Oracleのライセンス手法の基礎知識(前編)
Oracleライセンス料節約のポイント
Oracleのライセンス費用を抑えたいと考えている企業は、選択肢が理不尽なほど少ないと感じている。果たして、ライセンス費用を節約することは可能なのか?
米Oracleのソフトウェアの年間ライセンス費用を抑えたいと考えているIT部門は、深くて暗い穴に放り込まれたように感じているのかもしれない。多くの企業は選択肢が理不尽なほど少ないと感じており、10年あるいは20年にもわたる契約に関する決定を白紙に戻す方法はないものかと考えている。
Oracleがソフトウェアライセンスの更新と製品のサポートで大きな収益を得ているのは驚くに当たらない。高額で柔軟性に欠けるサポート更新は、Oracleに対する最大の不満の原因となっている。しかし意外なことに、多くのユーザー企業は無意識にこういった高額の年間費用が発生する状況に加担しているのだ。
Oracleソフトウェアの大半は、Oracleがインストールされた、あるいはOracleが動作するプロセッサコアの数がベースになっている。係数(0.25~1.0)を用いた簡単な計算をするだけで、配備されたソフトウェアの数量を求めることができる。仮想化、高可用性、ディザスタリカバリ、開発、テストなどに関するポリシーによって、Oracleがソフトウェアの使用を正規ライセンスの対象と見なすかどうかが決まる。
Oracleの各種契約オプションも重要だ。従業員数あるいは売上高に基づく従量課金方式で全社的にOracle製品をライセンスできる(独SAPの方式と同様)他、不評を買っているUnlimited License Agreement(ULA)がある。その他にもバリエーションがあるが、最も一般的なのがこの2つだ。
これらのライセンスコンセプトをOracleのサポートポリシーと組み合わせると、話が複雑になってくる。ポリシーそれ自体はとりわけ複雑ではないが、何年にもわたるOracleとの契約期間を通じてこれらの関係を把握するのは容易ではない。
Oracleライセンスにおける3つの重要なサポートコンセプト
3つの重要な技術サポートコンセプトとは、ライセンスセット、サービスレベルの一致、そしてリプライシングだ。これらの3つのポリシーは、サポート契約更新の硬直性と相まって、Oracleプロフェッショナルにとって最大の不満の種となっている。
ライセンスセットは、コードベースを通じて相互に関連している全ての製品を指す。例えば、Oracle Enterprise Editionや追加費用オプション(パーティショニングや管理パックなど)だ。サービスレベルの一致というのは、ライセンスセット内の製品のサブセットのサポートを禁じたOracleのポリシーを指す。これら2つのポリシーが、ソフトウェアのサポートに対するOracleのオール・オア・ナッシング的な手法を支えているのだ。
しかし最大の落とし穴はリプライシングだ。リプライシングを理解するには、まずコピーの作成には基本的にコストが掛からないというソフトウェアの特殊性を考慮しなければならない。「名前を付けて保存」をクリックするだけで、サプライチェーンが完成するのだ。これは、Oracleのようなソフトウェアパブリッシャーに巨大な値引き許容度を与える。そしてこの許容度は、定価から0%から90%以上の値引き範囲を意味する。サポート料金は正味ライセンス価格の22%で、毎年発生する。これは妥当なように思えるかもしれないが、問題もある。
具体的に説明しよう。10プロセッサ分のOracle Database Enterprise Editionを値引率50%でライセンスすると、合計23万7500ドルの正味ライセンス料金となる。Oracleのサポート料金の増加率を年間約3%として計算すると、この契約に伴うサポート料金は、5年目の更新時で約5万8800ドルに増えることになる。この契約の費用を削減するために3個のプロセッサを除外することをOracleに申し出れば、更新時のサポート料金は4万1160ドルになり、約1万7700ドル節約できる。
だがよく考えてみよう。
Oracleでは標準割引と呼ばれる制度を用意しており、上記の契約であれば25%の割引率が適用されるだろう。その場合、サポート更新時の料金は標準割引で再計算され、それから最適割引を差し引いた金額が適用される。つまり、上記の例では結局、サポート料金を節約したことにはならず、同じ費用でサポート対象の製品が少なくなるだけなのだ。標準割引と同じ料金にするには、更新対象のソフトウェアを減らす必要があるが、ライセンス対象の製品数が少なくなれば、割引率も低くなる。例えば、半数のプロセッサを除外しても1万7000ドルの節約にしかならず、5プロセッサに対する更新時のサポート料金は4万1800ドルになる。
要するに、リプライシングの仕組みを理解すれば、Oracleのビジネスモデルの本質、同社が高い利益を生み出す理由、そして同社の今後の製品戦略を規定するものを理解できるということだ。
次回は、リプライシングと組み合わせたOracleの巧みな手法が、コストの節約、交渉、代替製品の検討、柔軟な運用経費の維持などの手段を企業から奪っているという問題を取り上げる。
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