エンタープライズディスクストレージ製品紹介:デル
データ管理を自動最適化するストレージ「Dell Compellent」
ストレージにおけるデータ階層化が注目を集めている。その背景には、近年多くの企業が抱えるデータ管理の課題がある。そうした課題を解決するストレージとして、デルが2011年に提供開始した製品を紹介する。
デルのストレージ製品といえば、少し前まではEqualLogicを中心とした小・中規模向けのiSCSI製品をイメージする読者も多かっただろう。しかし2010年、同社は大規模向けハイエンドストレージ製品の強化へとかじを切った。
米Dellは2010年2月にクラスタファイルシステム技術を持つExanetを、同年7月にはデータ圧縮と重複排除の分野で技術を持つOcarina Networksを買収し、製品ポートフォリオを着々と強化してきた。こうした買収戦略のハイライトともいえるのが、2010年12月のCompellent Technologies(以下、Compellent)の買収だ(関連記事:「RAID後」の世界──ワイドストライピング/イレージャーコーディング)。
Compellentはデータ自動階層化技術の開発にいち早く取り組み、米国を中心に3000社以上の導入実績を持つストレージベンダーだ。Dellによる買収後、Compellentの製品は「Dell Compellent」シリーズとして提供されている。日本市場でも2011年6月にエンタープライズ向けストレージシステム「Dell Compellent Storage Center SAN」が提供開始された。
データ管理の効率化を高次元で自動化するストレージ
Dell Compellentの特徴の1つは、データの自動階層化技術である(関連記事:情報ライフサイクル管理(ILM)を支える階層型ストレージ)。データの階層化は以前から提唱されており、既に多くのハイエンド向け製品で対応機能が実装されている。
しかし、デルのストレージソリューションマーケティング部 エバンジェリスト 河南 敏氏によると「他社に先駆けてこの分野に取り組んできたCompellentでは、データ階層化の機能をストレージ仮想化やシンプロビジョニングの技術と組み合わせることで、非常に高度な自動化が実現されている」という。
また河南氏は「階層化ソリューションが注目を集める背景には、近年多くの企業が抱えるデータ管理の課題がある」と説明する。同氏によると「大量の非構造化データをいかにして保存・管理するかが、多くの企業における関心事だった。しかし、データの増加に合わせて単にストレージ容量を増やすだけでは、ハードウェアコストや管理コストがかさむ。そこで、データの質や価値、量に合わせてストレージに対する投資を最適化したいと望む企業が増えてきた」と説明する。
ユーザーの手をなるべく煩わせることなく、自動的にデータ階層化を行う。これは、デルが現在提唱している「Fluid Data」にも合致すると河南氏は述べる。Fluid Dataとは「データを水が流れるように流動的に最適な場所へ動的に移動させ、自動的に管理する」というコンセプトだ。
Dell Compellentの自動階層化機能では、ストレージ装置がデータ管理の効率化とストレージ容量自体の最適化を自動的に行う。そのため、ディスクドライブ数を削減でき、ハードウェアに対する投資を節約、さらに運用コストの削減や消費電力の抑制などにも貢献できるという。
さまざまな独自技術が盛り込まれた自動階層化機能
Dell Compellentが提供する自動階層化機能とは、具体的にはどのようなものなのだろうか? そのベースとなるのが、Dell Compellent独自の「ストレージ仮想化技術」だ(参考記事:ストレージを仮想化する仕組みとメリットを知る)。
Dell Compellentではサーバと物理ディスクの間に「ページプール」という仮想化レイヤーを設け、サーバに対して物理ディスクの存在を完全に隠蔽する。そのため、サーバは物理ディスクを全く意識することなく、ページ単位でデータ領域を利用できる。ページ当たりのデータサイズはデフォルトでは2Mバイトだが、最小512Kバイトの細かい単位で制御可能だ。
ページプールと物理ディスクとの間のマッピングは、Dell Compellentが全て自動で行う。自動化にはさまざまな独自技術が利用されている。その中でも特徴的な4つの技術を紹介しよう。
Dynamic Block Architecture
Dynamic Block Architectureは、サーバからストレージに対してデータが書き込まれる際、Dell Compellentがデータを分割してディスクドライブに分散して配置する技術だ。ディスクの利用効率を自動的に最適化し、特定のディスクドライブに対するRAID構成を行う必要がなく、運用管理効率の大幅な向上が期待できる。
Dynamic Capacity
Dynamic Capacityは、一般に「シンプロビジョニング」と呼ばれる機能に相当する。河南氏によると「Dell Compellentのシンプロビジョニングは他製品とは異なる位置付けになっている」という(関連記事:ストレージの無駄を省くシンプロビジョニング)。
