ハリウッド映画のような技術はまだ来ない
“iPhone 8”でパラダイムシフトは起きるか? 2017年の3大注目技術
IT部門はモバイルに関する最新の進歩に精通していなければならない。だが、企業にとって最も重要な要素は何だろうか。モバイル技術の未来を決定づける3つのトレンドを紹介する。
2006~2016年の10年間に、モバイルデバイスは大幅に普及した。その結果、モバイルデバイスが以前ほど刺激的なものではなくなっているという事実を受け入れることから始めたい。映画「アイアンマン」でトニー・スタークが持っているスマートフォンのように、スマートフォンが立体ホログラムを投影できるようになるまでは、一般消費者、ビジネスユーザー、IT部門のいずれもスマートフォンに大きな期待を寄せることはできないだろう。
モバイルテクノロジーは、もはや光の速さで進化を遂げているようには思えない。だが、モバイル市場の安定は、全ての管理者が求めていることに他ならない。安定によって信頼性が高まり、コストが減り、市場の急激な変化に伴うリスクが軽減する。だが、安定しているからといって、面白みに欠けるわけではない。本稿では、2017年に期待すべき主要なモバイルトレンドを紹介する。
デバイスの境界が曖昧に
2012年ごろから、モバイルデバイス市場では二分化が見られるようになっている。ハンドセット、タブレット、Googleの「Chromebook」といったハイブリッドデバイスなど最近の革新はコンテンツクリエーターにとって魅力的な選択肢となっている。だが、エンドユーザーは従来のデスクトップPCを使用する傾向がある。とはいうものの、多くの場合は必要に迫られての対応だ。このようなエンドユーザーにはスマートフォンで動画を編集してみてほしい。
ただし、企業で働くコンテンツクリエーターにとって、モバイルデバイスはプラットフォームになろうとしている段階にある。ユーザーがクラウドに接続している限り、デスクトップPCは過去の遺物になる道を進んでいることになるかもしれない。また、タブレットユーザーが最も重宝しているアクセサリーがキーボードであることから、タブレットとPCの機能的な違いは、OSの選択肢にまで絞られている。
現在、デバイスの革新は、ハードウェアではなくソフトウェア側で見られることが多いのが実情だ。今後もカメラの性能は向上し、プロセッサの高速化と省電力化は進むだろう。ITの専門家は、Appleが「iPhone」の10周年を記念して発売するとみられる「iPhone 8」(仮称)は期待を良い意味で裏切る可能性があると見なし、大きなパラダイムシフトを予想している。ハードウェアは、徐々に進化しているものの劇的な進化は見られない。
主要なモバイルトレンドを予測するに当たって、近い将来に誕生するであろうデバイスフォームファクターの根本的な変化を推測するのは、ハリウッド映画にヒントを得たものでない限り簡単ではない。アイアンマンのスマートフォンで使われている透過的な立体ホログラムのプロジェクター画面などといったソフトウェアの革新を、モバイル市場と企業が目の当たりにする日は、残念ながらすぐには来ないだろう。実際にマサチューセッツ工科大学が開発に取り組んでいるとはいえ。
あらゆるものがクラウド対応
IT部門は、IT担当者が原点に立ち返る転換期を迎えている。具体的には、ローカルではなく、ネットワークリンクの終端でコンピューティングが用意されるようになっている。かつてはメインフレームベースのコンピューティングとストレージだったものが、Amazon Web Services(AWS)などのクラウドコンピューティングサービスとなり、ダイヤルアップ回線はブロードバンドリンクへと進化しワイヤレス化が進んでいる。その結果として生じたサービスモデルに不都合な点は一切ない。IT部門にとってはコスト削減と管理の簡略化というメリットがある。スケーラビリティは事実上オンデマンドで、可用性、復元性、整合性が向上する。企業が複数のクラウドサービスプロバイダーを使用している場合は、特にそうだろう。それから、セキュリティの侵害を強いられることもない。
また、オフラインという概念もなくなるだろう。ネットワークに接続していないものは、最新情報という点で、蚊帳の外に置かれた状態に等しいからだ。組織とITの基盤の未来は、マネージドサービスプロバイダー、NaaS(Networking as a Service)、アプリに取って代わるクラウドサービスが鍵を握っている。主要なネットワークインフラもクラウドへの移行を継続的に進めている。だが、ソフトウェア定義ネットワークの手法が全面的に採用される状況が増えていることから、分析と関連する自動化はネットワークの運用において欠かせない要素になっている。
この全てのテクノロジーは、モビリティの基本的な可用性、信頼性、コスト効率を高めている。突き詰めると、モビリティは、ITのエンドユーザーの上位集合を現している。モビリティは効果的なモバイル組織を構築して、残りのITは簡略化されている。少なくとも簡略化の道を進んでいることは間違いない。
注目を集めるモバイルセキュリティ
いまだにセキュリティは本当の意味で仕事がなされていないIT分野の1つである。気がめいる話だが、侵入、情報窃盗、重要なデータとシステムの侵害などの機会を最小限に食い止めることについて、IT部門が上手に対応してきたとは言い難いのが実情だ。これは重要なインターネットインフラにも及ぶ。例えば最近では、DNSサービスを提供する企業であるDynを標的にした、IoTデバイスを使った分散型サービス妨害(DDoS)攻撃があった。
よりセキュアなモバイルの未来は、簡単に侵害されてしまうユーザー名とパスワードの代わりに2要素認証を導入して、モバイルデバイスを2つ目の要素として使用することで実現できるだろう。だが、2要素認証を単体で採用しても完全とはいえない。完全なセキュリティは、抽象的な理論であり続けるだろう。だが、適切なセキュリティポリシーを導入して、教育、トレーニング、定期的な補強でセキュリティポリシーを確認することで、IT管理者はモバイルセキュリティの脅威を熟知することができるであろう。また、重要なデータを暗号化して、承認済みのユーザーにアクセスを制限することが肝要だ。
企業でセキュリティと整合性を管理する担当者は、ようやくセキュリティのメッセージを理解するようになったようだ。2017年の主要モバイルトレンドの1つに、よりセキュアな未来への大きな一歩を踏み出すことが含まれるかもしれない。少なくとも、可能な限りセキュアな未来への一歩だ。
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