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「Macは例外」をやめませんか 情シスが見直すべき端末管理の4つの軸管理の放置が招く“隠れた危機”

「Windows」が大半だった企業システムは変わりつつある。この変化に対応できず、一部の特例として「Mac」を放置していると、深刻なガバナンス不全を引き起こしかねない。時代遅れの管理体制から脱却する鍵とは。

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Mac | OS | MDM(モバイルデバイス管理)


 企業の標準OSといえば、かつては「Windows」だった。しかしハイブリッドワークの普及やデジタル体験の向上によって、その常識は崩れつつある。これまで一部の経営陣やクリエイター向けの「特例」として扱われてきた「macOS」が、今や正式な管理対象として組み込むべき優先事項へと変わっている。

 エンドポイント管理は、Windowsを中心にすればよい時代ではない。IT管理者が直面する最大の課題は、「Mac」の運用を場当たり的にやり過ごすことをやめて、MDM(モバイルデバイス管理)やUEM(統合エンドポイント管理)の本格展開に踏み切るべきタイミングを見極めることだ。新たな管理体制へ移行すると決めた場合でも、OS間のセキュリティ格差をなくすルールの徹底、複数ツールやヘルプデスクにかかる費用の抑制、手順が分かれることによる運用業務の複雑化を防がなければいけない。

 IT管理者が、こうしたさまざまな要求の間でバランスを取り、Macを適切に管理するためには何をすべきなのか。

なぜ企業にMacの戦略が必要なのか

 企業がMacの管理戦略を策定すべき理由は幾つかある。

 まず挙げられるのは、エンドユーザーである従業員からの強い要望だ。働き方の多様化が進む中、自身が利用するデバイスに求める条件も人それぞれ異なる。特に人材獲得の観点や、従業員が使うデバイスを自ら選べる制度の普及に伴い、高い処理性能や洗練された操作体験を提供するデバイスへの需要が生まれており、Macがその筆頭候補になっているのだ。このような要望を受けて社内のMacが増加すると、担当者がその都度対処する場当たり的な運用では限界を迎える。そのため、MDMを用いてデバイスの導入から廃棄までを体系的に管理する仕組みが求められる。

 Macの導入はたいていの場合、職場のITインフラを近代化する取り組みと重なる。クラウドネイティブなアプリケーションや、Webブラウザで完結する業務アプリケーションが普及したことで、OSの違いを意識して社内システムを設計、運用する必要性が薄くなった。このような条件の下では、IT部門はMacの管理とインフラ全体の近代化を同時に進める施策を打つことができる。具体的な戦略の目標には以下が挙げられる。

  • macOSとWindowsが混在する社内ネットワークにおいて、エンドポイントの継続的な監視を実施する
  • OSの種類を問わず、一元化されたヘルプデスク業務とトレーニングの手順を構築する
  • 従来のWindows専用アプリケーションへの依存を減らす
  • 全社一律の基準を廃止し、職種や役割に基づいたデバイス管理ルールを策定する
  • macOS、Windows、Linuxそれぞれに対して、クラウドサービス中心のアクセスポリシーを策定する
  • リモートでのオンボーディング(新人受け入れ)や業務支援を円滑にするため、管理者の手作業を不要にする「ゼロタッチ展開」の適用範囲を広げる

統一感のないMac運用に潜むリスク

 働く場所の自由度が高まり、従業員の要望も多様化している現状を踏まえると、企業内に複数のOSが共存することは避けられない。運用の効率とセキュリティを維持するには、ガバナンスが効いた一元的なMacの管理体制が不可欠だ。

 IT部門は、特に複数OSが混在する状態においてMacの管理戦略を練る際、以下のリスクを念頭に置くべきだ。

  • ガバナンスの不一致とコンプライアンス違反の危険性
    • OS間でセキュリティ設定に差があると、業界の監査基準や情報漏えい対策の厳しいルールを満たせなくなる恐れがある。
  • 業務の非効率化と目に見えない運用費用の増加
    • 標準化された手順がないと、IT部門の負担が増すだけではなく、ツールの乱立や作業の重複といった隠れた無駄が生じる。
  • セキュリティとデバイス監視における死角の発生
    • 全てのデバイスに対して一貫した強固な防衛体制を維持するには、一元化された戦略と効果的なエンドポイント監視が欠かせない。
  • アプリケーションの互換性問題
    • 特定のWindowsアプリケーションに依存し続けたり、macOSでWindowsを動かす仮想化技術に頼ったりすると、システムの構造が複雑になり、余計な出費を招く可能性がある。

Mac管理において進化するセキュリティとアクセスモデル

 企業がハイブリッドワークや拠点の分散化を進めるにつれて、「社内ネットワークの入り口さえ守れば安全」という従来のVPN中心の防衛策は、本人確認を都度実施するゼロトラストセキュリティへと置き換わりつつある。ゼロトラストセキュリティは、システムへのアクセス許可や安全性の証を継続的に検証することで成り立つ。こうした変化によって、複数のOSを管理する企業にとって、全デバイスの状況把握とルールの統一が不可欠となっている。

