「SaaSバックアップ」は軽視でいいのか【前編】
「自社データは自社で守る」意識が浸透せず SaaSベンダー依存の“危ない橋”
「Microsoft 365」(Office 365)などのSaaSの活用が広がる中、企業の「盲点」になりがちなのがデータのバックアップだ。企業がSaaSのバックアップを軽視している状況が調査で明らかになった。
SaaS(Software as a Service)のデータバックアップは企業にとって特に新しい課題ではない。問題は対策があまり進んでいないことだ。
2021年5月、米TechTargetの調査部隊Enterprise Strategy Group(ESG)はSaaSのバックアップ対策に関する調査レポート「The Evolution of Data Protection Cloud Strategies」を公開した。ESGが2019年に実施した同様の調査と比較して、企業におけるSaaSのバックアップ対策にほとんど改善はなかった。
SaaSのバックアップを軽視する企業の重大な問題
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ベンダーが保護してくれる思い込みは危険
クラウドもバックアップは欠かせない
The Evolution of Data Protection Cloud Strategiesを発行するに当たって、ESGは企業でデータ保護の意思決定に携わる381人のIT担当者を対象に、2021年1月に調査を実施した。参加者への条件としては、自社で「クラウド」を使用していることを設けていた。この場合のクラウドは、クラウド型のデータ保護サービスやパブリッククラウドなどを指す。
ESGの調査では、回答企業の約35%が「自社データの保護をSaaSベンダーに任せている」と答えている。これらの企業は、SaaSベンダーがデータの復元可能な期間を制限したり、サードパーティー製バックアップ製品の使用を推奨したりすることを承知の上で、バックアップの責任を手放すということだ。
企業はサブスクリプション形式のオフィススイート「Microsoft 365」(Office 365)をコミュニケーションや情報共有のツールとして広く利用している。ESGの調査では、回答企業の約81%が「Microsoft 365のデータの復元が必要になったことがある」と回答した。そのうち「データを完全に復元できた」と答えた企業は約15%にとどまった。これは2019年の約21%と比べ6ポイント減少している。
ESGでシニアアナリストを務めるクリストフ・ベルトラン氏は、「企業がMicrosoft 365を使って重要なドキュメントや議事録を作成していることから考えると、データの損失は大きな痛手になるはずだ」と述べる。Salesforce(salesforce.com)やGoogleなどが提供するSaaSも含め、重要なデータを全てバックアップし、100%復元可能にしておくべきだとベルトラン氏は言う。
SaaSのデータバックアップに関して、IT担当者のおよそ3人に1人がベンダーに依存している。ただしデータが失われた場合、ベンダーは責任を負わない。「データ損失のリスクから考えると、ベンダー依存の企業は危ない橋を渡っている。そうした企業に学んでほしい。自社のデータは自社で守るべきだ」(ベルトラン氏)
中編は、企業がSaaSのデータバックアップの重要性を十分に意識しない背景や理由を考える。
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