SimpleDBと比較して容量とパフォーマンスを大幅増強
Amazonのクラウドデータベース「DynamoDB」はSQL Azureの脅威になるか?
Amazon Web Servicesが立ち上げたNoSQL型クラウドデータベースサービス「DynamoDB」。ビッグデータ対応要求にも応えるというが、Microsoftの「SQL Azure」と競合するのか?
米Amazon Web Services(AWS)は2012年1月中旬、クラウドベースの新しい非リレーショナル(「NoSQL」型)データベースサービスを立ち上げた。これは同社の既存の「SimpleDB」と比べ、容量およびパフォーマンスを大幅に増強したものだ。しかしAmazonがターゲットにしているユーザーを引き付ける可能性は低そうだ。
クラウド業界のある専門家は、「DynamoDB」と呼ばれるこの製品は、米Microsoftのクラウド型リレーショナルデータベース「SQL Azure」の多くのユーザーに訴求しないとみている。両製品が直接競合しないからだという。
「OakLeaf Systems」ブログの作成者でキュレーターのロジャー・ジェニングス氏は「DynamoDBがMicrosoftのSQL Azureとの勢力関係を大きく変えることはないだろう」と分析する。その理由の1つとして、Amazonは既にSQL Azureに対抗する製品として「AWS Relational Database Service(RDS)」を持っているからだと同氏は付け加える。
SQL Azure関連コンテンツ
- Microsoft SQL Azure Databaseの概要(ホワイトペーパー)
- SQL Azure入門(ホワイトペーパー)
- SQL AzureとSQL Serverの共通点と相違点(ホワイトペーパー)
DynamoDBは、Amazonの非リレーショナル型のSimpleDBを改良したものとしては歓迎されそうだ。しかしAWSの古くからのユーザーによると、DynamoDBが多くの企業ユーザーを引き付けることはなさそうだという。
クラウドコンピューティングのコンサルティングを専門とする米Orchestratusのシュロモ・スウィドラーCEOは、「AWSユーザーでDynamoDB製品に関心を抱くのは、有名な伝統的技術をベースとしたアプリケーションスタックを利用している典型的な社内開発者のようなタイプではない」と話す。「関心を持つと思われるのは、非リレーショナル型データストアへの不安を抱いておらず、大多数のデータに対する高速かつ頻繁なリード/ライトアクセスが必要とされるようなWebアプリケーションを開発している新興企業や短期開発チームだろう」
DynamoDBは、サイズが数Tバイトのデータベースを作成し、全てのデータをSSDのフラッシュメモリに保存できるため、高速なトランザクションが可能となる。AWS Region内の複数のAWS「Availability Zone」の間でデータを同期することもできる。
これに対し、SimpleDBで作成可能なデータベースのサイズは最大10Gバイト。これ以上のサイズのデータベースや分散型データベースを作成するには、ユーザー側の開発者の手作業による本格的なコーディングが必要とされる。
Amazonのワーナー・ボーゲルズCTO(最高技術責任者)は「開発者が求めているコードを作成できたと自負している」と電話会見で語った。「DynamoDBでは、データベースがもはやスケーリングファクターではなくなった」とボーゲルズ氏は付け加える。
また、SimpleDBでは非常に厄介だった管理も、DynamoDBでは単一のコンソールからほとんど自動的に実行されるようになった。
「DynamoDBはSimpleDBを代替する上で必要な製品だ。SimpleDBはあまりにもシンプルなデータベースだ」とジェニングス氏は話す。
この新サービスは、ビッグデータを処理する必要があるユーザーの間でも人気を博する可能性がある。現在のAWSユーザーの中にも、そういった見方をする人がいるのは意外なことではない。
英国のWebサーバ管理者であるコリン・ディーン氏は「これは、今日のNoSQLデータベースを定義した最初の論文を書いた人々が開発したサービスだ」と電子メールで取材に答えた。「ビッグデータを扱っている人にとってDynamoDBで特に関心があるのが、Amazon EMR(Elastic MapReduce)と連係する機能だ。これにより、膨大なデータに対してHadoopジョブを実行できるため、システム保存されたデータの価値が高まる」とディーン氏は付け加える。
しかしDynamoDBにとって障害となる可能性があるのが、このサービスの価格モデルだ。ストレージ自体の価格は1Gバイト当たり月額1ドルにすぎないが、Amazonは出力データの転送などにさまざまな料金を課しており、ユーザーの混乱を招く可能性もある。
カナダの通関業者GHY InternationalのIT担当副社長を務めるナイジェル・フォートラーゲ氏は、「既存のワークロードでDynamoDBに移行した場合のコストがどうなるのか、価格設定を詳しく調べてみないと分からない」と話す。
AmazonはDynamoDBの無償版も用意している。100Mバイトのストレージおよび毎秒5回の書き込みと10回の読み出し(1カ月で最大4000万リクエスト)まで無料で利用できる。
またAmazonは最近、「AWS Free Usage Tier」上でWindows Server用アプリケーションを実行できることを明らかにした。このサービスでは、ユーザーはAmazon Elastic Compute Cloud(EC2)のMicro Instanceを1カ月に付き750時間分を1年間にわたって無料で利用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
5
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
6
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
7
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
8
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
-
9
AI完全自律化はわずか9% 日本は「進化に追い付けない経営陣」が足かせに
-
10
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー