一部の企業が敬遠する理由は?
万能ではない「ハイパーコンバージドインフラ」、仮想デスクトップとの“微妙な相性”
ハイパーコンバージドインフラは、VDI導入企業が求めるパフォーマンスと管理性を実現する。だが一部の企業は、柔軟な調整がしにくいと敬遠するかもしれない。
ハイパーコンバージド(超垂直統合型)インフラストラクチャはVDI(仮想デスクトップインフラ)導入企業に、仮想デスクトップを展開する効率的な方法を提供する。だが、ハードウェア運用の柔軟性をメリットと見る企業は、従来型のVDIを好みそうだ。
VDI導入企業にとって、ハイパーコンバージドシステムを使うことは、さまざまな点で非常に理にかなっている。一部のハイパーコンバージドシステムは、VDIソフトウェアがプリロードされており、VDI環境での利用に向けて既に最適化されているからだ。米VMwareのように、独自のHCI製品を手掛けるVDIベンダーもある(参考記事:注目度“高”のハイパーコンバージド市場、VMwareの「EVO:RAIL」に勝算は?)。VMwareのHCI製品「EVO:RAIL」は、「EVO:RAILエンジン」(EVO:RAIL Deployment、EVO:RAIL Configuration、EVO:RAIL Management)をはじめとする同社のソフトウェアを搭載する。EVO:RAILエンジンは仮想マシンの展開や構成、管理を中央から簡単に行えるようにするものだ。VDIを利用したい企業の中には、「ハイパーコンバージドシステムは、このように対応機能が充実しているので、VDIを導入するための当然の選択肢だ」と考えるところもありそうだ。
ハイパーコンバージドシステムの課題
だが、ハイパーコンバージドシステムにも難点がある。大きなデメリットは、ハードウェアレベルでアップグレードができないことだ。IT部門が限られた予算でやりくりしているなら、これでは問題が生じる恐れがある。一部のコンポーネントでのみアップグレードが必要になっても、コンポーネントを全て一括してアップグレードしなければならないからだ。
具体的に見てみよう。例えば、ハイパーコンバージドシステムでストレージが不足してきているが、コンピューティングリソースは豊富にあるとする。この場合、ストレージだけをアップグレードすることはできない。代わりに、サーバ、ネットワーク、ストレージの各リソースを持つもう1つのノードをシステムに追加しなければならないだろう。確かに、場合によっては、外部ストレージアレイを接続することで、この問題を回避できるかもしれない。しかし、それでは最適化されたハードウェアを使うメリットが損なわれてしまう。
これとは対照的なのがコンバージドインフラだ。コンバージドシステムでは、ストレージノードを簡単に追加できる。だが、コンバージドシステムはハードウェアのみで構成されるため、ハイパーコンバージドシステムで提供される、ソフトウェアとの緊密な統合機能は望めない。
ハイパーコンバージドシステムを使うことは、完全に最適化されたハードウェアと管理のしやすさを求める企業に適している。しかし、ハイパーコンバージドシステムは、システム運用に高い柔軟性を確保したい企業、特にハードウェアコンポーネントを自由にアップグレードしたい企業にはそぐわないだろう。
またハイパーコンバージドシステムは、システム管理者が特定分野を専門に担当し、縦割り化(サイロ化)したIT部門を抱える企業にも向かないかもしれない。ハイパーコンバージドシステムでは、ストレージとサーバを切り離すことはできない。このため、こうしたIT部門では、縄張り争いが起こらないように、ハイパーコンバージドシステムに関しては表面的な管理にとどまってしまう恐れがある。
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