Web2.0大統領選挙が始まった!IT変革力【第39回】

2008年米国大統領選挙の立候補者たちは、SNSでファンコミュニティーを作ったり、ブログサイトに広告を出稿したりと、さまざまな手法で有権者の注目を集めています。さながら「Web2.0大統領選挙」といったところでしょうか。候補者それぞれのWeb2.0活用を見ながら、それが今後の企業のWeb活用戦略にどのような影響を与えるのかを考えてみましょう。

2007年02月28日 00時00分 公開
[TechTarget]

 2008年の米国大統領選挙が近づいてきました。米国では既に選挙戦が始まっています。前回の2004年の大領領選挙では、民主党候補のディーン候補やケリー候補がブログを駆使したり、Meetup.comという原始的なSNSを駆使して選挙戦に臨みました。その結果、ブログは米国社会で公認された情報発信手段として見なされるようになり、ブロガーがホワイトハウスで記者章を発行されるなど、大きな変化がありました。さながら「ブログ大統領選挙」だった訳ですね。米国企業によるブログの活用は、2004年の大領領選挙の影響を受けて「デモンストレーション効果」が働き、大いに前進したと言われています。

 さて、筆者が2008年の大統領選挙に注目する理由は、この選挙がビジネス界におけるWeb2.0活用戦略にいかなる影響を与えるのか、興味があるためです。とりわけ米国では2009年2月の地上波テレビ放送の完全デジタル化が控えています。当然、米国大統領選挙は北京オリンピックと並んでその前哨戦とでも言うべきメディアの一大イベントであり、米国の経済界のみならず、世界中の企業のWeb2.0活用戦略に大きな影響があると考えられます。

 2008年の米国大統領選挙も、やはり民主党のオバマ候補や女性のクリントン候補、前回活躍したエドワーズ候補がソーシャルメディアを活用して、ICT技術の活用に関する限りにおいて選挙戦をリードしているようです。インターネットなどのICT技術の活用に関しては、前クリントン政権の時代に副大統領だったゴア氏が「情報スーパーハイウェイ構想」を推し進めた経緯があり、民主党のお家芸といったところでしょうか。

いろいろな政治コラム関係のブログへの広告出稿とGoogle検索への期待

 まず共和党、民主党に限らず各党候補者は、いろいろな政治コラムや政治評論を行うブログサイトに広告を打っています。多くの場合、政治コラムの横に候補者の広告があり、それらの広告をクリックすると、候補者のサイトに誘導されます。例えば、元ニューヨーク市長であり、アラブ過激派の9.11事件への優れた対応で有名な共和党のジュリアーニ候補の名前をGoogleで検索すれば、記事内容と同時にジュリアーニ候補の広告が表示されます。面白いのはその時、ジュリアーニ候補の広告だけでなく、ライバルであるロムニー候補やマケイン候補の広告も表示される点でしょう。3人ともGoogleに広告出稿をしている訳ですね。

 また、政治コラムを書くブログサイトに広告を出稿したからといって、ブロガーたちから好意的な記事を書いてもらうことは期待できないようです。例えば、マケイン候補の広告が出ている左側には公然と彼を批判した政治コラムが掲載されている、といった具合です。

 これはブロガーの側から見れば「やらせ批判」というリスクを避ける意味合いもあるようですが、このあたりの割り切り方は本当にビジネスライクです。

 また、多くの候補はブログで記事を書く専門家を多数採用して、記事を書いてもらっています。

 ただし、政治コラムの読者は、米国では35歳から54歳の男性、年収が1万ドル以上の層が大半を占めるため、若者や女性対策として各候補は知恵を絞る必要がありそうです。

 そこで、Web2.0のソーシャルメディアの深い活用が注目されています。

若者や女性を狙う民主党のWeb2.0大統領選挙のすごさ

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