タブレットはノートPCを補完する存在となるか?
iPad、BlackBerry、iPhoneの徹底管理で実現するモバイル戦略
iPhoneやiPadの登場で、組織は新たなモバイル管理戦略を立案し、新たなセキュリティ問題とサポートモデルについても考慮しなければならなくなった。
今から10年前、BlackBerryはモバイルムーブメントを生み出した。われわれがノートPCへの依存を強める中でこの熱が高まり、iPhoneとiPadの登場で中毒症状は新たな段階に達した。これらの端末がモバイルへの欲求をこれほどかき立てるとは10年前には想像さえしなかった。この大きな需要に伴い、モバイル管理における新たなチャンスと課題が浮上した。自分の端末の利用を促す「Bring Your Own Device」(BYOD)戦略に加え、組織は新たなモバイル労働力管理戦略を立案し、モバイル端末を脅かす新たなセキュリティ問題とサポートモデルについても考慮しなければならなくなった。
携帯型、常時接続型のタブレット端末は定着する。疑わしいと思うのなら、iPadの大成功と、しのぎを削っている競合各社のことを考えてみるといい。信じようと信じまいと、これはBYODフレンドリーなビジネスに恩恵をもたらし得る。多くの企業が近いうちにノートPCの支給をやめてしまうとは思えないが、一部ではタブレットが補完的な端末として使われている。ウェストミンスター大学では、学長がiPad熱に取りつかれた。ノートPCもまだ持っていて会議に持って来ることもあるが、大抵はiPadのみを持って出張し、以前よりも生産的になっている。iPadは適切な管理が行き届いているので、電子メールのやりとり、ちょっとした文書やプレゼン資料の編集、市況チェック、寄付してくれそうな相手への情報提供など、「外出中」のニーズを満たすことができる。
それでも、学長のニーズはiPadでできることのほんの表面をなぞっているにすぎない。ベンダーのアプリケーションストアからは、何千というビジネスアプリを入手できる。さらに、適切なインフラがあれば、アプリケーションは簡単にデスクトップPCから切り離せる。ノートPCによって切り離しは何年も前から可能になっていたが、新世代のモバイル端末、特に3Gネットワークに常時接続できる端末により、まったく新しいレベルに到達した。
具体例を幾つか挙げよう。
- 医師が仕事のためにノートPCや従来型のコンバーチブルタブレット端末を持ち歩く姿は痛々しい。医療用IT専用のスリムなユーザーインタフェースを備えた現代のタブレットなら、こうした機関にとってメリットは大きいだろう。常時接続型のマシンであれば、医師は常に最新情報を利用できる
- サーバやネットワークの管理者は、リモート監視装置を持ち歩いてネットワークに接続し、問題に対処できる。ノートPCは不要だ
- 学生は、昔のコンピュータ室にいるのと同様にリソースを使い、大学がライセンスを持つアプリケーションを利用できるようになった
新しいモバイルで実現できるメリットを全てリストアップするのは不可能だ。「いつでも、どこでも、どんな端末でも」使えるコンピューティングが定着し、可能性は無限にあるといえば十分だろう。大きな夢を持ち、それを実現させたい。
iPad、BlackBerry、iPhoneの端末管理
モバイル端末はさまざまな形でビジネスチャンスの活用に利用できるが、iPad、BlackBerry、iPhoneを既存の業務に取り入れるためには戦略が要る。モバイル端末が、すぐにも分厚いノートPCやデスクトップPCの代替になるわけではない。しかも、人気の高いiPad、BlackBerry、iPhoneなどの端末で主要なビジネスアプリケーションは実行できない。ここに、主要なレガシーアプリケーションを維持しながら組織として新たな選択肢を活用できるようにするためのモバイル端末管理プロセスの必要性が生じる。
Microsoft ExchangeやSharePointといった主要ビジネスシステムに接続できるモバイル端末も既に多数ある。しかしベンダーがレガシーアプリケーションの「アプリバージョン」をつくる措置を取らない限り、依然として障壁は残る。この溝を埋めることができる技術として浮上しているのが仮想デスクトップインフラ(VDI)だ。もちろん、Terminal Servicesなどの技術でもこの問題に対応できるが、VDIには他にもメリットがあり、モバイル端末に利用する場合には最も適している。
VDIを適切なローカルアプリと組み合わせれば、モバイル端末はあらゆるエンタープライズ業務用アプリケーション全てに接続できるスリムで粋なビジネスマシンに変わる。これは柔軟性を発揮する。ユーザーはモバイルのメリットを活用でき、オフィスからも締め出されずに済む。iPhoneのように画面が小さな端末でもこうした利用は可能だ。例えばVMwareはiPad版のViewアプリを開発し、WyseはiPadとiPhoneの両方に対応したリモートデスクトッププロトコルクライアントを投入した。
大規模なモバイル戦略を実行に移す前に、自社が提供しているサービス全般について検討し、どの分野に手を加えれば自社のモバイル戦略に最もうまく取り込めるかを見極めた方がいい。必ずしも全体から切り離す必要はない、置き去りになるものがあってはいけない。
モバイル端末セキュリティへの道
「新しいモバイル」戦略が整ったとしても、難しいのは監視だ。既存のプロセスと手順の上に、モバイルでは新たな課題と新たなレベルの複雑さが加わる。会社のネットワークは突然、あらゆる場所にあるあらゆる端末から24時間アクセスされるようになる。モバイル端末はまた、予期せぬセキュリティ上、サポート上の課題を突き付けることもある。単純に言って、新たなモバイルは素晴らしいチャンスももたらすが、アプリケーションがファイアウォールの囲いの外に出ればセキュリティ上の課題が生じる。以下にその課題を挙げる。
端末の盗難、紛失に備える
ノートPCは盗みの標的になりやすい。そこで暗号化の利用が始まり、LoJackなどのサービスが繁盛した。新しいモバイル端末も同じくらい真剣な取扱いが必要だ。しっかりしたモバイル端末セキュリティポリシーでは、端末のロックアウトポリシーを徹底し、紛失したり盗まれたりした場合は遠隔操作で消去できるようにする。さらに重要なのは、全端末は私物も含め、必要があればデータを消去すると定めた条項をモバイルポリシーに盛り込んでおくことだ。
常に最新の状態を保つ
新たなモバイルの筆頭となる課題は、ソフトウェアを常に最新の状態に保つことだ。これは端末が会社のものでさえないという事実に阻まれて困難が予想される。BYODポリシーの一環として、ソフトウェアアップデートの着実な適用をユーザーに促したい。
サポートプロセスの修正
ヘルプデスクは最初は従業員の私物端末をサポートすることに抵抗するだろう。従って、BYODポリシー作成の際にこれを盛り込んでおくといい。BYODを認めない場合でも、それぞれ違うキャリアに属し、個々に違うOSを搭載したさまざまなモバイル端末のサポートに、自社のサポートプロセスが確実に対応できるようにしておかなければならない。
新たなモバイルは未来の姿だと言って差し支えないだろう。組織は大きな考え方を持ち、うまく行動し、この新興分野に目を配る必要がある。少し先を見越した計画があれば、自社環境のセキュリティを確保し、大手を広げてモバイル管理を取り入れることができるだろう。
本稿筆者のスコット・ロウ氏は、ePlus Technologyの上級エンジニア。幅広い経験を積んでおり、SAN、サーバ仮想化、ディレクトリサービス、相互運用性などのエンタープライズ技術を専門としている。
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