ガートナーが重視する3つの戦略的要素も紹介
人工知能(AI)の勝ち組企業が重視する「CoE」とは?(1/2 ページ)
企業が自社にとって合理的なAI戦略を把握する一つの方法は、AI技術に関する「センターオブエクセレンス」(CoE)を組織することだ。
人工知能(AI)技術は、企業のビジネスの在り方を変える手段として、大々的に宣伝されている。現状のAI技術に大きな将来性があることは間違いないが、実績のある戦略は乏しい。
デジタルトランスフォーメーション(DX:ITによるビジネス変革)と同様、企業向けのAI戦略を確立する取り組みは新しく、参考になる戦略がほとんどない。あったとしても、現在進行形で普及しているこの技術に、最高情報責任者(CIO)が取り組む必要があることに変わりはない。AI技術の進化に合わせて、投資と実行計画を自社向けに調整する必要がある。
AI技術を早期導入した企業は、新しい技術資産を構築するために、AI技術に特化した専門集団(CoE:センターオブエクセレンス)を作るなどの取り組みを進めている。AI技術のCoEを設立することで、企業はAI技術のビジョンとアプローチを具体化しやすくなる。
CoEの具体的な事例
データセンター事業者EquinixでグローバルCIOを務めるミリンド・ウェイグル氏は、企業向けAI戦略の事例作りに着手したところだ。ウェイグル氏は市場を監視し、潜在的なユースケースを明らかにするために、自身のチームからメンバーを選出した。同氏のチームは、AI投資の価値を徹底的に調べるためのプロジェクトも幾つか率いている。
プロジェクトの一つが、同社のイントラネットに組み込んだ社内チャットbotだ。従業員のトレーニングや経費報告書の提出、新しい備品の注文などの作業を支援する。Equinixは、このチャットbotを「Eva」と呼んでいる。Evaは会話型インタフェースを備え「従業員は、非常に充実した文脈で、膨大な質問への回答を得られるようになる」とウェイグル氏は語る。
こうした取り組みは、まだ新しい。ウェイグル氏はAI技術が向かう先を楽観的に考えている一方、企業向けの用途がまだ成熟していないことにも気付いている。今の同氏は、その下地作りに忙しい。
AI技術が成熟し、より強力なけん引力を有するようになれば、それに伴ってAI技術を支えるリソース提供やガバナンスに関して投資をすることになるとウェイゲル氏は指摘。AI技術を中心としたチーム作りもするという。「普通に立ち上げる他のIT機能と変わらない。けん引力を得たら、育て、強化し、サポートすることが欠かせない。その過程で投資や努力が必要になる」(同氏)
技術とビジネスのバランスを取る
ウェイグル氏はこのチームをAI技術のCoEとは呼んでいないが、そう呼ぶことも可能だろう。CoEは、企業にしっくりと溶け込んでいない新しい技術、スキル、専門分野に対処するために設立されることが少なくない。その狙いはガバナンスの提供と、取り組みの優先順位付けにある。落とし穴は、ユースケースではなく技術を重視しがちになることだ。
調査会社Gartnerでアナリストを務めるバーン・エリオット氏は、次のように話す。「ほとんどの企業にとって、ビジネスの観点から始めることが非常に重要になる。AI技術のCoEは、AI技術とビジネスニーズのバランスを取りながら、技術的ニーズに対処可能にする一つの方法だ」
輝かしい新技術への取り組みと、企業が本当に必要とする技術への取り組みとの間でバランスを取ることは、細心の注意を要する。AI技術では特にそうだ。技術の進歩は、現在の具体的なビジネスの問題よりも、将来性を重視するように企業を後押しする。エリオット氏に言わせれば、それが大きな間違いだという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
市場調査・トレンド
データ侵害の被害は平均440万米ドル、Linux環境のリスクはどう軽減する? -
製品資料
ハイブリッドクラウド環境の管理を単純化するために知りたい「4つの方法」 -
市場調査・トレンド
「OSの選択」が戦略的な課題に? 次世代のLinux基盤に求められる機能や要件 -
製品資料
SaaS企業のカスタマーサクセス、少人数で成果を上げる運用体制をどう作る? -
製品資料
カスタマーサポートの投資効果が見えない? 実態把握から始める改善方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
4
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
5
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
6
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
7
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
8
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
9
メインフレームは死なず AI活用で20年来の高収益をたたき出す基幹システムの底力
-
10
AI完全自律化はわずか9% 日本は「進化に追い付けない経営陣」が足かせに
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
属人化や仕様バグはなぜ起きる? AI時代に必須のドキュメント文化の作り方
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
4
5分で分かる「AI駆動開発エージェント」 要件定義から設計・実装・テストまで
-
5
コスト分析で見る「デバイス復旧」の代償 損失額から導きだされた投資戦略とは
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
8
オープンウェイトLLMの推論最適化事例:ローカル環境で応答速度を約15分の1へ
-
9
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
10
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー