Android、iPhoneに求められるセキュリティ
タブレット端末が企業にもたらす課題とチャンス(前編)
セキュリティと管理上の観点から言えば、iPadのような新世代のタブレットはPCとは異なる扱いが必要だ。
AppleのiPadのようなタブレットコンピュータは、セキュリティソリューションプロバイダーにとって味方なのか敵なのか。iPadの後を追って、あらゆるメーカーが薄型のマルチタッチタブレット(別名スレート)を発表しているようだ。職場におけるタブレットは新しいものではないが、この完全な新世代端末は、新たなセキュリティ上の課題とチャンスをもたらしている。
セキュリティと管理上の観点から言えば、こうした新型のタブレットはスマートフォンのような扱いが必要だ。タブレット人気に乗りたいソリューションプロバイダーは、人気のスマートフォンOSとそのセキュリティアーキテクチャ、ネイティブセキュリティ機能、それに伴うビジネスリスクについて知っておく必要がある。
垂直市場からネットブックを締め出す電子書籍リーダーとタブレット
外回り、医療従事者、飲食店従業員など現場で働く業種では以前からタブレットPCを使ってきた。そのほとんどはWindows XP Tablet PC Editionなどのデスクトップ向けOSを搭載し、耐久性を高めたタッチスクリーン式の端末だった。こうした旧式のタブレットは管理もセキュリティ対策もほかのノートPCとほとんど同じようにできたが、エンタープライズ人気に火が付くことはなかった。限られた業種での利用には理想的だが、あまりにやぼったく、起動が遅く、ふだん使いのコンピュータとしてはバッテリーに難があり過ぎた。
そこで企業は別のフォームファクターの外回り用コンピュータに傾倒するようになった。それがNetbookだ。米調査会社DisplaySearchの調査によると、2010年1~3月期にはNetbookとミニノートが世界のPC販売の18%以上を占めるまでになった。しかし2つの新しいフォームファクターがこのトレンドを打ち破る。
電子書籍リーダー
2009年4~6月期にAmazonなどのベンダーが電子書籍リーダーを投入した。これは高コントラストの電子インクを使った特定用途向けのタブレットで、電子書籍やPDF、Webのテキストを表示できる。2010年1~3月期までに電子書籍リーダーの出荷は前年比で241%増加し、2010年7~9月期までに580万台に達すると米調査会社DisplaySearchは予想している。
タブレット(スレート)
2010年1月、Appleは人気スマートフォン「iPhone 3GS」と同じOSおよびアプリを搭載した超薄型のマルチタッチ式タブレット「iPad」を発表した。Appleによれば、その後の半年でiPadの販売は300万台を突破、Netbookとミニノート市場の6.5%を占めるまでになった。
より小型になった第2世代の電子書籍リーダーも浮上し、iPadのような「スレート」がSamsung、東芝、ViewSonic、ARCHOS、Hewlett-Packard(HP)、Research In Motion(RIM)、Verizon、Cisco Systemsの各社から発表されている。これほど注目のタブレット市場をソリューションプロバイダーが見過ごす手はない。しかもセキュリティ上の違いは大きく、従来のような旧式の製品やサービスでは対応できないのだ。
モバイルの要素を取り入れたタブレットのセキュリティ
タブレットの成功は、データを必要に応じて出先で利用できる機能に懸かっている。タブレットは電子インク、マルチタッチ、7~9インチの高精細指紋耐性ディスプレーを備えてより読みやすく、使いやすくなり、3Gと無線LAN機能の内蔵でデータアクセスに対応した。オンラインアプリケーションストアのApp StoreやAndroid Marketは新たなソフトウェアのエコシステムをつくり出し、情報利用が大幅に容易になった。
しかしこうした機能の実現は、タブレットが単純なPCから、モバイルデータ利用に特化した専用の端末へと変化したことを意味する。言い換えれば、現在最も人気が高いタブレットは従来のようなノートPC向けのOSを搭載していない。搭載しているのは独自のセキュリティモデルを持ち、異なるエンドポイントセキュリティプログラムとバックオフィスサーバ、ポリシーを必要とするモバイルOSだ。
iPad
iPadはAppleのスマートフォンOSであるiOS 4を搭載している。AppleはiPadにインストールできるソフトウェアを厳格に管理しており、App Storeでダウンロード提供するためにはエンタープライズアプリケーションでさえも許可が必要だ。iOS 4では企業がプロファイルファイルを作成してエンドユーザーにインストールさせることにより、セキュリティポリシーを設定できる。さらに、Appleの通知サービスとSybase iAnywhereやAirWatchなどサードパーティーのモバイル端末管理製品を使って、iPadに無線でプロファイルをプッシュ配信できる。さらに、iPadを遠隔から監視し、見つけ出して情報を消去することも、iPadにインストールできるアプリをコントロールすることも可能だ。
Android搭載タブレット
Samsungの「Galaxy Tab」、Ciscoの「Cius」、ViewSonicの「ViewPad 7」、そして多くの電子書籍リーダーは、オープンソースのスマートフォンOS「Android 2.2」を搭載している。AndroidはiOSとは対照的に、公開のSDKを使って開発されたサードパーティーのソフトウェアを奨励する設計になっており、Android Market経由で配布するオプションもある。企業は簡単に自社専用のAndroidアプリを開発できるが、Androidのネイティブセキュリティ機能と管理機能は限定的だ。例えば端末レベルの暗号化機能はなく、遠隔操作機能はActiveSyncのコマンドを使ったリモートからの情報消去のようなベーシックなものしかない。
BlackBerry Tablet
RIMのPlayBookは新設計のBlackBerry Tablet OSを搭載する。詳細はまだ公表されて いないが、PlayBookはRIMのBlackBerry Enterprise Server(BES)に対応するとRIMは明言している。その場合、ネイティブ端末レベルの暗号化と通信の暗号化を含め、PlayBookもBlackBerry携帯と同様の一元管理とセキュリティ対策が可能になる。ただし、初代のPlayBooksは3Gをネイティブサポートしていないため、インターネット接続には無線LANまたはBluetooth対応のスマートフォンが必要になる。サードパーティーアプリはBESかBlackBerryのApp Worldからインストールする。
後編では、タブレット端末に求められるセキュリティ機能を整理して紹介する。
本稿筆者のリサ・ファイファー氏はCore Competenceの副社長。25年以上にわたってネットワーク、セキュリティ、管理製品の設計、導入、評価に携わり、大小の企業を対象に、セキュリティの必要性、製品評価、新興技術の利用、ベストプラクティスについて助言してきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法 -
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
4
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
-
5
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
6
機械学習について、正しく説明している文章はどれ?
-
7
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
8
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
9
動くコード=安全ではない AIコーディング爆速化でセキュリティ崩壊を防ぐ鉄則5選
-
10
マンガで解説:KSK2稼働で何が変わる? 税務調査の高度化に備えるデータ管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー