MADPとBaaSで構築
「iPhone、Androidアプリ」で仕事が4倍速くなった会社は何をしたのか?(1/2 ページ)
モバイルアプリの導入で勤怠関連の業務を効率化した通信会社のTelstra。その開発のいきさつや具体的な効果を紹介する。
オーストラリアの通信会社Telstraでは以前、人事(HR)に関するコールセンターが社員や契約社員から受ける問い合わせが、年間10万件に達していた。電話やメールで寄せられる問い合わせで多いのは、勤務状況を報告するタイムシートに関するもので、いつも上位3位以内に入っていた。
今ではコールセンターに寄せられる問い合わせは減り、タイムシートに関する質問は上位10位にすらほとんど入らなくなった。Telstraが構築した「MyHR」というモバイルアプリのおかげだ。従業員はMyHRによってスマートフォンからタイムシートを提出したり、給与明細を確認したり、休暇を申請したりできるようになった。
TelstraのデジタルイノベーションHR担当マネジャーのメリッサ・ドーリー氏は次のように話す。「従業員のニーズに応えることが重要だ。以前は、HR部門のニーズを満たすための機能を提供していた。これはまさに従業員本位のシステムだ」
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「MADP」「BaaS」とは何か
モバイルが開発をけん引
Telstraでは、タイムシートを登録するHRシステムはSAP製品で運用しており、従業員がアクセスするにはデスクトップコンピュータが必要だった。ところが現場や店舗などで働く従業員の多くは、デスクトップコンピュータを利用できないため、電話やメールでHR部門に連絡するしかなかった。
HR部門は「もっと簡単にHRシステムを利用する方法はないか」という課題に直面していた。「モバイルアプリの活用は必然の結論だった」とドーリー氏は言う。
Telstraは2カ月かけてさまざまなベンダーや製品/サービスを検討。2014年10月に、モバイルアプリ開発に必要な機能をクラウドサービスとして提供するKonyのモバイルアプリ開発プラットフォーム(MADP)とMobile Backend as a Service(BaaS)を導入した。Konyは、米テキサス州オースティンに拠点を置くモバイルアプリ開発支援ベンダーだ。
選定の決め手は、一度開発すれば同じアプリを各種の端末に配布できるところだ。「ネイティブアプリを開発することは選択肢になり得なかった」(同氏)ドーリー氏によるとMyHRは現在、Appleの「iPhone」とGoogleの「Android」搭載スマートフォンから利用可能だ。将来的にはタブレットでも利用できるようにするという。
元公営機関のTelstraにとって2カ月は異例の速さだが、スピードは最重要事項だった。SAP製品の導入を支援したHewlett Packard EnterpriseやAccentureと協力してMyHRの開発を進め、6カ月以内に第1リリースを完成させた。「あまり時間をかけていては出来上がるころには古いものになってしまう。モバイルの動きは速い」(ドーリー氏)
面倒を解消
TelstraはSAP製品との接続を可能にするKonyの「SAP Gateway Connector」を利用することで、TelstraのHRシステム内の特定のデータソースへリアルタイムにアクセス可能なモバイルアプリを開発できた。「面倒なバックエンドは全てKonyが引き受けてくれた」(ドーリー氏)
Konyのエンタープライズエンジニアリング担当副社長、スティーブ・ウェア氏は、リアルタイムのデータアクセスは今回のプロジェクトの成功に不可欠だったと話す。もしそれがなかったら、従業員は提出したタイムシートが承認されたかどうかを確認するために、モバイルアプリはHRシステムをチェックし続けなければならない。その場合、タイムシートの提出が集中する金曜日の午後には、バックエンドへの通信が過剰になり、システムがパンクしてしまう。「それでは非常に効率が悪くなり、待ち時間の苦痛が大きい」(ウェア氏)
Telstraはイベント駆動型のプッシュ通知を実装。タイムシートの承認など特定のイベントがバックエンドで発生したら、その都度、従業員はアプリから自動的に通知を受け取ることができるようにした。その結果、これまで毎週20分かかっていたタイムシートの提出と承認のプロセスを5分未満に短縮し、4倍の高速化を実現できた。
モバイルアプリを開発して導入する利点を知り、MADPに目を向ける企業が今後は増えそうだ。調査会社Gartnerによると、MADPを1種類以上導入した企業は2015年には33%だったが、2020年には75%に増加する見込みだという。Gartnerのベンダー評価レポート「Magic Quadrant」の2016年版によると、IT大手のAdobe Systems、IBM、Microsoft、Salesforce.comと並び、アプリ開発を専門とするKonyがMADPのマーケットリーダーの1社に挙がっている。他にも10社以上のベンダーがMADPを提供している。
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