Ask The Expert
【Q&A】マスターデータはどう管理すべきか?
マスターデータは中央データベースに格納すべきだろうか、それとも分散データベース(データサイロ)にすべきだろうか。──エキスパートが問題へのアプローチ方法を解説する。
質問:われわれはデータ統合/ビジネスプロセス・リエンジニアリングに取り組んでおり、2つの選択肢で迷っています。1つは、すべてのマスターデータを1つの中央データベースに格納するというもの。もう1つは、一連のデータサイロ(分散データベース)を用意し、それぞれに各業務領域のデータを格納するというものです。どちらのアプローチが良いでしょうか。リエンジニアリングは一気にではなく、徐々に進めています(ビジネスプロセスが適切に実施されていない事業領域を「修正」することになるでしょう)。
いかにシンプルなビジネスインテリジェンス(BI)プロジェクトにも複雑な側面があるため、どちらのアプローチを取るべきかは正直答えられない。答えるにはもっと情報が必要だ。そこで以下では、こうした問題へのアプローチ方法を説明しよう。ヒントになれば幸いだ。
常に最も重要な問い(そして恐らくこの場合でも肝心な問い)は、「ユーザーシステムに求めているのは何か」だ。
例えば、あなたの会社に財務、人事、営業という3つの業務部門があるとしよう。
そして、ユーザーが常にこの3つの業務領域すべてのデータから作成される情報を求めているとする。この場合は基本的に、中央データウェアハウスを構築しなければならない。それが答えだ。だがあいにく、こうしたシステムは通常、構築するのが非常に大変だ。奇妙なことに、中央システムの構築の難しさは技術的な側面(データ量やデータのマージなど)とはあまり関係がない。それよりも、データの定義についてユーザーの合意を得るなど、人的な問題に大きく起因していることが多い。技術的な問題は取るに足りないということではないが、大企業の社内政治にかかわることと比べればたいしたことはない。データ定義は多くの場合、単なる偏見に影響されるだけでなく、社内政治の影響も受ける。
あるいはまた、ユーザーが求める情報がいずれも1つの業務領域のデータから得られるものだとしよう。財務担当者は財務分野の情報だけを要求するといった具合だ。この場合は、サイロのアプローチが非常に魅力的だ。
しかし、この場合も注意が必要になる。財務部門と人事部門のそれぞれのサイロに、給与と部門に関するデータが含まれているとしよう。すると、どちらも各部門の人件費の数字をはじき出せることになる。この情報を財務部門と人事部門が部門内のみで使う分には問題ない。しかし、両部門の責任者が会議に出て、それぞれの数字を正式なものとして使ったらどうなるか。役員会議を紛糾させないためには、各部門のシステム間でデータの意味を統一しておくことが不可欠だ。もっとも、それが済めばデータの集中管理の準備作業はほとんど完了することになる。このため、サイロから満足のいく情報が得られるとしても、われわれは結局、中央システムの方が長期的に優れたソリューションだと考えるかもしれない。
要約しよう。BIプロジェクトが主に、全社的に使われる情報の統合と調整へのビジネスニーズに対応することを目指しているのであれば、中央データベースを採用するとよい。そうでないなら、そして長期的な影響を考える必要がないことが確かなら、サイロが適している。
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