早期導入企業が評価
Notes移行ユーザーが明かすOffice 365の利便性と課題
Microsoftが提供する「Office 365」の実際の使い勝手はどうか。NotesからOffice 365へと移行した米国企業による評価を紹介する。
米Microsoftが提供するクラウドベースのプロダクティビティスイート「Office 365」がリリースされたのはわずか半年前のことだが、この間に大きな進歩を遂げている。前身のBusiness Productivity Online Service(BPOS)(関連記事:エンタープライズ製品の機能をクラウドで マイクロソフトのグループウェア「BPOS」)に比べて格段に進化しているのは確かだ。
米コンサルティング会社のDirections on Microsoftのアナリスト、ウェス・ミラー氏は、「BPOSは、スケーラビリティに問題があり、限られた成功しか収められなかった“スカンクワークス(秘密の仕事)”のようなものだった。Microsoftは、BPOSのゴールはそのままに、可用性とアップタイムを驚くほど改善させている」と話す。
ただし、ちょっとした事件はあった。Office 365のリリース直後に、2度の大きなサービス停止が発生し、ユーザー企業がメールを使えなくなるという事態になった。Microsoftはこの障害を解決し、Office 365を業務利用に耐え得るプラットフォームにするべく、機能強化のスケジュールを早めている。
Microsoftは最近、Office 365に30の新機能と機能強化を追加したことを発表した。また、Campbell Soup、Groupe Marie-Claire、Underwriters Laboratoriesなど顧客名を公表し、エンタープライズ市場でも魅力のあるサービスであることを示している。
主な新機能には、Lync for MacのサポートやSharePoint Business Connectivity Services(BCS)がある。また、Windows Phone 7.5搭載端末からのSharePoint内のドキュメントの閲覧と更新が可能になった。
ミラー氏によると、Office 365のExchange Onlineは業務で利用できるレベルにあるが、SharePoint Onlineは、ビジネスリソースへのアクセスなど、幾つか重要な機能がスムーズに使えない。「SharePoint Onlineでは、いまだにできないことがある」とミラー氏は言う。また、Lyncにも制限があるようだ。
しかし、Office 365は誕生したばかりで、Microsoftは大幅にパフォーマンスや操作性を改良している。「Office 365はアップデートされるたびに、オンプレミス版の機能に近づいている」(ミラー氏)
Office 365早期導入ユーザーの声
ここで、メールプラットフォームとしてOffice 365を採用している早期導入ユーザーの1社、米Underwriters Laboratories(UL)の感想を紹介しよう。同社は、その利便性を実感しているようだ。
ULは117年の歴史を誇るグローバルな製品安全性認定機関で、世界各地に68の施設と120の検査センターを持ち、9万5000の顧客を抱えている。同社のクリスチャン・アンシュッツCIOは、「ULは買収による攻めの成長を考えている。そのために、拡張できる柔軟なプラットフォームにアップグレードする必要がある」と話す。
同社の以前のメールプラットフォームはIBM Lotus Notes/Dominoで、オンプレミスのサーバが世界各地に分散していた。しかし、このプラットフォームの機能は時代遅れとなった上、ULのユーザーの90%は、自宅でMicrosoftを使用していた。
アンシュッツ氏は、「『職場に来ると、時代を逆戻りしたような気持ちになる』とユーザーに言われた」と明かす。
そこで、新しいプラットフォームへの移行を決めた。ULではGoogleドキュメントをはじめ、複数のメール製品・サービスを評価したが、エンドユーザーが使い慣れていることが決め手となり、最終的にMicrosoftのソフトウェアを選んだ。
アンシュッツ氏率いる担当チームは、従来のオンプレミス型のExchange Server 2010(関連記事:スクリーンショットで見る、Exchange Server 2010の新機能)とSharePoint Server 2010を検討したが、使用開始までの時間が短いことから、サービスに軍配を上げた。最終的に、ULではメールプラットフォームとしてOffice 365と、オンプレミスのSharePoint Serverを採用した。SharePoint Serverは、いずれクラウドに移行する予定だ。
IBMのシステムやアプリケーションはULの文化に深く根ざしていたが、Office 365への移行は簡単だった。ULでは、わずか8週間足らずで大規模なオペレーションセンターを含め、世界各地の事業所にOffice 365を導入できた。アンシュッツ氏によると、幾つか統合上の課題はあったが、ビジネスが混乱することはなかったという。
Office 365の使用開始から、問題が全く発生しなかったわけではない。初期導入後、例のサービス停止によってビジネスに影響が出た。この障害発生の影響は小さかったが、ULにとってはやはり許容できるものではなかった。
「メールが使えないと、ビジネスに影響が出る。(オンプレミスのIBMシステムでは)これまで一度もサービス停止は起きなかった。これは、クラウドサービスではあってはならないことだと思う」とアンシュッツ氏は苦言を呈する。
しかし、同氏は、新しいテクノロジを使用する場合、成長の痛みが伴うことを理解しているし、これは早期導入ユーザーが払わなければならない代償だと考えている。
「これが将来も起きるのであれば問題だ。しかし、これまでMicrosoftはとてもよく対応しているし、修正もそつなくこなしている」と話す。
総合的に見て、その柔軟性と比較的シンプルな操作性から、今のところOffice 365への移行は価値があったといえる。例えば、ULは最近、ビジネス向けではないメールプラットフォームを運用していた2000人規模の組織を買収したが、2週間足らずで新しい社員をOffice 365に登録できた。オンプレミスのプロジェクトと比べると、かなり短い時間で済んでいる。
アンシュッツ氏いわく、「(Office 365なら)インフラストラクチャではなく、やるべき仕事に注力できる」ということだ。
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