Dell Compellentのデータ管理はシンプロビジョニング方式のみで、あらかじめディスク領域を予約して割り当てる作業が不要である。また、データを削除しても既に予約されたディスク領域が解放されない他社のストレージ製品もあるが、Dell Compellentでは自動的にディスク領域が解放され、他のサーバからの書き込みに再利用できる。
Data Progression
Data Progressionは、データ階層化のメインとなる技術。データの階層化機能はさまざまなベンダーの製品で実装されているが、Dell Compellentではエンクロージャ単位ではなく、その中に搭載される個々のディスクドライブ単位でデータを移行できるなど階層化の粒度が細かい。そのため、SSD(ソリッドステートドライブ)やFC、SASといったディスクの種別だけでなく、RAIDの種別ごとにデータの利用頻度や価値に応じたデータ配置が可能だ。
Fast Track
Fast Trackは同一ディスクドライブに書き込まれている各データブロックの利用頻度をDell Compellentが自動的に判別し、より利用頻度が高いデータブロックをディスクの外縁部に自動的に移行する。これにより、ディスクの回転遅延時間やヘッドのシークタイムを短縮し、スループットの最適化を図っている。
データ保護やDRソリューションにも有用な自動階層化
またDell Compellentは、バックアップやレプリケーションなどのデータ保護ソリューションを提供する。例えば、遠隔サイトにスナップショットで定期バックアップを取る場合、通常はスナップショットデータ用のディスク領域をあらかじめ確保し、その利用状況を監視する必要がある。しかしDell Compellentではスナップショット領域が必要になった時点で必要な分のディスク領域が自動的に割り当てられるため、運用を簡素化する。
さらにレプリケーション機能にも独自の技術が盛り込まれている。転送データを細かいブロックに分け、前回転送時から変更があったブロックのみを転送する。これにより、帯域を無駄に消費することなく効率的なレプリケーションを可能にする。
Dell Compellentは、災害発生時のディザスタリカバリ(DR)サイトへの運用切り替えを事前にテストする機能も備えている。「先日の東日本大震災の際、いざDRを発動させようとしたところ、DRサイトへの切り替えがうまくいかなかったり、手間取ってしまった企業が多かったと聞く。DR対策は防災訓練と同じで、事前にシミュレーションを実施し、その手順を確認しておくことが重要」(河南氏)
Dell Compellentでは管理ツール上でDRのシミュレーションを実行できる。その際、本番サイトを停止させる必要はない。そのため、本番サイトの運用に影響を及ぼすことはない。
サーバ仮想化技術との高い親和性と連携実績
既にワールドワイドで導入実績があるDell Compellentだが、その多くがVMwareをはじめとしたサーバ仮想化環境への導入だという。その理由について「Compellentは長くVMwareと密接に協業しながら製品開発に取り組んできたため、サーバ仮想化技術との親和性が極めて高い。こうした点が、サーバ仮想化環境における導入実績の多さにつながっている」と説明する。
また、DRの機能を評価して同製品の導入を決めた企業も少なくないという。例えば、油田事業者に天候情報を提供する米国のプロバイダー事業者Tidewaterもユーザー企業の1社だ。同社は2005年8月に米国南東部を襲ったハリケーン「カトリーナ」の際、迅速にDRサイトにシステムを切り替え、滞りなく事業を継続できたという。
河南氏は「サーバ仮想化を導入した多くの企業で、サーバリソースを集約することによるコストや管理上のメリットが認識されるようになった。その次は、自ずとストレージの仮想化でさらなる運用の効率化を目指すことになる」と語り、Dell Compellentシリーズがそのニーズに合致するストレージだとしている。
実際に購入する際には、コントローラーとエンクロージャの組み合わせを自由に選んでシステムを構成することになる。価格はその構成内容により異なるが、デルでは自動階層化を行わない(ディスク種別が1種類のみ)最小構成時(容量2.8Tバイト、コントローラー2台)で400万円からという参考価格を提示している。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| コントローラー数(1システム当たり) | 1台または2台 |
| キャッシュ容量(1システム当たり) | 最大4Gバイト |
| ドライブ数 | 最大1232ドライブ(FCドライブ)、最大960台(SASドライブ) |
| システム容量 | 最大1920Tバイト(SASドライブ) |
| RAIDレベル | RAID 0、RAID 1、RAID 5、RAID 6、RAID 10 |
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