ターゲットは“未来のユーザー”?
新OS「Windows 10 S」と「Surface Laptop」に賛否両論の訳
Microsoftは「Windows 10」を軽量化した新しいOS「Windows 10 S」と、これを搭載した新しいノートPC「Surface Laptop」を発表した。だが、専門家が示した意見は厳しいものだった。
「Windows 10 S」は一部の分野では受け入れられるかもしれない。だが、性能やアプリケーションサポートを限定したこの新OSには懐疑的な声が上がっている。
Microsoftは2017年5月2日、米国ニューヨークで開催されたイベントにおいてWindows 10 Sを発表した。正式発表前には「Windows 10 Cloud」という名称でうわさされていたものだ。また、Windows 10 Sを搭載した新しいノートPC「Surface Laptop」も同時に発表した。他のベンダー各社もWindows 10 S対応のローエンドハードウェアを発売するという。だが、Windows 10 SがWebアプリに依存し、性能を限定していることについて専門家の意見は厳しい。
「PCの価格を抑えるにはメモリ量やプロセッサ能力を下げるしかない」とモバイルアナリスト会社J. Gold Associates LLCの創業者で社長のジャック・ゴールド氏は話す。「性能の低さは致命的な欠点となる」
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教育機関とPC活用
Windows 10 Sとは
Windows 10 Sでは、Microsoftのアプリストア「Windowsストア」からダウンロードしたアプリしか実行できない。低価格の対応PCのストレージ容量が少なければ、ユーザーはWebアプリに大きく依存することになる。
ITコンサルタント会社Five Nines IT Solutionsのプレジデント兼CEOのダグ・グロスフィールド氏は、Windows 10 Sと対応PCでWebアプリに依存する使い方には問題があると指摘し、アプリのダウンタイムが発生すればユーザーは何もできなくなってしまうと懸念する。
Windows 10を利用しているTri-Counties Regional CenterのCIO、ドミニク・ナムナス氏も「ダウンタイムには何もできなくなってしまう。アプリはローカルにも必要だ」と話す。
それでもローカルアプリをWindowsストアのアプリに限定することにメリットはある。ローカルに置くものが減れば、IT部門はデバイスを管理しやすくなる。
「この種のデバイスに多数のソフトウェアは入れないものだ。理論上、入っていないものは管理の必要がなく、保護すべきものが少なくて済む」とゴールド氏は話す。
WindowsストアにあるアプリはMicrosoftが認定しているのでマルウェアの心配は少ない。
ただし、Windowsストアから入手できない人気アプリケーションも少なくない。例えば「Google Chrome」や「Mozilla Firefox」はWindowsストアにないため、Windows 10 Sで使用することはできない。
Windows 10 Sの対象層
MicrosoftはWindows 10 SとSurface Laptopで教育機関をターゲットとし、Googleの「Chrome OS」と「Chromebook」に対抗する。Moor Insights and Strategyのプレジデント兼主席アナリストのパトリック・ムーアヘッド氏は、その狙いはビジネス市場におけるWindowsの地位の維持にあるとみている。
「学校で使い慣れたOSやアプリケーションは、その後大人になってから仕事でも使おうとするようになる」とムーアヘッド氏は話す。教育機関は低価格でセットアップしやすいPCを求めており、MicrosoftがWindows 10 Sで成功するにはそれに応える必要があるという。
ゴールド氏によると、Windowsインタフェースになじんだ企業にとってもWindows 10 S搭載の低価格PCは選択肢になるという。Windows 10 Sが出るまではChromebookを選んでいたような企業に適合しそうだ。
臨時従業員やコールセンタースタッフなど、高機能アプリを必要としない従業員のいる企業も関心を示すかもしれない。だが、そうでない限り、最初のバージョンが出たばかりのこの時点でWindows 10 SのPCを導入するのは考えものだという。
ナムナス氏も「信頼できる同価格帯デバイスと比べた場合、まだ実力の分からない“Microsoft版Chromebook”を選ぶ気にはなれない」という。
なお、Windows 10 S搭載PCはWindowsストアから「Windows 10 Pro」に切り替えることが可能だ。
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