製造業ならではのBI導入ノウハウ
製造業向けBIツール選択のための7つのポイント
製造業向けBIツールには、オーソドックスなものに加え、製造現場のリアルタイムデータを分析できるものなど多様な製品がある。それらの中から最適なものを選択するために考慮すべきポイントを紹介する。
製造メーカーがビジネスインテリジェンス(BI)システムを構築する際には、データの集約、クレンジング、同期に加え、指標の定義や分析対象の設定など、さまざまな事項を考慮する必要がある。だが、どのようなシステムでも、根幹を担うのはBIの重い処理をこなすソフトウェアとハードウェアだ。ツールの選択を誤ると、間違いなく高価な失敗につながる。
例えばリアルタイムデータ、もしくはほぼリアルタイムのデータに焦点を当て、製造工程の最大限の効率化を目指す製造インテリジェンスツールがある。一方、各種のデータベース上のトランザクション履歴データに焦点を当て、それらをキューブ化して分析する従来型のBIツールもある。この2つを両極として、BIツールにおける対象データの選択や分析のアプローチはさまざまに異なっている。
「この分野のベンダーは、混乱を招こうとしているように見える。多くのBIベンダーが製造現場に目を向けて、リアルタイムデータを扱おうとしている。それは、彼らがもともと得意としてきたことでは必ずしもない」と、Aberdeen Groupのシニアリサーチディレクター、マシュー・リトルフィールド氏は語った。逆に、一部の製造インテリジェンスソリューションプロバイダーは、メーカーが製造データをビジネス系システムと結び付けて分析するためのツールの提供を進めている。
ベンダー各社は多様な製品を売り込んでいるが、その中から最適なものを選択するコツはいろいろある。以下では、BIツールの選定を始めるに当たって考慮すべき7つのポイントを紹介する。
1. 製造BIシステムのRFPを作成すべきか
RFP(提案依頼書)の作成は、入札を募り、ソリューションを購入するための唯一の方法ではない。だが、RFPを作るとなると、企業は何が本当に必要なのかを明確にすることを迫られる。それが重要な出発点になる。
「要件を明確に定義しなければならないのは常識だ。それは外部の人間にはできない」と、Forrester ResearchのBI担当主席アナリスト、ボリス・エベルソン氏は語った。「時間をかけて要件を文書化しなければならない」
2. BIベンダーはITと製造の両方に通じているか
BIベンダーがITと製造業務の両方の言葉を話せるか。
「ベンダーがIT、製造の両部門とうまくコミュニケーションを取り、協力して仕事ができることが、製品購入の大前提だ」とリトルフィールド氏は語った。「わたしなら、そのような良好な関係が築けるベンダーとしか付き合わないだろう」
3. BIベンダーに製造業もしくはあなたの会社が属する業種の経験があるか
製造関連業務への利用という観点でBIツールを評価するに当たって、業種固有の機能性はどの程度重要なのか。
「10段階評価で7か8くらいの重要度がある」と、Gartnerの製造業向けアドバイザリサービス担当副社長、ダン・ミクロビク氏は語った。「業種固有の専門用語を使ったテンプレートを備えているソリューションであれば、迅速に導入できるのは間違いない。また、業界の標準的なプラクティスを利用できる機能が用意されていれば、必ず重宝する」
「しかし、あなたの会社が属する業種に関するベンダーの経験が限られていたり乏しいとしても、それを理由に彼らのツールを選択候補から外すべきではない」とミクロビク氏は言う。「業種経験だけでなく、自社システムの全体的なアーキテクチャとの近似性および適合性という2つのファクターも、ツール選択の際に重視しなければならない」と同氏は付け加えた。
4. 会社で利用しているERPベンダーはBIでもベストな選択肢か
「あなたの会社のシステムアーキテクチャとの適合性が重要なのは明らかだ。このため、会社のERPシステムのベンダーがBIソリューションを提供している場合、有力候補に含めるべきだ。しかし、彼らのソリューションを選べば間違いないとはいえない」とミクロビク氏は語った。「ERPベンダーは一般的に、幅広くさまざまな業種をターゲットにビジネスを展開している。このため、彼らの製品は守備範囲が広いが、専門性の高い機能を備えているとは限らない」
5. オフショアリングは製造メーカーにとって得策か
オフショアリングの政治的な問題はさておき、BI導入の初期段階はオフショアリングを行うのに適さないかもしれない。
「従来のソフトウェア開発では、開発会社がどこにあろうと仕様を書いて渡して、数カ月後に納品してもらうこともできた。しかしBIでは、顔を合わせて話すことが必要になる」とエベルソン氏は語った。「BIでは、要件を定義するのが非常に大変だ。定義の仕方が幾つもあるからだ。このため、ビジネス担当者が仕事の現場で話すことに耳を傾けなければならない。単に要求を文書化したものを開発サイドに渡しても、BIに何が求められるかは完全には伝わらない」
「BIの一部のプロセスは、オフショアリングしようとしてもうまくいかない。メンテナンス、サポート、ヘルプデスクはオフショアリングできるが、ラピッドプロトタイピングなど、初期段階における開発プロセスはすべて、開発サイドの担当者がビジネス担当者のオフィスで、何事も彼らとやりとりしながら進めなければならない」とエベルソン氏は付け加えた。
6. 大手ERPベンダーか専業型のBIベンダーか
「この選択は常に難しい問題だ。大手のERPベンダーは一般的に良いコードを書くが、製造業のプロセスに精通していない」とミクロビク氏は説明した。「専業型ベンダーは製品に優れた機能を盛り込むが、彼らのソフトウェアスキルは一流ではないかもしれない」
また、業種特化型ベンダーのシステムは、メーカーの業務にはよくなじむかもしれないが、柔軟性に欠ける恐れがある。一方、ERPベースのシステムは、多くのカスタマイズが必要かもしれない。
7. BIのパイロットプログラムは必要か
企業は製造BIに多大な資金を投入しているが、パイロットテストは慣行として定着していないようだ。
「しっかりとパイロットプログラムを実施することが最良のアプローチだ」とミクロビク氏。「十分に高度な使い方を想定して実施し、ベンダーの主張を検証するとともに、十分に幅広く実施し、起こりがちな問題を経験しておくとよい。パイロットプログラムが首尾よく完了して初めて、本格導入に踏み切るべきだ」
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