Oracle VMを利用しないことの代償
VMware vSphere 4.1をめぐるOracleのライセンス方式に憤るユーザー
VMware vSphere 4.1の2つの新機能をOracleのライセンス条件にどう適合させるかで意見が割れている。意見の食い違いを理由に、Oracleのアプリケーションやデータベースの使用を全面的に避けている企業もあるほどだ。
企業の仮想化担当者たちはまたもや、米Oracleのライセンスポリシーに困惑と失望を感じているようだ。同社のアプリケーションの仮想化を制約する条件が新たに加わったからだ。
今回の問題は、VMware vSphere 4.1の2つの新機能──VMware Distributed Resource Scheduler(DRS) Host Affinity RulesとCPUピニング──をOracleのライセンス条件にどう適合させるかに関するものだ。Oracleでは、競合他社の仮想化技術(VMware、Hyper-V、XenServerなど)の多くが使用する全てのCPUリソースに対して、アプリケーションの各インスタンスにライセンスが必要である“ソフトパーティショニング”と見なしている。Oracleのパーティショニング指針(リンク先はPDF文書)は明解だ。そこには「ソフトパーティショニングは、個々のサーバに対して要求されるソフトウェアライセンスの数を決定あるいは制限する手段として認められない」と太字で記載されている。
逆に、“ハードパーティショニング”──サーバを物理的にセグメント化すること──に関しては、Oracleは全てのリソースに対してアプリケーションをライセンス化する必要はないとしている。実際、VMware DRS Host Affinity RulesとCPUピニングはいずれも、ハードパーティショニングの一形態であると見なすこともできる。DRS Host Affinity Rulesは、仮想マシン(VM)がVMware ESXクラスタ特定のホストに自動的に移動するのを制限する。CPUピニングは、特定のワークロードをホスト上の特定のプロセッサに結び付ける。これらをハードパーティショニングの一形態と見なせば、VMware上でOracleを仮想化するコストが下がるのではないかと思える。
ライバルの仮想化パレードに冷水を浴びせるOracle
「しかしそうはならない」と話すのは、米Weinshenker Consultingの経営者でエンタープライズ環境におけるOracleデータベース管理を専門とするジェイ・ワインヘンカー氏だ。
「Oracleの顧客担当マネジャーから聞いたところによると、CPUピニングはOracle VM(Oracleの仮想化技術)を対象としたもので、VMware上ではサポートしていないということだ。これは、Oracle VMを利用しないことに対して支払う代償だといえる」(同氏)。
ワインヘンカー氏も、Oracleがソフトパーティショニングポリシーを変更してVMware DRS Affinity Rulesを認めてほしいと考えている。そうすれば、VMware ESXサーバファーム全体がライセンス対象にならないようにOracleアプリケーション用に個別のクラスタを運用する、といった不都合を避けることができるからだ。「VMware HA(High Availability)やVMware DRSなどのVMware機能はクラスタによって制約を受ける。個別のクラスタを運用するのではなくVMware DRS Affinityを使うことができれば、VMware HAとVMware DRSの制約はなくなるだろう」と同氏は話す。
意見の食い違いや細かい問題の複雑な絡み合いを理由に、Oracleのアプリケーションやデータベースの使用を全面的に避けているという企業もある。
「フォーチュン15」にランクされる医薬品販売・医療ソフトウェア分野の大企業で仮想化を担当するエリアコーディネーターのウェイン・ゲイトマン氏は「Oracleの仮想化を当分、棚上げすることにした。理由はいろいろあるが、最大の理由はコストだ。OracleはVMwareユーザーの立場に立とうとしない。そのために、あらゆる問題で同社と意見が対立する」と話す。
物理サーバに関しても、Oracleのコア単位のライセンス方式は評判が良くない。「Oracleの価格設定方式のせいでハードウェアをシングルCPU構成に縮小する羽目になった」とゲイトマン氏は語る。数カ所に分散した50以上のクラスタ上でOracleアプリケーションを運用しているが、これらは全て物理サーバ上に置かれているため、仮想化ができれば大幅なコスト削減を期待できるという。「しかし何かやろうとすると、必ずOracleの価格設定が障害になる」と同氏は話す。
ユーザーはOracleに異議申し立てを――コンサルタントの意見
ユーザーは以前、VMwareベースの仮想化全般のサポートやVMware上で動作するReal Application Clusters(RAC)のサポートなど、VMware関連ライセンスに関する立場を明確にするようOracleに対して求めた。
「VMware DRS Affinity RulesとCPUピニングをめぐる状況もこれと同じだ」と指摘するのは、米データベースコンサルティング会社House of Brick Technologiesのデビッド・ウェルチCTO(最高技術責任者)だ。「またしても深刻な混乱が生じており、Oracleは言い訳ができない。同社の顧客担当者は、ソフトウェアでパーティション化されたクラスタはフルライセンスが必要だという姿勢を見せているが、3つの基本文書のどこにもそんなことは記載されていない」と同氏は指摘する。
ウェルチ氏の言う3つの文書とは、Oracle License and Service Agreement、Software Investment Guide(Oracle Technology Global Price Listとも呼ばれる。PDF文書)、そしてLicensing Data Recovery Environments(Investment Guideの抜粋。PDF文書)だ。
「顧客が“この3つの文書の中で、クラスタ内でOracleを動作させた場合には、クラスタ全体がライセンスの対象になると書かれているものがあるのなら、それを見せてほしい”と反論したときに、Oracleの顧客担当者が自社の主張を貫き通せたケースは1つもない」とウェルチ氏は話す。実際、これらの文書には、Oracleのプログラムが「インストールされている、あるいは動作している」プロセッサはラインセンスの対象となると(繰り返し)述べられているだけだ。
「少なくともユーザーは、“ライセンス要件の解釈は顧客担当者に任せている”といった安易な考えではだめだ」とウェルチ氏は語る。「顧客を拘束するのは書類に記載されているものだけだ。Oracleはこの混乱が広がっていく中で、どういったライセンス方式が顧客に受け入れられるのかを見極めたいのではないかと思う」
本稿作成時点では、Oracleの企業広報担当者のコメントは得られていない。
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