木を見て森を見ず
スタートアップが逃れられない「創業6カ月目の憂鬱」とは?(1/2 ページ)
新規ビジネスを立ち上げて数カ月、全てが順調に進んでいるように見えた。「何かが違う」と感じ始めたのは、まさにそのときだった――。スタートアップが直面した葛藤の正体は。
私はある日、コンピュータとスケッチブックを持ってカンファレンスルームに座っていた。新規クライアントのユーザーインタラクション戦略について考えているときだった。私と長い付き合いがあり、ビジネスパートナーの1人でもある友人がどうにも浮かない顔で部屋に入ってきた。
彼は後ろ手でドアを閉めると、椅子に崩れ込むように座り、黙り込んだ。私は彼に少し時間を与え、何か悩みごとがあるのなら、心の中で思っていることを全て吐き出すように促した。
「われわれは焦点を失いかけていると思う」と、彼は言った。
いつの間にか見失っていたもの
彼がそんなふうに私のところへ訪ねてくるとき、私は決まって笑みを浮かべ、彼の懸念を何か建設的な、あるいは積極的な方向へ振り向けるように努力してきた。彼も私に対して同じようにしてくれた。
だが今回は様子が違う。私が浮かべた笑顔は、彼からの警告となって返ってきた。数日間私の心に引っ掛かっていたものが晴れ、われわれが焦点を失いつつあることを認識できたのは、そのときだった。全てはうまくいっているように見えていたのにもかかわらずである。
状況はこうだ。われわれのビジネスはまさに離陸しようとしており、幾つかのプロジェクトが同時進行中だった。われわれはチームの規模を拡大するため、多くの履歴書に目を通し、候補者の選定に没頭していた。小さなオフィスから、米テネシー州の大都市メンフィスのミッドタウンにある大きめのオフィスへ移転する準備も進めていた。われわれのブランド戦略とメッセージ戦略も最終的なプロセスにあった。全ては予定通りに進行していた。
では一体、あの心に引っ掛かる感覚は何だったのだろうか。われわれの認識は、木々をすり抜けるレースの途中、大きな“森”の中で視界を無くしてしまった、というものだった。そのときわれわれが進めていたプロジェクトは、戦略目標の話し合いを始めてから既に数週間が過ぎていた。
現在と未来をつなぐ戦略目標を見直す
スタートアップ企業によくあるケースだが、戦略目標・目的は、技術進化や顧客ニーズの変化、あるいは単に最終段階のビジョンそのものの転換など、さまざまな理由によって変わる。われわれの場合、長期的な戦略目標は、全体的なデジタル変革を効率化する一連の製品を顧客に提供することだった。
ただ、日々膨らむクライアントリストを前にすると、この最終目標に見合う大きな仕事にはなかなか手が届かない。むしろわれわれは、Webプレゼンスの再設計と再定義(近代化)、顧客囲い込みに関する幾つかの戦術的プロジェクトを進めていた。私の明敏なビジネスパートナーが認識したことはこうだ。われわれの企業メッセージは一貫している。だがわれわれの新しいクライアントが必要としているものは、もう少し現実的なものではないか――。
そう、われわれは木々がどのようにして森になるのか、いま一度考える必要があった。何本かのサインペンをつかみ、長期戦略と長期目標をリストアップしていった。他のパートナーを集めて会合を開き、同じ目標に向かっていることを確認し、それぞれの責任範囲を把握した。そして、会社を成功に導くために必要な関連目標と課題を再検討した。
われわれは企業メッセージを手直しした。それにより、既存顧客の共鳴を得るだけでなく、現行のソリューションが会社創立時に掲げた長期目標である、より大きな戦略転換の基盤であることを示すことにしたのだ。
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