デスクトップ仮想化環境をMicrosoftのライセンス契約を順守しつつ運用するのは、決して容易なことではない。仮想化環境での複雑なライセンス体系を解説しよう。
調査会社Forrester Researchは先ごろ発表したリポートで、デスクトップ仮想化技術は比較的導入しやすいが、IT担当者はそれで安心してはいけないと指摘している。
自分の選んだベンダーからデスクトップ仮想化製品のライセンスを取得するのは簡単だ。ユーザー数を数え、それにユーザー単価を掛けたライセンス料を支払えばよい。だが、これらの製品を使った新しい仮想化環境をMicrosoftのライセンス契約に従って運用するのは、決して容易なことではない。
「デスクトップを仮想化する場合のライセンス条件は、PCを従来のように利用する場合とは異なる。ライセンス契約を順守するには、新しいルールに従わなければならない」とForrester Researchの仮想化担当アナリスト、ナタリー・ランバート氏は語った。
しかも、これまでオペレーション担当者はWindowsのライセンスについて考える必要がなかったことから、デスクトップ仮想化環境では、なおさらライセンス違反が起きやすいとランバート氏は指摘した。Windowsライセンスの管理は購買担当者の守備範囲だ。
「デスクトップ仮想化を進める前に、オペレーション担当者はWindowsのライセンスについて学び直す必要がある」と同氏は語った。「そして、『デスクトップ仮想化を利用してもライセンス上の問題はない』のか、あるいは『デスクトップ仮想化を進めるに当たって、ライセンスを順守するのに何が必要になる』のかを見極め、購買担当者にきちんと伝えられるようになる必要がある」
端的に言えば、デスクトップを仮想化するには、Microsoftのボリュームライセンス契約のアップグレード保証オプションであるソフトウェアアシュアランス(SA)を購入しておく必要がある。SAを取得していない場合、Windowsライセンスの一環としてPC上で仮想デスクトップを動作させることは認められていないとランバート氏は説明する。
デスクトップ仮想化には2つの形態がある。ローカル型とホスティング型だ。ローカル型のデスクトップ仮想化では、ユーザーは自分のPC上の保護された環境で複数のOSを実行できる。
「マシンがSAでカバーされていれば、追加コストなしで最大4台の仮想マシンを稼働させることができる。これが原則だ」とランバート氏。「ベースOSのSAを持っていない場合、仮想マシンごとにWindowsライセンスを追加購入しなければならない。ベースイメージと3台の仮想マシンを使うとすると、Microsoftに4ライセンス分の料金を支払うことになる」
SAの料金は、1年当たりでMicrosoftの現行ライセンス料の29%と計算される。SAの購入はコストに見合わないと判断した企業は、もう一度検討し直した方がいいかもしれない。なぜなら、仮想マシンを2台以上使えば、SAは元が取れるからだ。
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