患者の安全が第一
医療分野におけるAI技術活用、まずガバナンスを固めよう
AIは医療サービス提供者にとって恩恵になり得るが、米国医師会(AMA)のような団体は、患者の個人情報とプライバシーを保護するためのポリシーの策定を推奨している。
医療分野におけるAI技術の活用は、医療サービス提供者が治療効果を改善し、病気と闘い治癒するための進歩を遂げる大きな可能性を示している。膨大なデータを迅速に処理し、高度なアルゴリズムに基づいて数秒で有意義な洞察を提供するAIは、医師を支援するのに最適なツールだ。しかし、腫瘍学のような分野や公衆衛生分析でAIが大きな反響を呼んでいるにもかかわらず、ポリシー策定者は、患者のプライバシーと安全性に関する懸念があるため、ガバナンスなしではAIの導入を進めたくないと考えている。
米国医師会(AMA)は、患者の安全に関する懸念に取り組むために、医療分野のAI技術に関する基本方針を策定する必要性を認めている団体の1つだ。AMAが発表したリリースでは、拡張知能の活用に関する基本方針の提言を詳述している。その提言では、医療分野におけるAIの設計や使用、導入に関する懸念を浮き彫りにする一方で、AIが薬剤に与える恩恵を詳述している。
下記は、医療分野でのAI技術の活用に関してのAMA提言の一部である。
- AIが最大の恩恵をもたらす重要な優先分野を定義すること
- 医療分野におけるAIの設計と実装の一環として医師の見解を反映すること
- AIの設計と導入に関して、患者の安全対策とプライバシーを確保すること
- AIが提供することに対する理解の促進及び患者に対するAI技術の限界について教育すること、そして
- 安全性、有効性、管理に関連して医療AIがもたらすあらゆる法的な意味合いを見極めること
ここ数カ月間で、医療分野におけるAI技術の活用に関する懸念を提起した組織は、AMAが最初ではない。『New England Journal of Medicine』は2018年5月、医療分野におけるAI技術の活用に関連する倫理的課題について、スタンフォード大学の研究者たちが懸念を浮き彫りにした記事を掲載した。
今日、医師が患者の治療のために検討するほとんどのAIツールは、患者の診療記録へのアクセスを必要とし、その記録は病院内の異なるシステムに保存されている。AIはアクセスする情報を処理し、ひとたび特定のアルゴリズムが適用されると、その結果を、推奨する治療計画、予測診断、客観的な洞察の形として提供する。ほとんどのAIツールは病院のシステム内でホストされているため、AIは患者の診療記録へのアクセス許可が最初から与えられている。しかしながら、患者のプライバシーは重要な問題であり、医療分野におけるAI技術が、セキュリティおよびデータプライバシーに関して、より高いリスク要因を抱えていることは認めなければならない。
AMAの提言では、医師や患者が医療関連のAI技術に関する基本方針として含めてもらいたい内容の大半を取り上げている。とりわけ、セキュリティとプライバシーの2つは、AIベンダーが取り組む必要のある最も差し迫った分野となるであろう。プライバシーに関する懸念に寄与する要因の中には、AIに提供するデータと能力に直接関係しているものもある。下記がこれらの要因だ。
- AIベンダー独自のデータセンターで処理するために、病院ファイアウォールの外側に患者の個人情報を移動すること
- 膨大な量の医療データを集中管理した結果、データ侵害のリスクが増大すること
- 患者の診療記録にアクセスするより多くのシステムの導入により、攻撃の対象が増えること、そして
- 生活習慣や行動を病気やウェルネスに結び付けるために、ソーシャルメディアやその他、患者が作成した情報などの臨床とは関係のない情報を混在させること
AIの技術革新は、医療分野における次の大きな目玉となりつつある。AI技術の医療分野への採用はこれまでのところ、Mayo Clinicなどの医療サービスプロバイダーに限られているが、Google、Apple、IBMのような企業での先行採用の結果が、この分野への投資を促進している。ハイテク企業の医療分野への投資規模にかかわらず、適切な基本方針と基準を策定することは、患者の治療はもちろん、データ保護およびプライバシーに関する説明責任、安全性、そしてセキュリティの確保に役立つことになる。
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