IT変革力【第42回】

「バイアコム VS YouTube」裁判――Web2.0下での著作権の新しい見方、古い見方の対立

米国メディア大手のバイアコムが損害賠償の支払いを求め、グーグルとYouTubeを訴えた裁判が米国で注目されています。その件を中心に、今後のマスコミのビジネスモデルを考察すると、マスコミが大きな変革を迫られる時代が到来していることが分かってきます。

 米国で、現在最も注目されているのは、パラマウント映画や音楽専門番組MTVなどを傘下に持つ米国メディア大手のバイアコムが、10億ドル以上の損害賠償の支払いを求め、新興のネット企業、グーグルとYouTubeを訴えている「著作権裁判」でしょう。

 さて、プロの作曲家が書き上げて企業組織が販売する楽曲は、工業製品と考えられます。プロが作りテレビ局や映画会社が放映するドラマや映画も、プロの記者が書き新聞社が販売する記事も、生み出された工業製品と言えます。

 これまで、多くのYouTube参加者が工業製品である楽曲やドラマ、ニュースや映画のクリップをYouTubeに投稿してきました。それをバイアコムが著作権違反と訴えたわけです。20世紀の出来事として眺めれば、常識的に「著作権裁判」で当然バイアコムに軍配が上がり、YouTubeへの投稿者たちは著作権に違反したとなり、グーグル・YouTube連合は、著作権違反の手助けを行ったという判決が出るだろうと考えられます。

20世紀から大きく変化したIT環境

 20世紀末に、グーグル・YouTube連合と同じような問題で物議を醸したのは、ノースイースタン大学の学生だったショーン・ファニング氏が立ち上げた、楽曲共有を目的とする「Napster」でした。消費者は、ピア・トゥー・ピアというIT技術を活用してNapsterで好きな楽曲を自由に交換することができました。

 しかし、Napsterは当時の音楽業界から裁判所に著作権違反で訴えられ、ついに閉鎖に追い込まれてしまいました。当時の状況下では、誰もNapsterの味方をせず、圧倒的な多数が「IT技術は怖い、著作権違反を醸成する技術だ」という反応で、その結果、Napsterはいろいろな避難を受け、寂しく消えていきました。

 この視点と同じ発想で考えると、常識的にみればバイアコムとグーグル・YouTube連合の裁判は、バイアコムが圧倒的に有利ということになります。しかし、ブロードバンド環境や無線環境が普及し、IT環境も当時とはガラッと変わりました。

新しい著作権の見方

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