2つのOSSの行方は?
OracleがOpenOfficeを譲渡──オープンソース支持者の評価はさまざま
2011年6月、米OracleはOpenOffice.orgのソースコードをASFに譲渡すると発表したが、OpenOffice.orgの主要メンバーはそれ以前に新プロジェクト「LibreOffice」を立ち上げている。両製品は今後どうなるのか。
米Oracleが2011年6月初め、OpenOffice.orgのソースコードをApache Software Foundation(ASF)に譲渡すると発表したことに対し、オープンソースソフトウェアコミュニティーはさまざまな反応を示している。同プロジェクトがOracleの下で停滞していたと感じていた人々が今回の動きを歓迎する一方で、The Document Foundation(TDF)の「LibreOffice」との連係を期待していた人々は不安を抱いているようだ。
同コードを寄贈するというOracleの決定は、このオープンソースアプリケーションスイートに対する同社の管理が終了することを意味する。Oracleによる管理は、同社が2010年1月に米Sun Microsystemsの買収を完了したときから始まった。買収直後から、OpenOffice.orgプロジェクトに対するOracleのコミット姿勢を疑問視する向きもあり、同社から明確な方向性が打ち出されるまでは、企業は同スイートの採用を手控えるようアドバイスするアナリストもいた。Oracleは同プロジェクトへのコミットメントが欠如していると見られていたこともあり、OpenOffice.orgの主要開発者の一部は2010年9月に同社とたもとを分かち、同じコードをベースとする新たなプロジェクトLibreOfficeを立ち上げた。
オープンソースコミュニティーの中には、OracleがOpenOffice.orgプロジェクトをLibreOfficeに統合するために、TDFにコードを寄贈するのではないかと期待していた人もいた。米Microsoftの元開発者からオープンソース推進派に転向したキース・カーティス氏はASFへの公開書簡の中で、「今後も分断状態が続くのは、全ての関係者にとって良くないことであり、とりわけOpenOffice.orgに大きな打撃を与える」と主張している。
カーティス氏は2011年6月初めのインタビューで、「OpenOffice.orgの元開発者の多くが現在、LibreOfficeにフォーカスしている現状を考えれば、もはやASFがOpenOffice.orgプロジェクトを継続する意味はない」と述べている。
「コミュニティーは既にLibreOfficeに移動した」とカーティス氏は語る。「フォーラムやBBSなどは全て移動した。今ごろになってOpenOffice.orgをApacheライセンスの下に移行し、そこで作業する開発者を募集するという提案が出てきたわけだが、このプロジェクトに関心を持っているリモート開発者は既にLibreOfficeにコミットしている。こういった提案は、立ち上がって間もないコミュニティーに大きな混乱をもたらすものだ。OpenOffice.orgという商標をLibreOfficeに譲り渡し、全員がこの新組織に参加すべきだ。だがApacheはそのようには考えていないようだ」
カーティス氏によると、最大のリスクはOpenOffice.orgが開発者に見向かれなくなってLibreOfficeの抜け殻のようになってしまい、OpenOffice.orgという貴重なブランドが失われることだという。
こうした見方に激しく異論を唱える人もいる。Linuxを専門とするシステムインテグレーター/サービスプロバイダーの米RICISのオーナーであるグレッグ・ローゼンバーグ氏は、この分裂によって生じる2つの製品は共に生き残ると考えている。
「Apacheはこれまで立派な仕事をしてきた。今回の移行でOpenOffice.orgが困難な状況に置かれるという心配はしていない。個人的には、同製品がOracleの支配から離れるのは歓迎だ」とローゼンバーグ氏は語る。
Apacheの下でOpenOffice.orgの開発が続けられ、TDFの下でLibreOfficeが前進すれば、それぞれ独自の長所が伸ばされると予想され、ユーザーは同様のアプリケーションから好きな方を選択できるようになるだろう。OpenOffice.orgを現在利用している企業の中にも、LibreOfficeを選択肢として検討しているところがある。米メリーランド州ハワード郡図書館では、8年前から約500台のPC上でOpenOffice.orgが稼働している。
「OpenOffice.orgには基本的に満足しており、当館のほとんどのニーズをこなせている」と話すのは同図書館のCOO(最高執行責任者)を務めるアンジェラ・ブレード氏だ。「来館者用マシンおよび大半の職員用マシンでは、Linux ディストリビューションのUbuntuを使っている。Ubuntuでは将来的にLibreOfficeが標準アプリとして採用されるので、来館者用と職員用のコンピュータを次回アップグレードするときに備え、現在LibreOfficeのテストを行っている」
Apacheには米IBMなど数社の支援企業が存在する。同社はOracleの決定を歓迎しており、ApacheによるOpenOffice.org開発を支援するためにリソースを提供すると約束している。IBMの発表によると、同プロジェクトの立ち上げ期間中は、Apacheコミュニティーと協力するスタッフを提供する予定だとしている。ローゼンバーグ氏は、IBMの支援表明を頼もしく感じている。「IBMはこれまでも、オープンソースコミュニティーのサポートでは非常によくやってきた」と同氏は話す。
しかしカーティス氏は、IBMの意思表示に対して懐疑的な見方をしている。というのも、IBMのLotus SymphonyはOpenOffice.orgのコードがベースになっているからだ。
「IBMは知名度の高い存在だが、このプロジェクトに対する同社の取り組みは、かなり小規模なものになるだろう。参加する少数のスタッフはいずれ同社独自の製品の開発に携わり、このオープンソースプロジェクトに興味を示さなくなるだろう」(カーティス氏)
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