ブランドよりも中身が大事、「Windows Server 2012 R2」のサーバ選定基盤技術が肝

サーバの選択はOSやワークロードのパフォーマンスに深刻な影響を及ぼす可能性がある。「Windows Server 2012 R2」のパフォーマンスが向上するハードウェアの選択肢とは?

2014年09月03日 15時00分 公開
[Stephen J. Bigelow,TechTarget]

 Windowsの管理者は、サーバでより良いパフォーマンスを発揮することを望んでいる。パフォーマンスの向上は、企業がハードウェアへの投資からより多くの価値を得る最良の方法である。また、各ワークロードで最大の生産性を上げる最良の方法でもある。パフォーマンスの改善に取り組むときにはサーバ自体のハードウェアの選択肢が注目されることが往々にしてある。だが、いつも最新かつ有名なブランドのシステムを購入できるとは限らない。また、ハードウェアのアップグレードや簡単な微調整が大幅なパフォーマンス向上をもたらすことも少なくない。特にCPUとストレージのパフォーマンスに取り組んでいるときには、その可能性が高いだろう。

 米Microsoftの「Windows Server 2012 R2」は、使用するハードウェアによってパフォーマンスが向上することが分かっている。例えば、高速な64ビットプロセッサや、よりコアの多いモデル、またはその両方が採用されたサーバもある。だが、このような基本的なハードウェアの選択は、基盤となるコンピュータの能力に影響する。仮想化されたサーバのプロセッサでは、第2レベルのアドレス変換(SLAT)がサポートされている必要がある。SLATは物理メモリアドレスを仮想メモリアドレスに直接変換して、ハイパーバイザーのパフォーマンス強化に使用される。SLATは米Intelのチップセットでは「EPT(Extended Page Table)」、米AMDのチップセットでは「NPT(Nested Page Table)」と呼ばれることがある。

 プロセッサのキャッシュは、パフォーマンスの調整事項として見過ごされることが多い。プロセッサは、最近アクセスした命令とデータをプロセッサ内の高速メモリの比較的小さな領域に格納する。命令やデータをフェッチするときには、まずキャッシュを確認する。必要なコンテンツがキャッシュに格納されている場合を「キャッシュヒット」という。この場合、システムメモリからコンテンツをフェッチする必要がないので、パフォーマンスは大幅に向上する。一方、必要なコンテンツがキャッシュにない場合は、通常のメモリアクセスサイクルが実行される。このような状態を「キャッシュミス」という。通常、大きなL2/L3/L4(Last Level Cache、LLC)キャッシュはシステムのパフォーマンスに対してプラスに働く。CPUのモデルによるが、最新の「Intel Xeon E5プロセッサ」では最大30Mバイトのキャッシュが提供される。

 メモリモジュールは、プロセッサのクロック周波数に合ったものを選択されたい。一般的なメモリモジュールのバス速度は1333MHz、1600MHz、1866MHzだ。プロセッサの最大バス速度に合った速度を選ぶことが肝要だ。高速なメモリがマイナスに作用することはないが、コストは高い。また、メモリは低速な方の速度に固定されるため、パフォーマンスにプラスの影響はない。低速なメモリはシステムが最適なレベルで実行されることを妨げる。例えば、1600MHzバス速度をサポートするプロセッサを選択した場合は、1600MHzのメモリモジュールを選ぶのが望ましい。1866MHzのモジュールを選択してもお金の無駄になるだけだ。1333MHzのモジュールは機能しないか、低速な方のバス速度が強制されるため、サーバのパフォーマンスが低下することになる。

 メモリの容量がもたらすメリットにも同じ論理が適用される。メモリの容量が多くてもパフォーマンスにプラスの影響はない。だが、メモリが不足するとパフォーマンスに大きな打撃がある。ポイントは、OSとシステムで実行する全ワークロードをサポートするのに十分な容量のメモリを用意することだ。メモリを追加するとコストが高くなるが、パフォーマンスは向上しない(仮想マシンの移行やフェイルオーバーをサポートするために追加のメモリ容量を用意している場合は異なる)。ただし、メモリが不足すると、システムは臨時の領域としてローカルディスクの領域を使用する。この「ディスクのページング」が発生するとパフォーマンスは大幅に低下する。ディスクへのアクセスは、メモリへのアクセスより低速だ。また、不用意に配置されたページングファイルは頻繁にアクセスする他のディスクファイルと競合する可能性がある。

 今日、多くのストレージ/ネットワークインタフェースデバイスはPCI Expressインタフェースに依存している。そのため拡張性を考慮して、十分な数のPCIスロットがあるサーバを選ぶことをお勧めする。10Gビットイーサネット(10GbE)ネットワークアダプターなど非常に広い帯域幅が必要なデバイスでは、PCIeレーンの数が少ないとバスの競合が発生する。そのため、少なくとも8個以上のPCIeレーン(PCIe x8)を搭載したサーバを採用されたい。

 ストレージエリアネットワークやネットワーク接続ストレージではなく、サーバのローカルストレージを使用する場合は、ストレージのパフォーマンスを向上することが可能だ。それには、高回転速度(RPM)の小型フォームファクターディスクを選び、RAIDグループ構成にした複数のディスクを使用して、読み取り/書き込みのアクティビティを複数のスピンドルに分散して、同時実行性を実現する必要がある。例えば、4台の比較的小さな2.5インチの1万5000RPMディスクをRAID 5構成にした場合、同じ容量を備えた1台の3.5インチの7200RPMディスクよりもストレージのパフォーマンスは高くなる。また、読み取り処理が頻繁に行われるか、遅延の影響を受けるアプリケーションでは、従来のHDDの代わりにSSDを使用することでもメリットを得られる。

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