
4
IT製品の導入に関するアンケート「セキュリティ」編
-
5
積水化学が挑む「データ経営」の核心:SAP S/4HANA Cloud導入の狙いとは
-
6
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
7
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
8
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
9
「中堅製造業にSAP S/4HANA導入は難しい」は本当か?
-
10
【専門家に聞く】シャドーAIや過剰共有のリスクを防ぎ、安全に生成AIを活用するポイントとは?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
8
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
9
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
10
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー