「アプリ甲子園2015」リポート
世界のアレルギー患者を救いたい――小学6年生が熱意で作ったスマホアプリとは?(1/2 ページ)
小中高生が開発したスマートフォンアプリのコンテスト「アプリ甲子園2015」の決勝大会が開催された。応募総数1334作品の中から頂点に輝いたアプリとは?
2015年10月25日、小中高生を対象としたスマートフォン向けアプリケーション開発の年次コンテスト「アプリ甲子園2015」(主催: D2C)の決勝大会が、東京大学(東京都文京区)伊藤謝恩ホールで開催された(写真1)。今回で5回目を迎えた同イベントには、全国から応募が殺到。過去最大となる1334作品の中から、1次選考会の書類審査、2次選考会のプレゼンテーション審査会を勝ち抜いた10作品が決勝大会に登場した。
1334作品の頂点に立ったアプリとは、どんなものなのか。全国の小中高生がしのぎを削った決勝大会の模様をリポートしよう。
優勝作品は「利用価値」、準優勝作品は「技術力」が評価ポイント
優勝作品は、成蹊小学校(東京都武蔵野市)6年の中馬 慎之祐さんが開発した、食物アレルギーを持つ世界の人々のためのアプリ「allergy」(アレジー)だ(画面1)。外食時、飲食店のスタッフに、食物アレルゲン(アレルギーを引き起こす原材料)が料理の中に含まれているかどうかを確認する際に役立つ機能を備える。
allergyの特徴は、特に海外での外食時に便利な翻訳機能である。ユーザーは、自分の母国語で「卵」「小麦」といった食物アレルゲンの名前を入力すると、指定した言語に自動変換してくれる(画面2)。認識・変換可能な言語は、日本語、英語など8カ国語。実は中馬さん自身が卵アレルギーを持っており、海外旅行での食事で苦労をした経験をきっかけに、このアプリを開発したという。
「Google翻訳」などの無料翻訳サービスを使えば、食物アレルゲンの名前を翻訳すること自体は可能だ。ただし、入力した語句やその翻訳結果が、想定した食物アレルゲンの名前であるかどうかを確認することは難しい。allergyであれば、翻訳後に出力されるのは食物アレルゲンの名前に限られる。こうしたことを考慮すれば、食物アレルギーに特化したアプリの必要性が理解できるはずだ。中馬さんはプレゼンテーションで、「世界で5億人とも言われている食物アレルギーの人を救いたい」とアプリに込めた思いを語った。
審査員からは、「最初から世界を対象にしたアプリを開発した視点が良い」「画面を横スライドしていくだけで、アレルギーに関する必要な会話が成立するのが良い」と評価された。また、審査委員長を務めたデジタルハリウッド大学学長/工学博士の杉山知之氏は「アプリの価値は、どれだけ多くの人に楽しんでもらえるか、利用価値があるかだ。小学生が世界5億人の人に役立つアプリを作っていること、しかもリリースまでできていることが評価できる」と述べた。
準優勝作品は多機能さと軽快さが評価
準優勝は、さいたま市立桜木中学校2年の太田史帆さん。紙のノートで感じる“面倒さ”をなくしたい――。太田さんがこんな思いで開発したノート作成アプリが「mago-note」だ。米Appleのタブレット「iPad」でノートが気軽に取れる、「ノート作りが楽しくなるノート作成アプリ」である。
mago-noteは、ノートのどの場所からでもテキスト入力ができるようにしたり、デジタル付せんが貼れるようにするなど、紙のノートでできる基本的な機能を押さえつつ、紙のノートでは実現しにくい機能をそろえた(画面3)。具体的には、テキストや画像をノート間・ページ間で移動できる機能、iOSの無線ファイル転送機能「AirDrop」を使ったノート共有機能などを搭載。決勝では、これだけ多彩な機能を盛り込んでいるにもかかわらず、スムーズな動作を実現した技術力が特に評価された。
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