 現代のセキュリティ戦略では、Macを例外的な存在として切り離すのではなく、全社的な本人確認やコンプライアンスの枠組みに組み込むことが求められる。この連携を成功させるために、IT部門は以下の手順を踏まなければならない。

  • Macを、企業が導入している既存のセキュリティサービスと連携させる
  • MDMやUEMを通じて、全てのデバイスに対して共通のアクセスポリシーを適用する
  • エンドポイントの健全性や設定状況を継続的に監視する

 このような手法を採ることで、古い社内インフラへの依存から脱却し、セキュリティの強度とユーザー体験(UX)の両方を高めることができる。

 コンプライアンスとガバナンスの強化も極めて重要な役割を果たす。IT管理者は、MacがWindowsなどのOSを搭載するデバイスと同様に、レポートの提出、監査基準のクリア、ルールの強制適用といった要件を満たしているかどうかを確認する義務がある。効果的なMac戦略とは、単にハードウェアをどう扱うかという話ではない。誰がアクセスしているかを重視し、特定のOSに縛られない一元的な社内セキュリティの仕組みにいかに組み込むか、という全体設計の問題だ。

Macの増加が運用とヘルプデスク業務に与える影響

 一部の経営陣や開発部門だけではなく、全社規模でMacの導入が拡大すると、日々の運用業務を見直す必要性が高まる。Macを大規模に管理することは、とりわけ複数OSが混在する社内ネットワークにおいて、社内のヘルプデスク体制や管理ツール、さらにはデバイスを配布する際の手順に大きな影響を及ぼす。

 Macユーザーの増加を適切に処理するため、以下の要素を検討してほしい。

  • 担当体制の拡張
    • 一部の従業員に対する例外的な扱いをやめ、全社で統一されたサービスに移行する。
    • 具体的には、明確なヘルプデスク構造の確立、問題発生時のエスカレーション(上位窓口への引き継ぎ)体制の整備を実施する。
  • ツールとライフサイクルの管理
    • MDMを活用した初期設定、ソフトウェアの欠陥を直すパッチ適用、構成管理を通じて、OSの違いを意識せずにデバイスの状況を把握できるようにする。
  • 人材と専門知識の確保
    • Macの専門知識を持つ担当者と、OSを問わずデバイス全体を扱うチームとのバランスを取る。
    • Mac管理に精通した専門家を外部から新たに採用するか、既存のWindows担当者に研修を受けさせるかを検討する。

 社内で以下の変化が見られた場合は、既存のMac管理戦略を見直す時期が来ている兆候だと言える。

  • Macの購入申請が増加している
  • Macに関するトラブル解決や問い合わせが増えている
  • OS間でセキュリティ基準に矛盾が生じたり、操作体験(UX)に差が出たりしている
  • 特定の事業部や経営陣の主導による、独自のMac導入が目立つ

Mac導入戦略を決定するための4つの評価軸

 Macの導入範囲を広げるかどうかを評価するIT部門は、以下の4つの主要な分野に注目して判断を下すとよい。

1.従業員と生産性

 どの従業員がMacを利用することで最大の恩恵を受けるかを見極める。一律の標準機を支給するのではなく、経営陣や開発者、あるいは外出の多い従業員に対し、バックオフィス業務とは異なる基準で機動力(モビリティ)やUXを優先して端末を割り当てる手法も有効だ。その上で、Macという選択肢を用意することが、従業員の生産性向上、離職防止、さらには優秀な人材の獲得にどう影響するかを評価する。

2.運用の準備状況

 デバイス配布プロセス、MDMツール、ヘルプデスク体制、ライフサイクル管理の手法が、macOSとWindowsが混在するシステム構成の拡大に耐えられるかどうかを検証する。Macの利用者が増えた場合、社内で統一された管理ツールと、より厳格なガバナンスの策定が求められるケースがほとんどだ。

3.セキュリティとコンプライアンスの連携

 Macを特例として扱ってはいけない。例外扱いをやめ、ゼロトラストセキュリティ、コンプライアンス基準、監視の仕組みの中に集約することが重要だ。macOSとWindowsの両方を利用するネットワーク全体を通じて、デバイスの状況を正確に把握できているかどうか、設定ルールに矛盾がないかどうか、監査に耐え得る状態かどうかを評価する。

4.財務および戦略上の価値

 ハードウェアの本体価格だけでなく、TCO(総所有コスト)全体を考慮する。デバイスの導入から廃棄までの期間、日々の運用の複雑さ、複数の管理ツールを契約することによる無駄な出費、長期的なエンドポイント戦略への影響を必ず調査しよう。


 企業はもはや、Macの導入を単なる「個人の好み」や「一部署だけの要望」として片付けることはできない。IT部門が直面する真の課題は、自社のセキュリティ、ガバナンス、運用効率を高める全体戦略の中に、Macをいかに組み込むかを決断することだ。不具合が起きてから対処する場当たり的な運用を改め、将来を見据えて主体的にMac管理にアプローチするIT管理者は、今後生じる技術的・社会的な変化に対しても、強固なエンドポイント運用体制を構築できるはずだ。

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