将来を見越したネットワーク環境へ
「なぜうちの無線は遅い?」と社員に言われる前にできること
社内に増え続ける無線デバイスだが、知らないうちにパフォーマンスが落ちているかもしれない。その前にIT部門ができる対策とは。
モバイルデバイスが企業のネットワークで急速に増加している状況を受けて、企業はその増加に対応すべく無線ネットワークのアップグレードを検討するかもしれない。だが、無線ネットワークのアップグレードを成功させるには、無線ネットワークのアーキテクチャだけでなく、有線ネットワークへの影響も慎重に考えなければならない。
新しく増えたデバイスの影響で無線ネットワークのパフォーマンスが低下し始めた場合、IT部門の責任者に全社から不満が寄せられることになるだろう。ほとんどのユーザーにとって仕事をする上で、モバイルデバイスを無線ネットワークで接続できることは非常に重要だ。そのため、無線ネットワークのアップグレードは、IT部門の責任者が細心の注意を払って、かじ取りと戦略的な管理をする価値のある作業だ。
本稿では、将来に目線を向け、自社のモバイルネットワークを無線LANの標準規格である「IEEE 802.11ac(以降、802.11ac)」対応にアップグレードするだけではなく、802.11acの寿命がくるまで、ネットワークを最適な状態で運用し続けるための幾つかの手順を紹介する。
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公式なモバイル計画グループを編成せよ
モバイルデバイスは既に大半の企業で定着している。だが「モバイルデバイスをサポートして管理する」というプロセス以上のことを考える機会はほとんどない。無線LANインフラのアップグレードを検討している場合は、モバイルデバイスについて正確に見直す絶好の機会だろう。以下に見直しへの取り組み方についてのヒントを紹介する。
- モバイル計画グループを編成するとき、IT部門以外の代表者をグループに含める。各ビジネス部門の代表者だけでなく、その他に少なくとも経営幹部レベルの代表者を1人含めることをお勧めする
- 全社からモバイルデバイスに関する不満の声を収集するのではなく、さまざまなグループが望むユースケースの将来に焦点を当て続ける。企業のネットワーク計画では、不満の声は、望まれるユースケースほど役に立たない
- 今後の計画と新たなユースケースを掘り下げる。ビジネス部門のリーダーは、いつも自部門の計画と支出が、自社のネットワークに及ぼす影響について考えているとは限らない。例えば病院が新しい無線心臓モニターの購入を考えている場合、IT部門はそれを把握している必要がある。また、営業部門がモバイルのビデオ会議を使い始めたいと考えているなら、それも把握しておかなければならない
既存の環境を評価せよ
例えば、ネットワーク管理チームは、ネットワークのトラフィックの流れを正確なスナップショットで提示できるツールを使っている。その場合、そのツールは、将来のネットワークに802.11ac対応のデバイスを組み込むことを計画する際に役立つ。
トラフィックとネットワークの監視ツールを利用すれば、将来問題になりそうな部分をはっきりと見抜くことができる。このようなツールを使って、ネットワーク管理チームが大容量のリンク(回線)と、トラフィックの生成量が最も多いホスト(端末)を特定できるようにしたい。同様に、通信路容量に余裕がある部分と、その部分が十分に活用されていない理由を確認することをお勧めする。将来のユースケースを考えるモバイル計画グループから得たデータを使い、新しいモバイル活動から予想される追加の負荷による影響をモデル化する必要もある。この作業によって、802.11acへのアップグレードの際に注意すべき領域を特定することが可能になる。
既存のネットワークベンダーの協力を得て戦略的なルートを確保せよ
一方であまり大きな関心が向けられていない変化も起こっている。現在、ドラフト段階の802.11ac規格である「IEEE 802.11ac Wave 1」が802.11acの標準規格となっており、理論上は最大約1.3Gbpsの速度を実現できる。その通信時の負荷を処理するには、有線ケーブル側にも工夫が必要である。例えば、標準規格の通信用ケーブルである「エンハンスドカテゴリー5(Cat5e)」または「カテゴリー6(Cat6)リンク」を使うなどである。
だが2016年の初頭には、第2世代の802.11ac規格「IEEE 802.11ac Wave 2」が市場で普及し始める可能性が高い。理論上、Wave 2は最大約7Gbpsの速度を実現し、現在の1ギガビットイーサネット(GbE)のリンクが処理できる量を大きく上回る。現状では、イーサネットを利用して電力を供給する「Power over Ethernet(PoE)」に対応していないことと、コストの高さから、多くの人にとって10GbEが現実的な選択肢になる可能性は低い。だが、一部のネットワークベンダーは、既存のケーブルに代わる2.5GbEと5GbEのスペックを策定し、この問題を回避すべく取り組んでいる。問題は、まだ標準規格が存在しないことだ。
もし、ネットワークの中心機器を変えて高速な802.11acをサポートする計画がない場合、ネットワークベンダーに選択肢を確認し、計画を進めるための構想を立てるよう問い合わせることをお勧めする。指名したベンダーに、その作業を依頼するのも良いだろう。
モバイルデバイスと無線デバイスの継続的な増加は、エンタープライズネットワークに大きな影響を与えている。今こそデバイスとトラフィックの新たな流れを先取りして、現在だけでなく今後何年にもわたって企業のニーズに応えられるネットワークを計画するときだろう。
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