北米放射線学会(RSNA 2016)トピックス
「目指すは診断精度の向上」、放射線医学分野を中心に広がる技術トレンドとは
第102回北米放射線学会(RSNA 2016)では、画像診断における人工知能(AI)と機械学習の導入や、放射線医学分野におけるクラウドや遠隔医療の応用といった技術テーマが注目を集めていた。
エリオット・シーゲル氏のような放射線科医にとって「RSNA 2016」は是が非でも参加すべきイベントであったようだ。医療機器や家電を手掛けるオランダの巨大企業Philipsが主催したイベントで、エリオット・シーゲル氏は人工知能(AI)と機械学習を医用画像分野に応用するメリットを強調していた。
VA Maryland Health Care Systemの医用画像責任者で、メリーランド大学医学部で医用画像情報学副理事長を務めるシーゲル氏は、RSNA 2016において放射線医学における精密医療および機械学習の教育パネルディスカッションにも参加していた。
RSNA 2016は、正式には第102回北米放射線学会と呼ばれる学術集会・年次総会で、全世界から約5万2000人が参加している。参加者の半数以上は医師をはじめとする医療従事者だ。
機械学習とAIの活用
Philipsは医用画像の解析にAIと機械学習を活用するプロジェクトを進めており、シーゲル氏もこのプロジェクトに参加している。
同社はこの取り組みの成果として、RSNA 2016で「Illumeo」を発表した。これは予測分析機能を備えた医用画像情報システムで、電子カルテ(EHR)や放射線科情報システム(RIS)の記録、放射線医学分野の従来の研究成果など広範な情報源から関連性の高い症例情報を補う機能を提供する。
「放射線科医およびコンサルタントである私の役割として、ゲノムデータを結び付け、患者個人に合った医療を提供できるようにしたい」とシーゲル氏はPhilipsの記者会見で語った。この会見には同社の幹部2人と1人の医師が同席した。
「私が放射線医学の研究成果を解釈する際には、それを単独で読むのではなく、他の臨床研究や、患者に関する全ての臨床情報と関連付けた形で理解したい」と同氏は続けた。
診断精度の向上を目指す
Philipsでコネクテッドケア&ヘルスインフォマティクスを担当するジェロエン・タス最高経営責任者(CEO)は記者会見で、「当社は医療機器を通じて患者とヘルスケアシステムを結び付け、医師がより正確な診断と患者個人に合った治療を提供できるようにしたい」と述べた。
「われわれの目標は、患者に関する深い関連情報を提供することにより、画像を可能な限り定量化し、最初から正確な診断を行い、患者個人に合った治療計画を作成できるようにすることだ」とタス氏は語った。
放射線医療機器分野では米国最大級の学会・展示会として、シカゴのMcCormick Placeコンベンションセンターで毎年開催しているRSNAは、長い間、Philips、GE Healthcare、Siemens Healthcare、富士フイルム、日立製作所などの医用画像機器メーカー大手の独壇場となっていた。
同イベントは近年、教育セッションと技術展示の部門で医療ITのコンテンツが次第に充実し、展示フロアでは数十社のソフトウェアベンダーがVNA(Vendor Neutral Archive:注1)などの最新の医用画像技術を出展するようになってきた。
※注1:国際標準規格と規約に基づくインタフェースに加えて、ベンダー独自でない標準的なデータ形式でデータを統合管理し、データの中立性を保つ技術。ベンダーの異なるPACS(医用画像管理システム)や各診療部門システムに管理されているさまざまな診療情報を一括して管理できるようになる。
医療機関のCIOの関心を集めるRSNA
VNAベンダーのHyland Softwareで医療ソフトウェア担当マネジャーを務めるボブ・カーソン氏によると、RSNAには医療機関の最高情報責任者(CIO)の参加が年々増えているという。これらのCIOの多くは、医療情報管理システム学会(HIMSS)のカンファレンスにも足を運んでいる。2017年のHIMSSカンファレンスは、2月19~23日に米国フロリダ州オーランドで開催する。
Hyland Softwareは、医療分野向けの製品だけでなく、個別業界向けにエンタープライズコンテンツ管理システムを販売している。同社がRSNAに出展したのは2016年で2回目だ。
VNA、PACS分野のベンダーが参加
RSNA 2016にはVNAおよびPACS分野の有名ベンダーのほとんどが参加した。
RSNA 2016に出展した650社以上の企業の中には、Merge Healthcare(IBMの子会社)、Fujifilm TeraMedica、TeraRecon、Calgary Scientific、Lexmark Healthcare、Carestream Health、McKesson、Mach7 TechnologiesなどのVNAベンダーやPACSベンダーが含まれる。
Hyland Softwareのカーソン氏は「当社にとって、RSNAのような医用画像機器の展示会に参加するのは重要なことだ」と話す。
カーソン氏によると、Hyland Softwareは2年前にDICOM規格(医用画像の標準規格)に基づくVNA製品を発表して以来、医療関連企業のCIOや医療情報管理担当幹部を主な顧客としているという。
同社は現在、放射線医学分野への進出を検討している。
「放射線医学分野で当社の知名度が高まっている。CIOを中心とする顧客基盤を活用して、この分野への進出を果たしたい」とカーソン氏は語る。
Hyland SoftwareなどのVNAベンダー各社に加え、一部の大手医療システムベンダー各社も、画像が重要な役割を果たす循環器科、皮膚科、病理、眼科などの専門医療分野にも医用画像技術を普及させる取り組みを始めている。
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