VDIのバックアップをクラウドで
VMwareのVDI/クラウド戦略に統合されるMozy
米VMwareが最近買収したクラウドベースのバックアップサービス「Mozy」。Mozyの買収は、VMwareのバックアップ/ストレージ戦略よりもクラウド戦略に沿ったものだと思われる。
米VMwareが最近、クラウドコンピューティングベースのバックアップサービス「Mozy」を買収したが、サーバという視点で見ればこの買収の必要性が感じられず、サーバ仮想化を利用しているユーザーは混乱するかもしれない。しかし仮想デスクトップのバックアップとストレージを必要とするITプロフェッショナルには朗報だと言えそうだ。
アナリストらによると、Mozyの買収は、ユーザーのデスクトップをクラウドに移行させることを目指したVMware戦略の一環だという。
VDI(仮想デスクトップインフラ)に伴う最大のコストの1つがストレージであり、VMwareはこのコストを削減するための取り組みを進めている。同社は「VMware View 4.5」で階層型ストレージを導入した。そしてデスクトップストレージのバックアップ用として同社が獲得した大規模なクラウドベースのプラットフォームは、ユーザーがストレージコストを削減するための新たな手段になる可能性がある。
「仮想デスクトップではストレージが大きな問題であり、それが最大のコスト要因になる企業もある」と指摘するのは、米調査会社Gartnerのアナリスト、マーク・マージビシアス氏だ。「このコストの削減に役立つネイティブ対応製品やアドオン技術は歓迎すべきものであり、VMwareがMozyを買収した狙いもそこにあると考えられる」
今のところ、VDIのバックアップには、エージェントベースのバックアップ、同期化、あるいはエンドユーザーによるローカルバックアップという方法が用いられている。
マシンのバックアップをユーザーに任せるというのは、ローカルPCにバックアップソフトウェアをインストールし、これらのバックアップに対応するのに十分な容量を備えたリムーバブルメディアを提供することを意味する。この方法に伴う問題としては、IT担当者がこういった作業をエンドユーザーに任せるのは心配だと思っていることが挙げられる。紛失や盗難の恐れがあるリムーバブルメディアを扱う場合はなおさらだ。
Mozyのようなクラウドベースのバックアップ製品を利用すれば、そのような責任をユーザーに負わせる必要はなく、リムーバブルストレージに伴うリスクも排除できる。しかし当然ながら、クラウドプロバイダーにデータを預けることになり、それを不安に感じるIT担当者もいる。
「これは1つの選択肢にすぎず、使いたくないユーザーは使わなければいい」とマージビシアス氏は語る。「しかし競争相手がクラウドベースのバックアップを利用していないのであれば、これは差別化につながる選択肢でもある」
米New Age Technologiesの仮想化エキスパート、シャノン・スノーデン氏によると、米Zimbraの買収と併せて考えれば、Mozyの買収はプライベートクラウドおよびVMware Viewにとってプラスになるという。
「VMware View環境を構築した企業の多くは、VMware Viewのユーザーのデータをどうするかという問題に直面している」とスノーデン氏は話す。「これには、ユーザーの“マイドキュメント”を、バックアップ対策が既に施されている社内のファイルサーバにマッピングするという方法が採用されるのが一般的だ。ZimbraのサービスをVMware Viewと組み合わせることで、Zimbraを単独で利用した場合よりも完全なオフィス環境をクラウドで実現できる」
MozyのWebサイトに掲載された説明によると、両社は「ハイブリッド型クラウドソリューションの構築と提供に向けた長期的開発計画を統合する」としている。この説明から推測すれば、Mozyは「Project Horizon」と連係するものとみられる。Project Horizonは、クラウド/オンプレミスアプリケーション向けにVMwareが開発中のセルフサービス型配信ポータルだ。
VMwareが買収したクラウドプラットフォーム技術をベースとするProject Horizonは2011年内にリリースの予定。Project Horizonが利用可能になれば、VMware Viewのユーザーは、クラウドベースのアプリケーションとローカルアプリケーションに、企業のファイアウォールの内側に置かれたProject Horizonポータルからシングルサインオンでアクセスできるようになる。
VMwareのクラウドパッケージの新たなコンポーネント
「Mozyの買収は、VMwareのバックアップ/ストレージ戦略よりもクラウド戦略に沿ったものだと思われる。クラウド上にホスティングされたデスクトップを提供する手段を同社が手に入れることになるからだ」と指摘するのは、米IT調査企業Taneja Groupのアナリスト、デビッド・バートレッティ氏だ。
「VMwareは、MozyとVMware Goを使ってデスクトップに仮想環境を配信するかもしれない。ユーザーは物理マシンを仮想化するのではなく、仮想デスクトップをダウンロードして実装できるようになる。同社はそれを目指しているようだ」とバートレッティ氏は話す。
ワシントン D.C.在住の仮想化コンサルタント、トニー・ウィルバーン氏によると、少なくとも現時点でVMwareは、クラウドを既に利用している企業がメリットと感じているクラウドサービスを提供できるようになった。「クラウドへの移行を企業に促す最大の魅力は、電子メールとバックアップだ。これらは確実に手に入るメリットだ」とウィルバーン氏は話す。
アプリケーションプロバイダーの米SpringSource、そしてZimbraと米WaveMaker、さらに今回のMozyの買収により、VMwareは開発環境、電子メール管理、アプリケーションおよびデータバックアップ環境を提供するクラウドサービスを確保したのだ。
「同社はまず、仮想デスクトップとアプリケーション、データサービスにバックアップとリカバリを含めたパッケージ製品を投入してくるだろう」(バートレッティ氏)
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